世界を震撼させた女毒殺者たち 上/著者:リサ・ペリン

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書籍情報

タイトル

世界を震撼させた女毒殺者たち 上

クレオパトラからベル・ガネスまで

発刊 2024年3月31日

ISBN 978-4-562-07401-3

総ページ数 193p

著者

リサ・ペリン

イラストレーター、デザイナー。

全米最古のビジュアルアート専門大学メリーランド・インスティチュート・カレッジ・オブ・アートのインストレーション学部の専任教授。

出版

原書房

もくじ

  • 序文
  • はじめに
  • 毒物の基礎知識
    • 毒物の歴史
    • 有毒な植物
    • 毒のある生物
    • 有毒元素と化学物質
  • 第1章 プロの毒使いたち
    • ロクスタ
    • カトリーヌ・モンヴォワザン
    • ジュリア・トファーナ
    • アナ・ドラクシン
    • ヴィシャカーニャ
  • 第2章 逃避と反抗
    • ナジレヴのエンジェル・メーカー
    • サリー・バセット
    • クレオパトラ
    • マリー・ラファルジュ
  • 第3章 金と欲
    • メアリー・アン・コットン
    • ベル・ガネス

書籍紹介

どんな本か

 リサ・ペリンによって執筆されたノンフィクション作品です。本書は、歴史上の様々な女性毒殺者に焦点を当て、彼女たちがどのように毒を使い、何が彼女たちをそのような行為に駆り立てたのかを探求しています。

この本の魅力

 女性毒殺者たちが行った犯罪の背景にある動機や、社会が彼女たちに与えた役割を詳細に描き出しています。彼女たちの犯罪は、個人の欲望、復讐、あるいはその時代における女性の立場といった複雑な要因が絡み合っています。歴史的な事実と心理学的な洞察が巧みに組み合わさっており、読む者に一種のミステリーやスリラーのような魅力を与えます。

どんな人にオススメか

 この上巻では、特に過去の有名な事例やその文化的背景に焦点を当てています。各章ごとに異なるケースが詳細に記されており、それぞれの物語が一冊の本としても独立して楽しめる内容です。毒殺に関する歴史とその闇に興味がある方にとって、この本は非常に興味深く、考えさせられる内容になるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

プロの毒使いたち

 市場は需要と供給の法則に基づいて動いており、多くの人々が毒を求めていました。プロの毒使いたちは、その要望に応えて活動していました。

 困窮している人を助けるために毒殺のスキルを使った者もいたかもしれません。しかし、多くの場合、毒殺は利益を得るために行われていました。

 このような毒殺スキルを持った女性たちは、ヒーラーや薬草医として活動していました。彼女たちは人を癒すだけでなく、有害な植物の使い方にも詳しかったのです。

 彼女たちには治療に関する知識がありましたが、医師や学者とは呼ばれませんでした。代わりに、魔女や毒殺女と呼ばれていました。

 カトリック教会と政府は、毒使いの女性たちを悪魔とみなし、1400年代に魔女狩りを始めました。毒殺を生業とした彼女たちは一様に魔女として告発されたのです。

ジュリア・トファーナ

 ジュリア・トファーナは、17世紀のイタリアで民衆の英雄とされた女性です。彼女は、夫から暴力を受けている女性たちに、香水に偽装した毒薬を販売していたと言われています。最終的に、彼女は自分が販売した毒薬によって600人の男性の命を奪ったことを自白し、捕らえられて拷問にかけられました。

 ジュリアが配合した毒薬は、ベラドンナ、ヒ素、鉛の組み合わせであったと考えられていますが、詳細は不明です。この毒薬は無臭、無色、無味で、検出がほぼ不可能でした。その効果は徐々に現れ、まるで自然な死のように見えることから、完璧な毒薬とされていました。この評判は、多くの女性たちの間で伝説となりました。

 17世紀前半、ジュリアはナポリに化粧品や香水を取り扱う店を構えましたが、これは毒薬販売のカモフラージュでした。この店での取引は紹介制で行われ、既に夫を毒殺した経験のある顧客が新しい顧客の信頼を保証していました。

 しかし、あるとき突然、良心の呵責に駆られた者が現れました。夫に毒入りスープを出したものの、慌ててスープ皿を取り上げたのです。驚いた夫が妻を問い詰めたことで、ジュリアの毒物販売が明るみに出ました。ジュリアはローマ教皇庁ですべてを打ち明け、教会に保護を求めましたが、市の給水施設を毒物で汚染したという悪意のある噂が広まり、市民によってローマ教皇庁に引き渡されました。

