書籍「減速する素晴らしき世界」

※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 あらゆることがスローダウンしています。
 そして、スローダウンはとてもよいことです。

 スローダウンは歴史の終わりでも、救いでもありません。
 楽園になるわけではありませんが、人の生活はよくなります。住まいや教育が改善され、過酷な労働が減るのです。私たちは、安定へと向かっています。

 日本は正解でで最初にスローダウンした国でした。良く言えば、多くの点でスローダウンの先端に立っていると言えるでしょう。

書籍情報

タイトル

Slowdown 減速する素晴らしき世界

著者

ダニー・ドーリング オックスフォード大学ハルフォード・マッキンダー地理学教授。

訳者:遠藤真美
解説者:山口周

出版

東洋経済新報社

スローダウンは見えにくい

 生まれてくる子どもの数が減っています。1970年は9930万人いた人口が1990年には9870万人になったのです。人口減少は加速していて、その速度が続くと、数世紀のうちに人口がゼロになってしまうのではないでしょうか。
 こんな風な物語は、とてももっともらしく聞こえます。

 新興国からの移民が増えたこともあり、2011年までには人口はふたたび増えて9901万人を越えました。2015年にはさらに9923万人にもなっています。

 この結論は、もちろんたわごとです。縦軸の数字をみて下さい、変動はとても小さいのです。

アメリカのスローダウン

 1930年代に、大恐慌と偏見の両方が影響してスローダウンが起きました。しかし、移民を規制せずに、アメリカでの雇用を増やすことに成功したため、それほど人口は減らなかったのです。

 経済格差が大きい国で、低賃金の仕事が大量に創出されると、GDPは数字上で豊かになり、移入が増えていきます。格差が広がって、移民が増えたが、経済不安が大きくなるほど、子どもを産む数は増えるのです。にもかかわらず、人口増加がスローダウンする流れは止められません。

 アメリカでは以前からひどい移民法が制定されています。アメリカ合衆国は2100年になっても事項規模が増えると予想されていますが、近い将来に移民が移住を試みる場所として人気が下がるかもしれません。国連の楽観的な予測に反して、私は今世紀のどこかで人口が減少に転じると見ています。

中国経済の減速

 中国の人口がもうすぐ減少することは間違いありませんが、中国の1人あたりのGDPがどこにむかっているのかは定かではないのです。この先、何回か上に振れた後、減少に転じて今の成長率に戻るかもしれません。

 確実に言えるのは、中国のGDP創出にもうすぐ関わるであろう若い世代の人口が少ないということです。この流れはずっと前に始まっています。

 GDPは幸福度ではありません。飲料水がどれだけ綺麗か、生活の質や安心感といったものは測れないのです。

スローダウンの先頭に立つ日本

 経済成長と東京の人口を時系列でプロットしてみると、最近になって増加減少の幅が収束していることがわかります。

 スローダウンが続けば、大きな経済格差は維持できなくなります。物事が変化しなくなれば、利益を生み出すことははるかに難しくなるのです。

 収縮するだけではいられなくなり、人々は賢くなって「新しさ」ではだませなくなります。

 モノを長く使い、ゴミが減っていくでしょう。今の社会問題、環境問題も解決されていくと思います。もちろん、新しい問題は現れますが、今の時点では想像すらできません。

 変わらないこともあります。加速した世界でも、スローダウンでも家族との時間は大切にしてきました。未来も私たちはそうしていくでしょう。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 変化が起こっていかなくなる世界の楽観的ビジョンということでしょうか?

 そういう見方があるとのかと、安定していっている証拠とみることもできると知りました。

 500ページくらいあり、いつ読み終わるんだろうと思いましたが、難解な書籍ではないため読み終えることができました。

 各国についてのデータをグラフ化し、減速している証拠を説明しながら、未来を読み解くといった新しい読み物です。違う見方をした知見に触れたい方にオススメできると思います。

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