※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
目次
書籍情報
お金に振り回されない生き方

大嶋信頼
心理カウンセラー。
株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。
トラウマや不安、対人関係などの問題を解決する「FAP療法」を開発。
総合法令出版
- はじめに なぜ、働いているのにお金が貯まらないのか?
- 第1章 なぜ人はお金がないときに 限ってお金を使うのか?
- ストレスが財布を空にする仕組み
- 夫婦喧嘩の9割が脳のせいだった
- お金のトラブルに潜む心理
- なぜレシートを見るまで無駄遣いに気づけない?
- “炎症” のせいで、無駄遣いが止まらない!
- 第2章 ”嫉妬”が引き起こす無駄遣いのリスク
- 無意識の嫉妬に気づく力
- こんなに怖い!〝嫉妬の発作”
- 芸能人を批判する心理学「優劣の錯覚」
- 感情が決断を狂わせる瞬間〝お金の嫉妬” 心理学
- 嫉妬の発作の本当の引き金は“孤独”
- 第3章 なぜ、働いているのにお金が貯まらないのか?
- 怒りも焦りも伝染する!「怒りウイルス」の正体
- 嫉妬の発作の伝染は「電気ショック」
- “他人からの嫉妬〟で破壊的な人格に変身!
- 嫉妬の発作が伝染してお金が稼げない
- 特に影響が大きい親の嫉妬”
- 「お金が貯まらない」の根本に見える親子関係
- 「嫉妬センサー」で他人の発作を見極める
- 第4章 「知らないうちの無駄遣い」をなくすお金の習慣
- 「自分の嫉妬の発作」に対処する方法
- 1 嫉妬していることを認める
- 2 自分のほうが優れていることを認める
- 3 みんな孤独であることを認める
- 「他人の嫉妬の発作」に対処する方法
- 1 相手の嫉妬を止めようとしない
- 2 必要以上に謙虚にならない
- 3 嫉妬の発作をまたぐ
- 相手の嫉妬をエネルギーに変えることができる人
- 人の嫉妬をエネルギーに変える三つのスクリプト
- あなたは人の嫉妬をエネルギーに変えられるか
- 「自分の嫉妬の発作」に対処する方法
- 第5章 ”脳の体質改善”でお金を 貯める!
- 「お金が貯まらない!」は体質だ
- 1「いつも『お金がない!』と嘆いている人」の体質改善
- 2「お金のことで強い後悔に襲われることがある人」の体質改善
- 3「いつも他人や自分の悪口を言っている人」の体質改善
- 4「ストレスを抱え込んで発散できない人」の体質改善
- 5「現実からかけ離れた妄想を抱いてしまう人」の体質改善
- おわりに
書籍紹介
この本は、お金が貯まらないという不安から解放されるヒントを、心理カウンセラーの視点から優しく教えてくれます。
大嶋信頼さんは、米国アズベリー大学で心理学を学ばれた後、日本でFAP療法という不安からの自由を手に入れる手法を専門に活動されているカウンセラーです。数多くの書籍で、自己肯定感の向上や人間関係の悩み、無意識の力を活かした心のケアについて語られてきましたが、今回の本では特に「お金」というテーマに焦点を当てています。働いているのに財布が空っぽになる理由、節約本を読んでも続かない心理的な落とし穴、そして本当の豊かさとは何かを、日常のエピソードを交えながら丁寧に解き明かしてくれます。例えば、コンビニの募金箱に少しの金額を入れるというシンプルな行動が、なぜお金の価値観を変えるのか。そのような小さな気づきが積み重なって、大きな変化を生むのです。
無意識のクセが私たちをお金に振り回す原因だと指摘します。嫉妬や不安が支出を増やしたり、逆に小さな出費を恐れてチャンスを逃したりするパターンを、具体的な事例で解説しています。読むうちに、自分自身の「お金の物語」を振り返りたくなるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
「お金がない!」で脳の発作が起きやすい。

