バフェット解剖/著者:前田昌孝

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書籍情報

タイトル

世界一の投資家は長期投資ではなかった

発刊 2023年10月24日

ISBN 978-4-299-04753-3

総ページ数 251p

著者

前田昌孝

 証券ジャーナリスト。日本経済新聞社で神戸支社、ワシントン支局、日本経済新聞社編集委員を経て2022年2月に独立。

出版

宝島社

もくじ

  • まえがき
  • 第1章 株式投資は何のためか
    • 合理的な価格で買う
    • 価格差の追求ではない
    • 投資と宝くじとの違い_投資は博打とどう違うか
    • 簡単には儲からない_言うは易く行うは難し
    • 後から振り返れば簡単に見えても……
    • 人生の経験値を高める_損をするかもしれないが
    • ちょっとだけやってみるか
    • 宣伝には惑わされないで!LINEを通じた悪質勧誘
    • 一般メディアも甘い話
  • 第2章 バークシャーの現実
    • 証券投資は事業の1つ
    • 保有銘柄は「フォーム13F」で開示
    • 46銘柄の内訳_金額と株数から全体像を探る
    • 日本の商社株がない?
    • 大きな投資決断を振り返る
    • 10年前と20年前の状況
    • 思い切った銘柄入れ替え
    • 注目されるバフェット銘柄。199銘柄最高保有額ランキング
    • クラフト・ハインツやIBMは失敗
    • 平均保有期間は3.8年。実は「短期」投資家かも3分の1は1年以内で手放す
  • 第3章 ちょっと分析してみましょう
    • IBMを買ってから売るまで_期中には売買しない仮定
    • 期首の株数に株価騰落を掛ける
    • 「株主への手紙」から情報を補完
    • 2016年版にIBM株の取得元本
    • コカ・コーラの損益_大成功だった1994年の投資
    • 保有株数は変わらず
    • 199銘柄の損益ランキング_面倒な事前調整作業
    • アップル株が群を抜く
    • 投資効率がよかったのは_アップルを例に考えてみる
    • 投資元本は累計288億ドル
    • ベスト投資はBYDか
  • 第4章 四半期ごとの投資収益の分析
    • 銘柄ごとの損益を積み重ねる_ポートフォリオ戦略とは
    • 収益性、安全性、流動性のバランス
    • 米国株ポートフォリオの損益
    • 稼ぎ頭は何だったのか_98期のすべてを計算
    • 稼ぐ銘柄は決まっている?
    • 累計投資収益率から年間投資収益率へ
    • ベンチマークとの比較_1998年末からの長期収益率
    • バフェットさんでも指数に負ける
    • 鬼門だった2010年代
    • 個人が利益を享受するには_「経営者」バフェットさんを買う
    • S&P500を大きくアウトパフォーム
  • 第5章 バークシャーの運用の特徴
    • 常に数銘柄への集中投資_1つの投資スタイルと受け止めよう
    • 上位3銘柄で50%前後か
    • 健全といえるかは疑問
    • 大きな決断は数年に1回_時価増減と資金流出入
    • 保有全銘柄に対して全面展開
    • 過去にさかのぼって資金流出入を確認
    • 平均売買回転率は5%弱_普段はあまり売買しない
    • 過去98四半期の平均売買回転率
    • 見切り千両損切り万両_売買回転率と平均保有期間
    • コア銘柄を長期保有する傾向
    • 常に一歩先を読んでいるイメージ_慎重に見極め、動くときは動く
    • 製品市場の旬で売る?
  • 第6章 バフェット指標に映る警戒感
    • 時価総額を名目GDPで割る_ウィルシャー5000が計算の分子に
    • 過去には200%近くに達したことも
    • キャッシュフローの分析_株式相場の乱高下に備える
    • 四半期報告書から直接計算
    • 日本の商社株購入の状況
    • 1995年以降の元本投資額は340億ドル?
    • 高い現金比率は慎重さの表れ
    • キャッシュポジションは20~30%?
    • 日本のバフェット指標は1989年末のピークに並ぶ
    • 割高なのか割安なのか
    • 全世界で考えてみる_時価総額とGDPをグローバルで
    • 足元では100%をやや上回る
  • 第7章 バフェットさんから学ぶこと
    • 商社株投資もリスク分散_取得前に円建てで起債
    • 底値で買ったわけではない
    • 事業家の目で企業を見る_長期的な業績向上への期待
    • 「吸い殻投資」の考え方も
    • いつかは売るときがくる
    • 経営者の側面と投資家の側面_継続的に資金を振り向けられる
    • 自社株買いは積極派へ宗旨替え
    • 一般の人にはインデックス投資
    • アクティブ運用の価値はどこに
  • 第8章 新NISAにどう生かすか
    • 20~30代の投資参加者が増えている
    • 急落時は落ち着いて対処を
    • ベテランも初心者もサルも平等
    • インデックス投資一押しの理由
    • 成長投資枠の生かし方
    • ドルコスト平均法のリスク
    • 始まった顧客の囲い込み。用意周到に取り組もう
    • 投資で無理をしない
  • あとがき

