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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
書籍情報
個々のスパイスの特性をつかみ、食材や調味料とロジカルに組み合わせる
スパイス・マトリックス
発刊 2024年2月18日
ISBN 978-4-416-52410-7
総ページ数 271p
日沼紀子
スパイス調合師として20年以上の経験があるスパイスのスペシャリスト。
料理やオリジナルのミックススパイスにはファンが多い
誠文堂新光社
- コンテンツ
- はじめに
- スパイスは何のためにあるか?
- スパイスマトリックス
- 食材チャート
- 本書の使い方
- Chapter1 スパイス総論
- スパイスの形状・粒径
- スパイスの香りのつき方
- スパイスを使う方法と形状
- ①下味をつける(調理前)
- ②食材と一緒に加熱する(調理中)
- ③和える、トッピングする(調理後)
- 料理におけるスパイスの働きと使い方
- 料理の構成要素
- スパイスの働き
- スパイスの選び方
- スパイスを使うタイミング
- Chapter2 スパイス各論
- 爽やかな香りのスパイス
- 甘い香りのスパイス
- エスニックな香りのスパイス
- 辛味スパイス
- 旨味スパイス
- 酸味スパイス
- 色味スパイス
- (掲載スパイス)
- 青唐辛子
- 青花椒
- 赤唐辛子
- アジョワン
- アニス
- アムチュール
- エルダー
- オールスパイス
- オレガノドライ
- オレガノフレッシュ
- オレンジ
- カカオニブ
- カモミール
- ガランガル
- カルダモン
- カレーリーフ
- キャラウェイ
- クミン
- クラチャイ
- グリーンペッパー
- グレインズオブパラダイス
- クローブ
- 黒胡椒
- ケイパー
- こぶみかん
- コリアンダー
- サフラン
- 紫蘇
- シナモンカシア
- ジュニパーベリー
- 生姜ドライ
- 生姜フレッシュ
- 白胡椒
- スマック
- セイロンシナモン
- セージドライ
- セージフレッシュ
- セルフィーユ
- セロリシード
- ターメリック
- タイムドライ
- タイムフレッシュ
- 玉ねぎ
- タマリンド
- タラゴン
- 陳皮
- ディルシード
- ディルウィード
- テージパッタ
- トンカ豆
- 陳皮
- ナツメグ
- ニゲラ
- にんにく
- ハイビスカス
- パクチー
- バジルドライ
- バジルフレッシュ
- パセリ
- 八角
- バニラ
- パプリカ
- パラダイスグレイン
- パンダン
- フェヌグリーク
- フェンネルシード
- フェンネルリーフ
- ブラウンマスタード
- ブラックカルダモン
- ブラックソルト
- 花椒
- ホースラディッシュ
- ホワイトマスタード
- マジョラムドライ
- マジョラムフレッシュ
- ミント
- メティ
- 柚子
- ラベンダー
- レモン
- レモングラス
- レモンバーベナ
- レモンバーム
- ローズ
- ローズヒップ
- ローズマリードライ
- ローズマリーフレッシュ
- ローリエ
- わさび
- 和山椒
- Chapter3 スパイスのエリア特性
- スパイスによる食文化のグループ
- フランス
- 北欧
- イタリア
- スペイン
- Column イスラム帝国の食文化
- トルコ
- イラン
- モロッコ
- インド
- Column カレー粉ルーツ
- Column アフリカのスパイス
- 東南アジア
- 中国
- 日本
- テキサス、メキシコ、中南米
- あとがき
はじめに
スパイス部門を立ち上げ、スパイスを使ったたくさんの商品を作る、という1企業のプロジェクトからスタートした経歴も20年以上経ちました。
企業や飲食店の商品やメニュー開発のお手伝い、スパイス研修、レストランでのスパイス料理の提供、料理教室、などなど、スパイス調合師の仕事は多岐にわたります。
そのスパイス調合師が普段どうスパイスを料理に組み込んでいるかを開設した本です。料理をするみなさまのお役に立てるなら、この苦労も報われます。
