定期購読をしているnewtonの記事を紹介します。気になった記事をさらに簡単な情報にして、楽しさを届けられたらなと思います。
目次
Focus
話題の最新研究やニュースをコンパクトに紹介するコーナーです。
毎月いくつかの情報を紹介されています。ここでは個人的におもしろかった記事を、さらにコンパクトにしてピックアップします。
東南アジア人のルーツ
ジャンル:人類学
出典:Genome of amiddle Holocene hunter-fatherer from Wallacea
Nature, 2021年8月26日
熱帯性気候のために遺伝子情報が残りにくく、東南アジア人の祖先につては不明点が多く残っています。
ドイツ、マックス・プランク研究所のカールホフ博士らは、インドネシアの鍾乳洞に埋葬された人骨から遺伝子配列を抽出することに成功しました。この人骨は、約7200~7300年前の若い女性でした。新石器時代以前の狩猟採集民のものとされています。オーストラリアなどの土着グループに似ているが、異なる遺伝子情報を含んでいるといいます。
手合いは20秒の理由
ジャンル:物理学
出典:Will we ever wash our hands of lubrication theory?
Physice of Fluids, 2021年8月17日
手洗いは感染予防に有効な手段として、170以上前から知られています。しかし、今まで物理的な効果の研究は1つもなかったのです。
イギリス科学コンサルタントのハモンド博士は、手洗いの様子を数学モデルに置き換えて検証しました。検証結果として、病原体を引き剥がすには、強い摩擦力が必要だとわかったのです。
感染予防に有効な手洗いは、すきまを埋めて、強く、素早くこすり合わせることが重要だと語ります。病原体を落とすために必要な時間は20秒だそうです。WHOが推奨する手洗いの時間と一致します。
サイト管理人
流水に手をさらすだけでは、効果がないぞ。
気候変動などの複雑な物理現象にひそむ本質を見抜いた
ジャンル:物理学
監修:江守正多 国立環境研究所 地球システム領域副領域長
元の記事の執筆者:編集部 竹ケ原諒貴
2021年ノーベル物理学賞に3人が選ばれた
◎受賞者
真鍋叔郎 アメリカ プリンストン大学上級研究員
クラウス・ハッセルマン ドイツ マックス・プランク気象研究所教授
ジョルジョ・パリージ イタリア ローマ・ラ・サピエンツァ大学教授
地球温暖化の研究を発展させた
真鍋博士は、1964年に「1次元大気モデル」を構築しました。大気を水平方向に均一だとして、温度の変化を高さの方向だけと考えたものです。高度ごとの気温をシミュレーションし、現実と一致しました。
そこで、道草をして、窒素・酸素・二酸化炭素の濃度を変更させたときの気温の変更を調べました。すると、二酸化炭素を2倍にひたときにだけ、地表付近の温度が2.3℃上昇したのです。当時はこの結果が、何を示すのかわかっていませんでした。この道草が、地球温暖化の研究を大きく進めることになります。
1988年、IPCCに引用されたモデル「大気海洋結合モデル」を構築します。当時のコンピューターで地球温暖化を再現してみせたのです。
ハッセルマン博士は1980年代に、自然現象だけでは近年の気温上昇の説明がつかないことを発見しました。自然現象で起きる地球温暖化の影響を別に調べ、自然現象に人間活動の影響を加味すると現状と一致することがわかったのです。
磁石の性質をもつ物質は、原子の「自転」の向きがそろうことが知られています。その原子の集合体に別の原子がまぎれ込んだ場合に、不安定になり変化を起こします。そのふるまいに法則性があることをパリージ博士は発見しました。
SNSと「バズる」の心理学
監修:小森正嗣 大阪電気通信大学教授
元の記事の執筆者:福田伊佐央
SNSでの情報の広がりやすさ
バズるとは、インターネット上で急激に情報が拡散することを表します。
ツイッターでバズった状態を判断するにはリツイート数をみるといいのだそうです。
ツイッターの利用者は大きくわけると2つになります。
- インフォーマー ためになる情報を発信するひと 全体の利用者の2割
- ミーフォーマー 自分のこと発信するひと 全体の利用者の8割
ミーフォーマーは体験や感情をつぶやきます。フォロワーが少ない人ほどうわさを発信しやすく、恐怖に感じる情報ほど拡散しやすい傾向にあります。
特に、中身を信じていなくてもデマは広がります。中国で製造・輸出しているためトイレットペーパーやマスクが品薄になるというデマは、不安が不安をよび、しまいにはデマが現実になりました。「多元的無知」といいます。
SNSの運用側も努力をしています。誤解を招く情報に警告をしたり、自殺に関するつぶやきには自殺防止センターの問い合わせ先を表示しています。
インフルエンサーにPRしてもらうも、狙い通りに商品が広まらないことも多いです。なにげなく投稿したものが炎上することもあります。そんなこともSNSの面白さではないでしょうか。SNSの発信は、間違っていたら訂正することができるのも利点です。上手に活用していきましょう。
拡大つづく中国の高速鉄道
監修:曽根悟 東京大学名誉教授、 高木亮 工学院大学工学部電気電子工学科教授
元の記事の執筆者:荒舩良孝
中国では高速鉄道網の整備が一気に進められている
中国の鉄道の営業距離は、今や地球一周(約3万8000キロメートル)にもおよぶ世界一の長さです。中国都市の人口の95%をカバーしているといわれています。
中国はほどよく都市と都市が離れているため、鉄道を整備するのが現実的であった側面があります。土地の個人所有が認めれていないのも鉄道開発に滑車をかけているのです。
技術の教育費にお金をかけて、中国独自で科学が発達させていました。鉄道はさらに建設を進めていく予定です。しかし、建設費はすでに膨大な債務を抱えており問題が表面化されつつあります。
中国の鉄道開発を箇条書きにすると以下の通りになります。
- 日本の新幹線をベースにしたCRH2型を300km/hで運用
- 350km/hで営業しているCRH380B型
- 中国企業に国産車両CR400型 習近平のスローガンをもとに「復興号」と名付けられている
- 雄安新区に巨大ターミナル駅を建造
- 高速鉄道専用の巨大大橋を建設中
- ウイグル自治区の北西部にも高速鉄道がひかれる
- 600km/hでの走行を目指すリニアモーターカーを開発中
サイト管理人
北西部に鉄道がひかれていることの意味を考えてしまいます。中東やロシアのルートの搬出入を、債務を抱えてでも確保したかったのでしょうか。中東が落ち着かない、ロシアの氷海ルートも確保できないとなると、債務を返済できるほどの実利を得られるのでしょうか。中国は世界一の影響力をもつ大国になるかもしれませんが、遠い感じがいたします。
日本は、教育への投資を中国に見習う必要もあるのではないでしょうか。こと科学技術に関しては中国は本当に凄いと思います。
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