みんなで考える脱炭素社会

※ニートが興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 温暖化が原因とされるものに海面上昇があります。このまま放置すれば、海面上昇による難民が発生する確率が高くなるのです。食料や水をめぐる対立と難民の移動が、国家間の火種となり、地域の安定を脅かすことにもなりかねません。

 脱炭素を急がなければならない理由は、温暖化が進むにつれて永久凍土が溶けているからです。

 北極圏の高緯度地方の永久凍土が溶けることへ警戒を強めています。凍った土が溶けだすと、微生物による植物の分解が進み、大量のメタンを大気中に放出してしまうのです。

 メタンは$\ce{CO2}$の約20倍もの温室効果があり、北極圏のメタンを放出してしまうと環境改善しても手遅れになりかねません。

書籍情報

タイトル

ビジュアル解説

みんなで考える脱炭素社会

著者

松尾博文

日本経済新聞社論説委員兼編集員。

 エネルギーや商社、機械・プラントなどの業界や経済産業省、外務省などを取材しています。イラン、エジプト、アラブ首長極連邦(UAE)の3か国に駐在経験があります。

出版

日経BP

SDGsの環境目標

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 SDGs(Sustainable Development Goals)は、2030年までに持続可能で、よりよい世界を目指すための国際目標です。

 SDGsは17のゴール(目標)と、そのための169の具体的な取り組みで構成されています。

ゴール13「気候変動に具体的な対策を」

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  • 気候関連災害や自然災害に対する強靭性(レジリエンス)や適応能力を強化する
  • 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む
  • 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する

 すべての国が気候関連災害や自然災害に対する備えを高めること、政治や国家戦略に環境対策を組むことが定められているのです。

世界はどんなエネルギーを使っているのか

 米国では石油、ロシアは天然ガス、フランスは原子力が発電エネルギーの主力となっています。

 1人あたりの$\ce{CO2}$排出量を比べてみると、2位の中国は米国の半分以下です。先進国の省エネ対策も脱炭素の重要点であることを頭に入れておきましょう。

こんなことがグラフから推測できます
●フランスは原子力発電に頼っており、それらの資源はロシアから調達させれています。●同じEUでもドイツは再生可能エネルギーが普及していつことがわかります。
●ロシアは資源を売りたいので、再生エネルギーの開発は行っていません。
●中国は川が枯渇するほどダムを建設しましたが、満足のいく水力発電量を確保できていません。水力発電を理由に水不足を解消したのでは?

原発について

 原子力発電の稼働比率を約20%とする目標を立てていますが、安全検査を終えた原発を据えて動かさなければなりません。再起動には立地自治体の了解が必要になります。原発の運転期間は原則40年とされています。延長できる20年を考えても、2070年以降には残らないでしょう。

 原子力発電所を増やしている国は、中国、ロシアです。フランスも原発の建設再開を決めています。原発の小型化の研究が盛んに行われており、SMRなどの開発に注目です。

米国の脱炭素の取り組み

 米国では、州政府の独自の対策が先行しています。カリフォルニア州は2035年までにガソリン車の販売を禁止するのです。
 他にも、再生可能エネルギーの調達を義務付けする州も少なくありません。

 バイデン大統領は2030年に新車販売に占めるEVなどの比率を半分以上にすると署名しています。ただ、2020年の時点で新車販売でEVが占めるのは2%です。かなり高いハードルでしょう。

ドラック・バス、電気化

 日本では運輸部門の$\ce{CO2}$排出量のうち、約4割トラックやバスなどの商用車が占めています。米国では物流に占めるトラック輸送の比率は重量ベースで7割を超えます。

 カリフォルニア州では2035年以降、ガソリンやディーゼルトラックの乗り入れができなくなります。EUも規制を強化すると言っているのです。

 小型のEVトラックやバス、FCトラックの準備をしなければなりません。

 トヨタ自動車は2018年い79人乗りのFCバスを発売しました。日野自動車、アサヒグループホールディングス、ヤマト運輸など6社で2022年春から大型FCトラックを使った物流業務での走行実証を始める予定です。

レアメタルの確保

 産出量が少ない約30種類の金属資源のことをレアメタルといいます。

 蓄電池にはリチウム、ニッケル、コバルトなどのレアメタルが使われて、モーター類にはネオジムなどのレアメタルが必要です。

 レアメタルの6割が中国に集中しており、取引量が限られています。また価格も変動的です。

 レアメタルが必要となる量をいかに少なくできるか、調達できるかが不安材料となっています。

 重要なリチウムはオーストラリア、チリが主な生産国で、コバルトは今後民主共和国が生産国です。

 ネオジオを含むレアアースと呼ばれるものは6割が、中国が生産国となっています。

 このレアアースを使わないモーターの開発が、日米で進められています。

感想

 映画観に行くときに見かけるトラックの多さに、これ全部FCトラックにするのは無理があるんじゃないと思わずにいられません。中国で生産されるレアアースの代わりになる技術や材料が見つかれば、ちょっと明るい兆しが見えてくる気もいたします。

 エネルギーや資源をたどっていくと、なんで脱炭素の開発が盛んになっているかがわかります。SDGsで世界の人たちの意識を変えないと、EUは困るでしょう。

 SDGsや環境問題が経済や政治に影響することは、なんとなく想像がつくでしょうか?

 SDGsの株に投資することに否定的な事を述べる著名人が多くいらっしゃいますが、環境問題やSDGsに対して否定しているわけではありません。

 世界がどんなエネルギーを使っているかは、かなり重要な情報です。これが、頭の片隅に入っていないと、外交・政治・社会についての雑誌や記事の内容を理解できません。

 図と絵がメインで、文字が少なくコンパクトに、わかりやすくまとめてある書籍だと思いました。

 また、忘れたころに、こういう本を読めたら良いなと思います。

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