Newton 2022年11月号

Focus

 話題の最新研究やニュースをコンパクトに紹介するコーナーです。
 毎月いくつかの情報を紹介されています。ここでは個人的におもしろかった記事を、さらにコンパクトにしてピックアップします。

若田宇宙飛行士5度目の宇宙飛行へ

ジャンル:宇宙開発

出典 JAXA プレスリリースほか

2022年7月26日

 日本人として最多となる5回目の宇宙飛行に挑戦する若田光一さん。NASAによると、打ち上げは2022年10月3日以降を予定しているようです。

 今回はアメリカの民間宇宙企業スペースX社の「クルードラゴン」船で地球を飛び立ち国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングします。ISSへの滞在は、約半年です。一緒に搭乗する3人のクルーは初めての飛行で、若田さんはベテラン枠として呼ばれています。

 ウクライナ侵攻によってISSでの国際協力の影響が懸念される中で、活度が継続されることに注目があつまっています。

緑内障がチェックできるスマホゲーム

ジャンル:医学

出典 東北大学プレスリリース

2022年8月3日

 緑内障は、眼から入ってきた情報を脳に伝える「視神経」に障害がおき、視野がせまくなっていく病気です。日本人の失明原因の1位にあげられています。

 しかし、早期に発見して治療できれば失明に至ることはあまりありません。問題は末期にならないと自覚症状がないことです。

 東北大学の中澤徹教授らの研究グループは、仙台放送と共同で、緑内障を早期に発見するためのスマートフォン用アプリゲームを開発しました。特許申請済みです。

 そのゲーム内容は、片目ずつ開きながら画面に登場する隕石を撃つゲームになります。5分間取り組むと、プレイヤーの視野の状態を簡易的に判断してくれます。

新石器時代の人々は牛乳でお腹を下した

ジャンル:人類学

出典 Dairying, diseases and the evolution of lactase persistence in Europe

Nature, 2022年7月27日

 哺乳類の赤ちゃんは、母乳含まれる酵素をもっているが、離乳後には失われます。しかし、ヨーロッパや北アフリカ、西アジアの多くの人々は、この酵素が離乳後も働き続けており、成人になって牛乳を飲んでもお腹を下しません。

 イギリス、ブリストル大学のエヴァーシェッド博士らは、ヨーロッパにおける554の遺跡で出土した土器に付着していた脂肪酸を分析しました。

 紀元前4700~4600年ごろに遺伝子の変化が生じていたらしいことが、わかったようです。

 飢饉や病原菌にさらされることで、しだいにラクターゼの働きがながつづきする遺伝子が選択されたのではないかと述べています。

Focus Plus ヒトが話せる理由

ジャンル:動物学
監修:西村剛 京都大学ヒト行動進化ケンキュウセンター准教授
執筆:佐藤成美

ヒトが声を出すしくみ

 のどの奥にある声帯を振動させ、発した音から作られるのが声です。

 声の高さは背板の振動数で決まり、声の大きさは肺から出される空気の圧力で決まります。

 言語に関与する脳の部分は、大脳皮質にある「運動性言語中枢(ウェルニッケ野)」と「感覚性言語中枢(ブローカー野)」と特定されています。

 これまで声帯の機能や形態の真価については、言語獲得との関係を十分には研究されていませんでした。

ヒトは安定した声を出せる

 ファイバースコープを使ってサル類ののどの動きを観察すると、声を出す時には主に生体膜を使っており、声帯は付加的な役割しかしていないことがわかっています。

 コンピューターによる数値シミュレーションによって、サル類とヒトの声の出し方を解析すると、サルはヒトより弱い力で強い声を出せるが、複雑な振動による音声は乱れやすく、安定した声を出しにくいことがわかったのです。

 この研究により、声帯という器官の形の変化が言語の真価に重油なことが示されました。言語のあやつるためには、舌や声帯を動かす筋肉や呼吸の運動を制御する脳や神経の進化も必要です。

 「脳がどのように音声をコントロールできるようになったのか、総合的に言語の進化を明らかにしていきたいと考えています」と、西村准教授は語っています。

気候操作で温暖化は防げるか

監修:杉山昌広 東京大学未来ビジョン研究センター准教授
執筆:福田伊佐央

CDR・SRM

 CDRといわれると専門的で高度な手法に思うかもしれませんが、大規模な植林を利用して二酸化炭素を回収・除去する方法もあります。CCSといったバイオマスを使った発電などと組み合わせて二酸化炭素を吸収する方法もあるのです。

 大気中から直接二酸化炭素を回収する工学的な方法もあります。ヨーロッパやアメリカなどのベンチャー企業が競争するように研究し、それを大企業が支援することで、注目が集まっている方法です。どこまで回収コストを下げられるかに期待が寄せられています。

 SRMは、太陽光を反射させてエネルギーを宇宙に返し、地球を冷やすというものです。宇宙、成層圏、対流圏、地表面の4つで反射する場所が考えられています。

 宇宙に太陽光シールドを設置する方法、成層圏エアロゾル注入する方法、海上の雲の反射率は上げる方法、砂漠などに反射率の高いシートを敷き詰める方法などの具体案が考案されているようです。

第三の温暖化対策

 CDRやSRMのほかにも、特定地域に対策をほどこすことで温暖化を抑制しようとする方法が提案されています。

 中国の研究者らは、南極の氷床の周辺の懐中にプラスチック製のカーテンを設置し、暖かい海水が氷床に触れないようにするアイデアを提案いています。シミュレーションでは、暖かい海水の流入をかなり防げるとのことです。

最新型旅客機「エアバスA350」

監修:浅井圭介 東北大学名誉教授
元の記事の執筆者:中作明彦

 中型のジェット旅客機として、エアバス社のA350が世界の航空会社で導入が進んでいるようです。世界では461機の納入され、日本ではJALが2019年から導入をはじめて、現在16機が国内線に就航しています。

 A350は従来のものより25%も燃費が向上し、航続距離も伸びました。

 主翼の先端にウイングレットと呼ばれる可変型の翼片がついています。連続的に変化させ、最適な構造に保って空力特性を高められるようです。

 ロールス・ロイス者が製造するターボファンエンジン「トレント(Trent)」シリーズの最新型、トレントXWBが装備され、バイパス比が非常に高く静音で効率のよいエンジンが搭載されています。

 オートブレ―キも進化しており、到着時に自動的に減速してくれるシステムBTVはパイロットの負担を軽減させてくれる設備です。

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