2040年の日本

※※ 毎朝、5分ほどで読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 人生の長期計画を考えるにあたっては、日本と世界が将来どのような姿になっているかを予測する必要があります。専門分野や職業を選択する際には、こうした検討が意味を持つのです。

 企業が事業を進めるときは、未来がいまとは違う経済環境であることを先取りすることが重要になります。

 人口の高齢化、労働力の減少、社会保障負担額の増加、日本の将来は必ずしも明るいものではないでしょう。

書籍情報

タイトル

2040年の日本

第1刷 2023年1月20日

編集人 小木田順子

編集者 四本恭子

発行者 見城徹

発行 (株)幻冬舎

ブックデザイン 鈴木成一デザイン室

印刷・製本 中央精版印刷(株)

ISBN 978-4-344-98683-1

総ページ数 304p

著者

野口悠紀雄

一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。

 一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファンナンス研究科教授を経て現職。

出版

幻冬舎新書

現役世代と高齢者の人口が同じ

作者: もちゃり

 今の現役生台の総人口の比率は6割です。これが、2060年までに5割まで低下します。高齢者への給付を今と同じ計算で行うと、現役世代1人あたりの負担額は2倍になるのです。

 このような制度は、維持できないでしょう。

 こうした条件下で日本社会を維持し続けるための準備を、いまから行う必要があるのです。

 高齢者や女性の労働力率を上げることは、大きな効果を持つのではないでしょうか。そのための税制の設計を見直すべきです。

 2018年の税制改正で、配偶者控除という形でのみ控除額が増えました。結果として、妻にあたる人たちが150万円以内での非正規雇用が増えたのです。しかし、女性の社会参加を本格的に増やしていることにはなっていません。

 新しい技術やビジネスモデルを採用し、労働力不足を補うには、外国からの移民を認めることも必要でしょう。

日本は何を目指すべきか

Image by xegxef from Pixabay

 日本がこれまで経済大国だったのは、経済規模が大きかったらです。いくら大きくなっても、今後の中国とアメリカの成長を前にしては、もはや何の意味も持ちません。

 しかし、未来において日本の役割がなくなるわけではないのです。北欧諸国は経済規模は小さいが、世界経済の中で重要な役割を担ってきました。日本も世界経済に不可欠なものを持てるかどうかが問われることになります。

自動運転が引き起こす社会変化

UnsplashRoberto Nicksonが撮影した写真

 レベル5の完全自動運転が可能になれば、タクシー、トラック、バスなどのドライバーは必要なくなります。また、自動運転のコストが人件費を上回れば、積極的に自動運転を取り入れることでしょう。

 とはいえ、自動運転によるメリットは無視できません。

 過疎地や地方都市での利便性が飛躍的に高まるはずです。物流も無人運搬ができれば、宅配がパンクする心配がなくなります。そして、インターネット内で商品を販売できれば、店舗が要らなくなるのです。

 自動車は所有するものではなく、利用するものに変化するでしょう。自動運転タクシーが、コスト安で今すぐ呼べるのであれば、車を所持する意味がなくなります。

アメリカでは成績で賃金が違う

Image by Andrew Tan from Pixabay

 アメリカの学生は、大学に入学してから「死に物狂いで」勉強します。そこでの成績で初任給が大きく違うからです。

 MBAなどの学位を取れば、著しく高額の初任給を期待できます。

 また、入学できても、自動的に学位が取れるわけではありません。成績が悪ければ、途中で容赦なく落とされます。

 就職先の業種によって年収がかなり違い、やはり成績に大きく影響を受けています。だから、大学院生も勉強するのです。

 すべてがうまくいけば2000万円を超える年収だから、高額の授業料を払っても、ごく短期間のうちにそれを取り返せます。つまり、収益率が高い先行投資なのです。

あとがき

 われわれより少し上の世代が、日本を再建しました。

 われわれの世代は、下働きとしてそれを手伝っただけだけれど、経済成長という成功体験を共有しました。

 そして、われわれの世代は、日本円の実質的価値を約1/3まで下落させ、未来への責任を果たしていません。

 しかし、まだ臨界点を越えてはいないと信じています。現在の状況は、修復可能な段階にあると思うのです。

 一刻も早く日本の再建に全力を尽くしましょう。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 「世の中のトラックが、全てがEV化できるイメージができない」などと、未来に期待している技術に対して、思考することはありました。けれども、実現した後のことにまで目を向けることを怠っていたように思えます。

 この書籍は、実現した後に起きる問題にも論点を集中しています。「そうかもしれない」と思いながら、ペラペラと新書を読み進めていく楽しさに触れられたような気がするのです。

 未来予測が好きな方は、この本を読みながら将来を考えてみるのも面白いかもしれません。

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