お金がないと不安にかられたとき、脳が変化して破壊的な人格に変身する場合があります。こうなると、セール品を買い集めたりして、ムダに散財する発作が起きます。しかも、本人は、安く買えたから自分は正しいと思っているのです。
破壊的な人格の人は、ヒーロー的な正義感にあふれています。「あなたのために」「家族のために」と、正しいと思って行動していると思っているようです。その正義感を盾に暴言を吐いて、相手を傷つけます。いつの間にか、人間関係を破壊してしまうでしょう。
また、無駄使いをしているときは記憶が飛んでいます。急いで出かけるときに限って、携帯電話や定期券を忘れてしまうパニック障害と同じです。レシートを見返すまで、散財に気づけないでしょう。記憶がないので、無駄使いをしたことについても反省ができません。
嫉妬の感情は怖い

ある男性は、職場で後輩が上司から褒められているのを見た瞬間に嫉妬してしまいました。その後、彼は仕事で手を抜くようになり、ついには退職してしまいました。周囲は、なぜ彼が辞めてしまったのか不思議に思っていたようです。
また、こんな話もあります。ある夫が昇進して給料が上がったことで気分良く帰宅すると、妻は「こんなに大変な思いをして子育てしているのに、誰からも認められない」と言い、さらに「こんな遅くまで女と飲んでいたんでしょ」と続けました。このように、嫉妬は人間関係を壊してしまうことがあります。
家計が少し楽になるはずだった出来事が、嫉妬によって台無しになってしまいました。嫉妬は、自分と同じかそれ以下の立場の人々が自分より豊かに暮らしていたり、自分が得るはずだったものが奪われたと感じたりすることで生まれるようです。
専門的に言うと、これは嫉妬というより「羨望」に近い感情です。「若いっていいな」と羨ましく思うことで、相手の持つ若々しさがなくなればいいと無意識に願ってしまうのです。この感情は、わかりやすい形で表面化することはほとんどありません。無意識のうちに嫉妬が生まれてしまうのです。
ミラーニューロン

私たちの脳には「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞があります。この神経細胞の働きにより、他人の動作を見ると自動的にその動作を模倣します。例えば、あくびがうつるのもこの作用によるものです。
この現象は、イライラや嫉妬といった感情も伝播させる性質があるようです。また、脳の抑うつ的な気分を引き起こす部位は刺激されやすく、罪悪感や焦燥感を誘発する部位も反応しやすい傾向があります。職場でのストレスの伝播は、知らず知らずのうちにお金を稼ぐことへの罪悪感を引き起こす場合もあるようです。
このような場合、「自分に問題がある」と過度に受け止めてしまうと、周囲の嫉妬から罪悪感が日々強まり、「お金が怖い」という反応が生じることがあります。
けれど、この罪悪感をセンサーのように活用することができます。「何か悪いことを言ってしまったかな」「申し訳ないことをしてしまったかもしれない」と感じたとき、誰かの嫉妬に影響されていないかを確認するきっかけにできるでしょう。
未来の自分のアドバイス

お金について後悔を感じるときは、未来の自分が「あのとき違う行動をしていれば」と考えていることがテレパシーでつながったと考えてみることです。
トラウマの再上演が起きているときに、過去と同じように行動すれば未来の自分は後悔すると気づくでしょう。過去とは違う行動を起こすことができれば、トラウマ体質が改善されて、お金が貯まる体質に変わっていきます。
あのときお金に余裕があったときに積み立て投資をしなかったのだろうと後悔することもあるでしょう。そこで一旦、未来の自分からのアドバイスをもらうことにします。目の前の健康器具を買う必要があるのだろうかを熟考することができるはずです。他に興味のあるものをアドバイスされることもあります。
ある女性は無駄使いを未来の自分に相談したところ、「職場や友達以外の人間関係を広げたほうがいい」と浮かんできました。以前から山歩きに興味があって、その集まりに参加してみることにしたようです。趣味を通じての出会いが、いい流れを呼びこみました。集まりでは会話も弾み、仕事やお金の相談にも助言をもらうことができたそうです。お金を貯めるのも、仕事も楽しくなったといいます。