 1650年代、ジュリアは自分の娘や他の女性の助手たちとともに死刑を宣告されました。

ナジレヴのエンジェル・メーカー

 1900年代初頭、ハンガリーの農村部にある小さな村ナジレヴで毒殺事件が多発しました。暴力的な夫たちの虐待から逃れようとしていた村の女性たちに、助産師のズザンナ・ファゼカスが「解決策」として密かにヒ素を手渡していたのです。殺人だと判明したのは40人ですが、実際にはもっと多くの人が殺されていたと考えられます。

 ナジレヴは暮らしやすい場所ではありませんでした。医者はおらず、農民たちはかつかつの生活を余儀なくされていました。結婚はお見合いが基本で、「離婚など言語道断」という典型的な地域社会でした。

 男たちはアルコール依存症で、日常的に妻や子どもに暴力を振るっていました。そんな絶望的な環境の中で、熟練の治癒師で助産師のズザンナ・ファゼカスは村で歓迎されました。

 女性たちが不満を口にするたびに、ズザンナは「どうしてそんな夫に我慢するの?」と問いかけていたようです。いつしか、ナジレヴでは男たちがハエのように命を落とすようになりました。

 毒殺を実行した女性たちの多くは、自分たちは殺人者ではなく、生き延びるために必要なことをしただけだと信じていました。法廷に立っても「自分は悪いとはまったく思っていません」と答えていました。

 しかし犠牲になったのは夫たちだけではなく、介護をしていた家族が高齢の親や義理の親を手にかけることも多く、毒殺は徐々にエスカレートしていきました。

 警察がズザンナに目をつけて調査を進める中、ズザンナは自分が作った毒を服用して自殺しました。毒殺に手を貸した証拠を墓場まで持って行ったのです。

 ナジレヴは、殺人鬼の主婦であふれかえる奇妙な町だったのでしょうか。この事件は、人間の苦悩に焦点を当てて考えられています。人は極限まで追い詰められると、究極の方法に訴えるしかないと感じることがあるのです。

ベル・ガネス

 ベル・ガネスは、火災や夫の死亡によりたびたび保険金を受け取っていた女性です。彼女はインディアナ州に農場を購入し、そこへ孤独な男性を誘い込んでは彼らからお金を奪っていました。農場が火事で壊滅的な被害を受け、多くの犠牲者が出ましたが、ベルは現場から逃げた可能性があるといわれています。

 ベルの人生の選択基準はお金でした。鋭いまなざしの印象的な青い目をしており、身長は170センチから180センチ、体重は130キロとされています。このような容姿にもかかわらず、彼女には絶えず求婚者が寄ってきました。

 彼女はノルウェーからの移民であるマッズ・ディトレブ・アントン・ソレンソンと出会い結婚し、1900年7月30日に夫のマッズを不自然な状況で亡くしています。ベルは「夫が横になっていたときにキニーネの粉末を飲ませた」と説明しましたが、その診断をした医師は後にストリキニーネ中毒にも似ていたと話しています。また、2つの生命保険の適用期間が重複していることも奇妙でした。ベルは合計5000ドルを受け取っています。

 次に結婚したのはノルウェー出身のピーター・ガネスで、彼は幼い子どもを2人連れていました。結婚して一週間で幼い娘が亡くなり、8か月後にピーターも後頭部に深い切り傷を負って死んでいます。不慮の事故だと主張し、事故死扱いになりました。

 また、ベルは農場の仕事を手伝うために労働者を雇い始めましたが、彼らは突然消息を絶ちました。彼女は農場を経営しながら新たな夫を探して、美しい婦人の絵を貼った広告を出していました。「現金を下着に縫い合わせて来てください、豊富な農場と自分自身をすべて捧げます」と連絡のあった孤独な移民男性全員に、同じメッセージの手紙を送っていました。そして、農場を訪れた男性は行方不明になるのです。

 自分の悪事がバレそうになると、首のない女性の死体を用意し農場ごと放火しました。その死体はベルの身長よりかなり低い160センチほどだったため、当初からベル・ガネスのものか疑問視されていました。事件後ガネス農場の豚小屋などから男性のバラバラ死体が発見されました。

 死体からヒ素とストリキニーネが検出され、ベルの犯行であることが濃厚になりました。彼女は男性を魅了し、財産を巻き上げ、用済みになると毒で弱らせてから肉切り包丁やハンマーで殴り倒し、バラバラにして自分の土地に埋めていたのです。

 ベルは珍しい存在で、毒殺した後に殴打するという手口を用いていました。大半の女性の毒殺犯は、被害者をバラバラにしたり埋めたりしません。できるだけ死体に関わらないようにし、死因を病気や自然死に見せかけようとするのが一般的です。後の時代に、彼女は「サイコパス」だったのではないかと理解されるようになりました。

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