はじめに

 バフェットは2023年8月30日に93歳の誕生日を迎えました。投資家ですので、現場を確認することは大切だと考えていたのでしょうが、はるばる太平洋を渡って日本までやってきたとこに感動です。

 筆者は66歳になり年金生活に入ろうというころです。耐乏生活しかできないと感じてしまいます。しかし、しっかりと投資をし続け、ひと財産築けば、老後は安泰であると想像はできるでしょう。

 30代の証券口座保有者は221万2893人にもなっています。30代の人口に対する普及率は16.4%に達しているのです。投資はお金持ちでなくてもチャンスが平等にひらかれています。

 バフェットは割安株の長期投資ではありませんが、考え抜いて投資をする人であることは間違いありません。成功したからといって有頂天にもなりません。バフェットに見習い、自分の投資スタイルを身に付け、いい人生を送る、これに尽きるのではないでしょうか。

収益性、安全性、流動性のバランス

 2022年度から全国の公と学校で始まった金融・投資教育では、金融商品の選択において収益性、安全性、流動性のバランスが重要だと強調されています。

 値下がりリスクがあっても高いリターンが期待できる商品、元本割れの可能性が極めて小さい商品、いつでも現金に換えることができる商品をほどほどの比率で持つことが重要だというわけです。

 バークシャー・ハザウェイのような機関投資家は当然のことながら、しっかりしたポートフォリオ戦略に基づいて資産運用をしています。本業の保険業で得られる保険料収入を元手にして株式などに運用しているのです。自分のお金ではなく、将来の保険金支払いの原資となっています。

 全部、株式にすると株式相場全体が大きく下がったときのリスクがあります。ある程度の現金や現金同等のものを持っていると、株式相場急落時に株式を買い入れすることができるのです。余裕がない運用だと、買いチャンスがきても、動けなくなってしまいます。

コア銘柄を長期保有する

 バークシャー・ハザウェイの売買回転率が低いのは、保有額が大きいコア銘柄を長期保有する傾向があるからです。コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレス、アップルといった銘柄は長く投資を続けています。

 企業規模の大小にかかわらず、早く手放すことも多い印象があります。バフェットが保有したということで、大きな話題を呼ぶことがありますが、ほとんどが短期間で売却されるのです。

 売却された銘柄の株価が必ずしも下がるわけではありませんから、売却の判断が適切だったかどうかも何ともいえないところがあります。

 いずれにしても本気で買った銘柄以外は、あっさり切ってしまうことが多いようです。

底値で買ったわけではない

 バークシャー・ハザウェイが投資した、コカ・コーラ、アップルなどは底値で買ったわけではありません。

 しかし、その買い判断が決して遅くはなかったことを実証しています。

 10年間で10倍以上に値上がりした銘柄を戦略的に勝った点では、日本の商社株買いにも通じる投資姿勢のように感じます。

 日本の商社株はまだ購入し始めたばかりとみられます。最終的な投資損益はすべてを売却し終えるまではなんともいえません。しかし、評価損益の段階では大幅な黒字となっていて、今回の決断はとりあえず、成功裏に推移しているといってもよさそうです。

インデックス投資一押しの理由

 バフェットが妻への遺言や一般の人々へのアドバイスで、インデックス投資を一押ししているのかというと、運用のプロが運用しているアクティブ投信の結果が、インデックス投資に勝てないという事実を知っているからです。

 何はともあれ、株式の保有者になることは『プラスサム』のゲームです。S&P500のすべてをリストアップしたボードに50本のダーツを投げてポートフォリオを構築する忍耐強く冷静なサルは、最初の『選択』に変更を加えたくならない限り、時間の経過とともに配当とキャピタルゲインを享受するでしょう

2020年版の「株主への手紙」より

 人間が銘柄選別した場合とリストアップした銘柄にサルがダーツで決めた場合とで、結果に差がないと、バフェットは言っています。バフェットは銘柄を選ぶことが好きなので、インデックス投資を選んでいませんが、それでも良い人生を送っています。

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