※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
目次
書籍情報
ビフォーとアフターが一目でわかる
発明が変えた世界史
祝田秀全
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所研究員を経て、聖心女子大学文学部歴史会社学科講師。
朝日新聞出版
- はじめに
- 本書の見方
- 第1章 古代の発明
- 【文字】 文明を生み出した大発明・
- 【貨幣】 人々に経済活動をもたらした
- 貨幣の進化
- 【鉄器】軍事力を大幅に向上させる武器になる…
- 【紙】情報が手軽に記録できるようになった
- 【印章】身分と権力を象徴する
- 【酒】腐らない飲料として広まり、嗜好品となった
- 酒の進化
- 【車輪】 人や物資の移動に革命を起こした
- 【上下水道】現在の都市には必須のインフラ設備
- 【そろばん】複雑な計算を可能にした
- 【馬具】馬を制御して扱いやすくした
- 馬具の進化
- 【時計】「時」という概念を可視化した発明
- 時計の進化
- 【仏像】仏陀をかたどり、仏教を世界中に広めた
- 【暦】季節を区切り、日にちを記録できるようになった
- 【ゼロ】無限の数を表現できるようになった
- 発明こぼれ話 古代の天才数学者アルキメデスの発明
- 第2章 中世・近世の発明
- 【毛織物】 ヨーロッパの歴史を動かした産業
- 【火薬】 世界を変えた三大発明のひとつ
- 【銃(火器)】軍隊を近代化させ、戦争を一変させた発明
- 銃の進化
- 【活版印刷】情報が大衆に届くきっかけとなった
- 【羅針盤】大航海時代に必須のアイテム
- 【世界地図】 未知への冒険が世界を広げる!
- 地図の進化
- 【船】 未知の土地へとたどり着く手段
- 船の進化
- 【望遠鏡】宇宙の謎を解き明かすきっかけに!
- 光学機器の進化
- 発明のこぼれ話 万能の天才ダ・ヴィンチは本当に発明家だった!?
- 第3章 17~18世紀の発明
- 【保険】万が一に備えた、画期的な相互扶助のシステム
- 【株式】 事業に必要な資金を集めるシステム
- 【コーヒーハウス(カフェ)】文化や芸術、思想を共有する社交場
- 【蒸気機関】 原動力として産業革命を支えた
- 蒸気機関の進化
- 【紡績機と力織機】 イギリスを最大の先進工業国に導いた
- 【ガラス】明るい室内で過ごせるようになった
- 【ワクチン】 危険な感染症から命を守る
- 発明こぼれ話 産業革命が起きた理由は特許制度があったから?
- 第4章 19世紀の発明
- 【缶詰】 画期的な食料保存法
- 【タイプライター】女性が社会進出するきっかけになった
- 【鉄道】人の移動が便利になり、産業が発達した
- 鉄道の進化
- 【カメラ】歴史的瞬間をとらえ世界を動かした
- カメラの進化
- 【コンクリート】強度の高いビルの建設が可能に
- 【飛行船】人類の夢を叶えた世界初の動力飛行
- 【ダイナマイト】 爆薬の安全利用が可能になった
- 【石油精製】新しいエネルギー源が実用化
- 【自動車】個人の長距離移動を実現した
- 【電話】遠く離れた人へ声を届ける
- 電話機の進化
- 【蓄音機】 音楽産業を生み出した
- 音楽再生機の進化
- 【電気】生活を一変させたエネルギ
- 【白熱電球】夜を照らし、人間の活動時間を増やした
- 照明の進化
- 【X線(レントゲン)】 放射線の解明につながった
- 発明こぼれ話 世界の発明王は訴訟だらけのビジネスマン!?
- 第5章 20世紀前半の発明
- 【新聞】世の中の動きを大衆に伝えた最初のメディア
- 【映画】 民衆を熱狂させたまったく新しい娯楽・
- 映画技術の進化
- 【無線通信】電波を実用化させた画期的な発明
- 無線通信の進化
- 【飛行機】エンジンの推進力で空を翔ける
- 飛行機の進化
- 【戦車】第一次世界大戦のさなかに登場した新兵器
- 【窒素肥料】世界の人口を急増させた大発明
- 【ロケット】 人類が宇宙へ飛び立つきっかけに
- 【テレビ】家の中で楽しめるエンターテインメント
- 【ペニシリン】人類を感染症から救う大発見
- 【プラスチック】大量生産、大量消費の象徴
- プラスチックの進化
- 【原子爆弾】人類を滅ぼしかねない危険な発明
- 発明のこぼれ話 「夢の物質」から一転 人類がつくりだした「負の発明」
- 第6章 20世紀後半以降の発明
- 【トランジスタ】あらゆる電子機器に欠かせない部品
- 【人工衛星】宇宙からの観測を可能にした
- 【家庭用ゲーム機】世界最大規模の娯楽産業に成長・
- 【インターネット】情報アクセスに革命を起こした
- 【パソコン】個人が情報処理を行える時代に
- コンピュータの進化【スマートフォン】 小さな端末で世界とつながる
- 世界を変える最新のテクノロジー!
- 世界を変えた日本の発明品!
- 主な発明年表
書籍紹介
この本は、発明や技術の革新が歴史をどのように動かしてきたのかをテーマにしています。私たちの身近にあるもの、例えば文字やプラスチック、自動車などが、どのように社会を変え、歴史の流れに影響を与えたのかが丁寧に描かれています。約60の身近なモノや技術に焦点を当て、豊富な資料とともにその背景を紐解いているのが特徴です。
興味深いのは、単なる発明の歴史にとどまらず、それが社会に与えた影響を「ビフォーとアフター」という形で明確に示している点です。例えば、文字が生まれる前と後では情報の伝達がどう変わったのか、自動車の登場が人々の生活や経済にどんな波及効果をもたらしたのかが、一目でわかるように整理されています。
読み手が歴史の大きな流れをつかみやすい工夫が随所に感じられます。この本は、前作「宗教が変えた世界史」の続編にあたりますが、独立して楽しめる内容です。歴史に詳しくない方でも、身近なテーマから入ることで自然と興味が湧いてくるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
保険 冒険貸借

みんなでお金を出し合って、困った時に備える保険の仕組みは、古代ギリシアやローマから始まります。嵐や海賊など、海上の交易は危険がつきものです。
航海前に舟や積荷を担保にお金を借りても、海難事故にあったときには返済を免除されるという制度でした。成功すれば、利息をつけてお金を返すという「冒険貸借」が成立していたのです。
冒険貸借は、紀元前300年後頃、地中海貿易が進んでいた共和制ローマで始まっています。(海上貸借)損害を補償する仕組みがあることで、海洋貿易を支えていたようです。