エコノミック・ヒットマンの世界侵略/著者:ジョン・パーキンス

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書籍情報

タイトル

エコノミック・ヒットマンの世界侵略

米中の覇権が交錯するグローバル経済のダークサイド

発刊 2023年11月25日

ISBN 978-4-576-23129-7

総ページ数 463p

著者

ジョン・パーキンス

アメリカのエコノミック・ヒットマンとして暗躍し、発展途上国を舞台に、数々の謀略に関わりました。みずからの活動を後悔し、そのような欺瞞と搾取の経済システムを阻止するべく、告発本の執筆を試みるが、脅迫、廃炉、命の危機を感じ断念していました。9.11アメリカ同時多発テロをきっかけに改めて出版を決意して、ベストセラーとなりました。

出版

二見書房

もくじ

  • はじめに
  • 序章
    • 中国によるEHM戦略の第三次興隆
  • 第1部 未来への警鐘
    • 不屈の大統領
    • 救世主の悪夢
    • 籠の中のカナリア
  • 第2部 1963年-1971年
    • けがれた仕事
    • エコノミック・ヒットマンの誕生
    • 死ぬまで秘密
    • インドネシア:EHMへの道
    • 共産主義からの救出
    • 魂を売る
  • 第3部 1971年-1975年
    • 邪魔者
    • 試練に立つ文明
    • 一世一代のチャンス
    • パナマ国民の英雄
    • 運河地帯の植民地化
    • 司令官との会話
    • 不穏な時代へ
    • サウジアラビアでのマネーロンダリング
    • ブロンド美女と、ビンラディンへの資金供与
  • 第4部 1975年-1981年
    • パナマ運河をめぐる交渉
    • イランの諸王の王
    • 拷問を受けた男の告白
    • 国王失脚
    • コロンビア:ラテンアメリカの要衝
    • アメリカ共和国vsアメリカ世界帝国
    • 偽りの経歴書
    • エクアドル大統領と石油会社の戦い
    • 辞職
  • 第5部 1981年-2004年
    • エクアドル大統領の死
    • パナマ:もう一人の大統領の死
    • 新会社設立とショージ・W・ブッシュ
    • 賄賂に屈する
    • アメリカのパナマ侵攻
    • イラクでの失策
  • 第6部 2004年-2016年
    • 密計:私は毒を盛られたのか
    • イスタンブール:死の経済vs命の経済
    • 新たな金融スキャンダル
    • 新ミレニアムのエコノミック・ヒットマンたち
    • 新ミレニアムのジャッカルたち
  • 第7部 中国の新EHM戦略
    • 中国による形勢逆転
    • 中国のエコノミック・ヒットマン
    • ラテンアメリカ
    • アジア
    • アフリカ
    • 中東
    • ヨーロッパ
    • アメリカ
  • 結論
    • EHM戦略と決別するために一人ひとりができること
  • ディスカッション・ガイド
  • 付録
    • 死の経済vs命の経済
  • ジョン・パーキンス略歴年表
  • 著者略歴

エコノミック・ヒットマンの登場

 NSA(アメリカ国家安全保障局)に入れば徴兵されないことを知っていました。NSAでの面接は、ウソ発見器で監視された中で行われ、神経をすりへらす辛いものです。

 時刻を思うアメリカ国民の一人として、ベトナム戦争に反対していることを認め、貧しい禁欲主義者のように育てられた過去、高校時代の女性やセックス、金銭の不満、学内警察に嘘をついて人を擁護した動機などを掘り下げられました。

 短所にしか思えなかったそれら一連の要素は、NSAが不合格の烙印を押す根拠にするだろうと考えていましたが、NSAにしてみれば、私の短所は、実のところ長所だったのです。国家に対する忠誠心y9おりも、私が生きる中でいだいた個人的な不満に着目していました。

 両親に対する怒り、女性への執着心、経済的成功を夢見る野心は、どれもNSAにとって手なずけやすい材料だったのです。

 私はNSAから採用の知らせを受け、順調にボストン大学で学位を取得できたならば、諜報員としての訓練に入ってほしいと伝えられました。

エクアドル大統領と石油会社の闘い

 エクアドルで石油採掘が始まってまもないころ、国際SILはアマゾン川流域においてラオワニ族と広く連携しながら調査を行っていました。石油を埋蔵する確率が高いとされる地震学者が企業に報告したところ、国際SILのメンバーが先住民に対して宣教地区への移住を促したといいます。当該地区への石油会社の関与を認めれば、医療や教育を無償提供すると約束したとのことです。

 ロルドスという一人の権力者は、エクアドルの最大の資源である石油を、民衆が最も恩恵を受ける形で政策を実施しなければなりません。絶妙なバランス感覚で、中道を歩む必要がありました。「我が国のエネルギー資源を守るために、有効な手段を講じなくてはならない」と炭化水素政策をたてて、エクアドルではじめて民主選挙で当選した大統領となり、独裁者の系譜に終止符をうちました。

イラクの市場価値

 1980年、サダム・フセインがいよいよ話に乗るのではとにらんでいた時期です。アメリカはイラクと契約を結ぼうとしていました。

 フセインが危険な暴君であることは、全く問題ではありません。同じような残虐性の持ち主を何人も黙認してきた歴史があります。むしろ、支援することもあるくらいです。イラクに対して喜んで国債を発行し、オイルマネーをいただくつもりでした。石油の安定供給と国債の利息を元手に国内のインフラをアメリカ企業に発注することを前提とした契約となっていたのです。

 水質資源や地政学的に重要な国です。ペルシャ湾にのぞむ海岸地帯を有していて、イスラエルとロシアのミサイル射程圏内に入いります。テクノロジーやエンジニアリング産業にとっても、油田開発やインフラ開拓などに通じ、建設業や製造業、軍事企業などの大市場になる可能性があったため、イラクに注目が向いていました。

 当然、ブッシュは、戦力をあげて戦うことを選択して、アメリカ国民の90%は支持します。

中国の新自由主義

 2015年に、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、中東、北米、中南米にとび積極外交を行って、経済成長をアピールしました。

 この機に、多くの中国のエコノミック・ヒットマンが、世界各地にとび、「自国の繁栄をもたらすなら、他社と干渉しない中国を選び、中国の融資をもとに、インフラ整備を中国企業に発注すればよい」と布教したのです。第三次興隆の始まりです。

 中国が交易をする国は、製造業や交通、通信のインフラの技術分野において、解決策を見い出さなくてはならない状況におかれています。新シルクロード構想のもと、協力体制を構築すれば、自国の強みも他国に生かすことができると、絶妙に、慎重に、繁栄の共有を押し出して交渉していたのです。アメリカの軍事力と経済力を売りにするやり方とは、違うベクトルで中国のエコノミック・ヒットマンが活動していました。

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