雑草学のセンセイは「みちくさ研究家」/著者:稲垣栄洋

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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

書籍情報

タイトル

雑草学のセンセイは「みちくさ研究家」

発刊 2023年11月10日

ISBN 978-4-12-005710-6

総ページ数 252p

著者

稲垣栄洋

植物学者。雑草学者。静岡大学大学院農学研究科教授。

出版

中央公論新社

もくじ

  • シロツメクサとレジャーランド
    • 「先生の学生時代について教えてください!」
    • かつて授業はサボるものだった
    • 学生の皆さん、ごめんなさい
    • 宮沢賢治「ポラーノの広場」のシロツメクサ
    • ドイツ語と雑草学を二年連続受講したワケ
    • 「富士山は横に長い山」!?
    • 内容は忘れたけど、とにかくすごい授業
    • アインシュタイン曰く「本当の教育とは……」
  • 不合格通知とオオイヌノフグリ
    • 始めて図鑑を調べて覚えた雑草は?…etc
  • オヒシバと坂道アイドル
    • 「雑草」と「植物」はどう違う?…etc
  • タイヌビエと漫才コンビ
    • 田植えガール、参上…etc
  • 忍者屋敷とコオニビシ
    • 外来生物ジャンボタニシ…etc
  • 誰もいない森戸ジャングル芋掘り
    • 一番おいしい農作物は誰の手に?…etc
  • セイタカアワダチソウと花粉症
    • 問題は「多いか少ないか」ではない。「あるかないか」だ…etc
  • イタドリと左腕の古傷
    • 鎌は危険!…etc
  • メリケンカルカヤと青春18きっぷの旅
    • そばとうどんと青春18きっぷ…etc
  • 「教えない先生」とコウガイゼキショウ
    • コロナ禍の学生たちの本音…etc
  • 温泉卓球とスミレの花
    • 茶摘みはおしゃべりしてこそ…etc
  • あとがき_スカシタゴボウとみちくさ研究家

罪作りな牧野富太郎博士

UnsplashJulia Zyablovaが撮影した写真

 オオイヌノフグリは、春を告げる花です。

 大学に入りクラス名簿を作ろるときに、いろいろと書く欄があって「好きな異性のタイプ」というものがありました。今では考えられないような、個人情報満載のプライバシーゼロの名簿です。

 そこに「陽だまりに咲くオオイヌノフグリのような女の子」と書きました。

 書いてしまった後で「フグリ」についての意味を調べて仰天したのです。植物にくわしい人であれば知っていることではありますが、「フグリ」は陰嚢という意味合いが含まれています。

 このかわいらしい花には「星の瞳」というすてきな別名もあるのです。酷い名前をつけたのだろうと思うでしょう。犬というのは役に立たないという意味があります。けれど、オオイヌノフグリは説明しづらい植物であることに変わりはありません。その実の形で名前をつけた昔の人のセンスはすごいものがあります。

ブタクサが分布を広げた理由

 植物は、風で花粉を運ぶ裸子植物から、虫に花粉を運ばせる被子植物に進化しました。そして、虫のいない荒地のような環境では、風媒花に進化し直す植物が現れます。

 ブタクサは風で花粉を運ぶキク科の植物です。ブタクサは花を美しく目立たせる必要がありません。ブタクサはの花は、花とは思えないほど地味です。目立つ花の影で、人目に気がつかれることなく、分布を広げていきました。

 イネ科植物は、被子植物の中ではもっとも進化したグループの1つです。カモガヤに代表されるイネ科植物も、花粉症の原因となる植物になっています。

バラのように生きる

 すべての人にとって人生はいばらの道です。

 しかし、バラは美しさの象徴でもあります。愛の象徴でもあり、血の象徴です。

 生きてさえいれば、生命は輝き続けると、私は解釈しています。

 生命の喜びは虫けらさえ与えられているのです。

 私たちにできることは、虫けらと同じように生きることだけなのです。

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