毛沢東 革命と独裁の原点/著者:興梠一郎

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書籍情報

タイトル

毛沢東 革命と独裁の原点

発刊 2023年12月10日

ISBN 978-4-12-005720-5

総ページ数 444p

著者

興梠一郎

三菱商事中国チームを経て、カリフォルニア大学バークレー校大学院修士課程修了、東京外国語大学大学院修士課程修了。外務省専門調査員、同省国際情報局分析第2課専門分析員、参議院第1特別調査室客員調査員を歴任。

出版

中央公論新社

もくじ

  • 序章 革命と独裁
    • 蘇る毛沢東
    • 〝脅威〟となった中国
    • 高まる独裁のリスク
    • 独裁の原点
    • レーニンと暴力革命…etc
  • 第一章 原典
    • 韶山の風景
    • 清朝崩落の足音
    • 毛沢東のルーツ
    • 富農になった父
    • 母の面影…etc
  • 第二章 湖南第一師範
    • 師範学校入学
    • 運命の出会い
    • 恩師・楊昌済
    • 「講堂録」
    • 〝湖湘学派〟の伝統
    • 校長追放運動…etc
  • 第三章 湖南自治運動と挫折
    • 湖南自治運動
    • 湖南共和国
    • 公民制憲運動
    • 湖南人民憲法会議
    • 直接行動へ…etc
  • 第四章 ソ連の影
    • 新民学会の分裂
    • 中国と世界の改造
    • 張東蓀_過激主義の穏健化
    • ラッセルか、レーニンか
    • 社会主義論線…etc
  • 終章 毛沢東と陳独秀_二つの道
    • スターリンの影
    • コンミンテルンが決める運命
    • 暴動を扇動するソ連
    • 最高指導部に復帰
    • ソ連の国益…etc

日本は〝勁敵〟

 毛沢東には、新聞を隅から隅まで読むことを日課としていました。国内外の情勢に精通していたのです。

 新聞には、かなりお金をかけていて、師範学校でかかった費用の3分の1は、新聞購読と書籍の購入に使いました。父親には紙くずにお金を無駄にしていると怒られていましたが、1927年に井岡山に潜伏し、新聞が手に入らなくなるまで、北京、上海、湘南の新聞をかかさず読み続けています。

 この時事通の関心を深めたのが、1915年5月7日、日本が中国に二十一ヵ条要求の最後通牒を突きつけたときです。中国の国民は猛反発し、日本製品ボイコットなどの講義運動が各地で巻き起こりました。

 ニュースは冊子にして広まり、その文章は、日本の中国侵略と朝鮮支配、フランスによるベトナム支配、袁世凱の売国の罪などについて述べ、民族の危機を救えと呼びかけたものです。

 毛沢東は二十一ヵ条要求をきっかけとして、「日本人は、まことに我が国の勁敵」と意識するようになっていきます。

 中国の4億人に対し、日本の3千万人は、なぜ強敵なのでしょうか。「日本は我われの内情を知り尽くしているのに、我々は彼の内情をほとんど知らない」と呼びかけ、東のこと(日本)にあまり注意を向けていないことを警告しています。

 彼が日本留学を考えたのは、内情を知るためだったのかもしれません。

無産階級独裁

 革命後も無階級の独裁が必要だと断言していた陳独秀と全く同じ見解を毛沢東はしています。

 マルクス主義関連の本にも触発されたことでしょう。政治改良の道は絶望的だったため、すべて無視して別の道を切り開くしかなと思っていた毛沢東にとって、残された「道」は「革命」しかないと考えていました。

 共産党組織を設立する話や、社会主義の知識は大きかったことでしょう。ロシア革命方式を毛沢東が受け入れた動機は、極めて現実的なものだったのです。

 毛沢東は、無産階級独裁を理想の社会を築くための有効な手段だと信じていました。

独裁魔王の根源

 陳独秀は、スターリンのみならず、レーニンやトロツキーを含めたソ連の体制そのものを疑うようになりました。ロシア、ドイツ、イタリアのファシズム制と同類とみなし、ソ連をファシズムと位置付けています。

 毛沢東は独ソ戦争が勃発し、ドイツ軍がモスクワを包囲して、日本軍がハワイ、マラヤ、シンガポール、香港を攻撃したときに、チャンスだと捉えていました。ソ連が有利であり、共産党にとってもメリットになるとみています。反ファシズム戦線に加わろうと考えていたのです。

 陳独秀が静かに息を引き取り、毛沢東はその頃に「延安整風運動」を発動し、スターリンを手本にして政的の粛清に取り掛かっていました。

 スターリンの機嫌をとる意味合いもあったかもしれません。しかし、政治闘争の武器になると判断したからです。独裁的な地位を固めるための教材であり、粛清が頂点に達したときに出版されたときの本に影響されています。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 自分の思い描く社会のために独裁を選択して、歴史上最高の人数を殺したヤバイ奴ということを再認識しました。

 これを、歴史を正しく学んでいないとはいえ、この人を称えるように写真が飾られて、それが観光地にいることが信じられません。

 新共産主義というワードがどれだけ強すぎるかを再認識できる本でした。

 なんで中国を懸念して、政治活動する人が生まれるのか、それは歴史にあるようです。

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