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作品紹介
題名:ノンフィクション・生きものって、おもしろい! カラスのいいぶん 人と生きることをえらんだ鳥
著:嶋田泰子
絵:岡本順
出版:株式会社童心社
第67回青少年読書感想文全国コンクール 小学校中学校の部(3,4年生) 課題図書になっています。
概要:
あたまにうんちをかけられて、ゴミ捨て場を荒らすカラスのことを嫌っていました。
カラスは私たち人間を知っているのに、私はカラスを知らない。
敵の弱みをにぎってやろうと、カラスのことを調べることにしました。
調べてみると、カラスはもともと森のそうじやでした。
人が住み家を求めて森の近くに住むことで、カラスにはゴミがごちそうに見えることに気づきました。
そして、街はカラスにとって快適な場所になり、もう森には戻れません。
そう思うと、なんだかカラスがかわいそうに思えてきました。
そして、「じょうれんさん」の一行が家の近くをナワバリにするのです。
著者・絵本作家 紹介
著者:嶋田康子 しまだやすこ
生物・環境などをテーマとした出版物の企画・編集・執筆に携わる。編集した作品に「森林の研究・ブナの森は緑のダム」(あかね書房)「地球ふしぎはっけんシリーズ」(ポプラ社)など。著作に「車いすからこんにちは」(あかね書房)「いっしょがいいな 障害絵本」シリーズ、「水ってなんだろう」シリーズ、「さかなだって ねむるんです」「やさいの花」(以上ポプラ社)「いきもの みーつけた」シリーズ(童心社)などがある。
巻末より抜粋
サイト管理人
ポプラ社の有名シリーズの編集を行った人なんですね。
みなさんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
絵本作家、イラストレーターとして活躍。絵本「きつね、きつね、きつねがとおる」で第17回日本絵本賞を受賞。絵本作品に「ふっくらふしぎなおくりもの」「ぼくのくるま」(以上ポプラ社)「キダマッチ先生!」シリーズ(BL出版)、「つきよの3びき」(童心社)、さし絵の作品に「ふしぎなあの子」(あかね書房)「キジ猫キジとののかの約束」(小峰書店)「宇宙からきたかんづめ」(ゴブリン書房)などがある。
サイト管理人
お恥ずかしながら、日本絵本賞を知りませんでした。
全国学校図書館協議会と毎日新聞が主催をしていて、絵本作家にとっては、受賞すれば新聞に名前が載るほど名誉ある賞なんですね。
カラスのこと深く知らない。
小学生向けの本ではありますが、大人がよんでも発見がたくさんあります。
わたしが持っていたカラスの知識というのは、実は遺伝子操作で種無しモテモテのカラスを誕生させることができて、そのカラスをバラまけばカラスの数を激減させることができる。種無しモテモテのカラスを誕生させないのは、きっと生態系が著しく崩れるからなんだろうなー。くらいです。
かなり、駆除に意識の向いた偏った知識しかありませんでした。
みなさんはどうですか?
日本にいるカラスが4種類いて、どのカラスが人間にとって悪さをするのか知っていますか?
カラスは具体的に、どんなことができるのか、どれほど賢いのか分かりますか?
カラスに対して、嫌な感情しかないのではないでしょうか?
分かります。ハト・カラスと聞いて、厄介だなー….とそう思います。
害鳥なんて呼ばれ方してますから。
この物語はノンフィクションなんです。
最初は「厄介だなー」と思っていた人が、カラスの対抗策としてカラスの事を知ろうとした話でもあるのです。
私はこの「厄介だなー」の対策をしようと考えたことなどありません。
この人は「厄介だなー」の対策を考えて、ベストセラーになる面白い物語まで発展させました。
物事を解決させるためには、ちゃんと必要な情報をしらないと、良い結末にはならなそうです。
カラスのどんなことを知れるのか
絵がかなり本物そっくりに描かれていて、カラスの特徴がハッキリとわかります。かなり分かりやすいです。
種類を判別するために、カラスの見分け方を調べるわけです。
- クチバシのかたち
- 鳴き声
- 走りかた
- 生息地
犯人を特定するわけです。
それと同時に、本来(昔)はどんな風にカラスが生きていたのかを知ります。
ちょっとだけ意識が好転的なものになり、そしてどんなことを知ろうとしたか。
- どのくらいの知能があるのか
- どんな食べ物が好きなのか
- どんな遊びをするのか
- どんな仕草をするのか
- 産卵のしかた
- 子育て
- 日々の過ごし方
こんなことがこの本から学べます。
カラスの卵の乗った枝を切り落としてしまった人が、ずっとカラスに襲われるて怪我をするということがあったそうです。
周りは怪我をした人を心配し、カラスのことは疎ましく思ったでしょう。
カラスからみれば、不公平な話です。
赤ちゃんを殺害されたら、怒らない親なんていないですよね。
カラスに歩み寄る
カラスの立場に立って物を考えることができるようになったからか、カラスに対して敵意を感じていなくなっていました。
私の家の庭をナワバリにしていた、「クロスケ」と勝手に命名したカラスとのちょっとしたストーリーが始まります。
そのストーリーは、本当にカラスと人間は分かり合えないのか、もっと上手に分かり合えないのか。そんな風に考えさせてくれます。
カラスは鼻があまり利きません。
ゴミ袋を黄色にすれば、ゴミがあまり良く見えないため派手に荒らされることが少なくなります。
増えすぎたカラスに対して、共存の道はないのでしょうか?
そんな本です。
私のひとりごと(感想)
考えてみれば、森をみても人工林だらけ。土の表面には死体が転がっていないような環境で、カラスが過ごしやすいはずがないですね。極めつけに外来種の鼠が木の実などを食い尽くす勢いで繁殖していますし…
だからといって、あたまにフンをわざと落としてきたり、車をフンまみれされて塗装剝がれをおこしたりしたものなら、ムキーーーーーなりますけどね。
共存というけれど、やっぱり自分本位にならざるを得ないような事実もありますよね。
中国発症と言われているコロナウイルス。伝染病は何が原因でしょうか。
一番は衛生面の問題ですよね。
パリのマリー・アントワネットの時代、住宅から道に糞尿をまき散らしていたような時代続き、ナポレオンの死後コレラのパンデミックを引き起こしました。
カラス・ハトのフンの中には無視できない病原菌のもとがたくさん。多くの人間の命を脅かす存在になりえるので、人間の身勝手ないいぶんではあるけれども、増えすぎないでね。と思うところであります。