料理におけるスパイス
美味しい料理とは、「旨味」「塩味」「甘味」「酸味」「苦味」のバランスが取れている料理です。
甘味や酸味が、「際立って良い個性になっている」か「際立ちすぎて全体のバランスを崩している」かを見極める必要があります。
料理を美味しくしてくれる付加価値要素が「香り」「辛味」「彩り」です。もっと言えば、食事をする環境や、そのときのあなたの心情なども影響しますが、直接的に関わるのはこの3つの要素です。
料理の基軸要素
- 旨味
- 主役となる食材の旨味
- 発酵調味料の旨味
- 加熱や発酵で引き出される旨味
- 塩味
- 調味料や食材の塩味
- 味がぼやけているときは、塩味が薄い場合が多い
- 甘味
- 食材や調味料、油脂の甘味
- 加熱や発酵で引き出される甘味
- 酸味
- 調味料や食材の酸味
- 発行などで引き出される酸味
- 苦味
- 食材の苦味
- 調理で引き出される焦げなどの苦味
料理の付加価値要素
- 香り
- 食材や調味料が持つ香り
- 食材同士の相性やバランスを考慮する必要がある
- 辛味
- 食材や調味料が持つ辛味
- 強すぎると他の要素の邪魔をするので、適量を見定める
- 彩り
- 食材や料理の色
- 器やクロスの色
- 盛り付けの美しさ
クミン
UnsplashのPradeep Javedarが撮影した写真
- ドライシード
- 生は青々しい香、炒めるとナッティな香り
- ドライ粉末
- いわゆるカレーの香り。量が調節しやすく使いやすい
相性のよい食材と調理方法、調理例
鶏肉 かぼちゃ 芋 バター イワシ サンマ オールマイティ
- 下味
- きゅうりの味噌漬け(漬底に混ぜる)
- クミンのクッキー(生地に混ぜる)
- 加熱
- イカの肝炒め(テンパリングして一緒に炒める)
- タジン煮込み(他のスパイスと混ぜて一緒に煮込む)
- 仕上げ
- サラダ(トッピングに)
- フムス(トッピングに)
地域での使われ方
アメリカ南部:タコスでは、チリコンカンやなちょすなど様々な料理にコリアンダーやオレガノドライと合わせて使われます。
トルコでは、消化によいとされ、繊維質の多い野菜などと合わせられます。トッピングにも多用されるのが特徴です。
ジョージア:ヒンカリでは、餃子のようなダンプリング。パクチーや唐辛子と一緒に肉タネに混ぜます。
インドでは、煮込み料理や炒めのもの、揚げ物などに使われます。
南アフリカ:ボボティでは、ケープマレーカレーなど、カレー粉の材料としてクミンが使われます。
モロッコでは、タジン煮込みやクスクスなど、ミックススパイスとして主に粉末が使われます。
カレー粉のルーツ
イギリス人ルート
17世紀のイギリスでは、アジアでの商売を独占しようと、商人がインドに渡りました。そこで現地の助成と結婚し、美味しいスパイス料理と出会うのです。
自国に戻った彼らが味を再現しようと試みて、カレー粉が発明されました。18世紀末には、一般家庭に普及しています。
イギリス人たちが入植したアメリカ、カナダ、オーストラリアなどでも、カレー文化が広まりました。多様なエリアでカレー料理が受け入れられたのです。
日本には、イギリス軍の食事としてカレーが紹介され、日本のご飯と合わせたカレーライスが生まれます。カレーライスが人気になり、カレールウやレトルトカレーなどが発明されて、今日の家庭の味として親しまれているのです。
インド人ルート
奴隷制度の字田ぢ以降、インドからの移民が各地に広がります。カリブ海周辺の地域では、豆のカレーや肉や魚のカレーなどインド料理の影響が見られるようです。
南アフリカは、ヨーロッパにおけるアジア貿易の中継地となり、インドネシアやインドから奴隷として多くの人々が連れてこられました。彼らはケープマレーと呼ばれ、料理上手とされた彼らが残した料理は今もケープマレー料理と名付けられています。
盗難アジアはインドと隣接する地域もあり、インド料理の影響を受けたカレー料理が多く存在します。ベトナムカレー、タイカレーなど、現地のフレッシュハーブとインド的なドライ粉末の両方を使うハイブリットカレーです。