Newton 2023年9月号

Focus

 話題の最新研究やニュースをコンパクトに紹介するコーナーです。
 毎月いくつかの情報を紹介されています。ここでは個人的におもしろかった記事を、さらにコンパクトにしてピックアップします。

超音波を当ててマウスを冬眠させる

UnsplashDaniele Levis Pelusiが撮影した写真

ジャンル:医学

出典 Induction of a torpor-like hypothermic and hypometabolic state in rodents by ultrasound.

Nature metabolism,2023.5.25

 ヒトを人工的に冬眠状態にできれば、重い病気やけがを負った患者の代謝を下げることで幹部の臓器や組織を保護できます。そのため人口冬眠は、救急・救命措置として注目されているのです。

 アメリカ、ワシントン大学のヤン博士らは、超音波をマウスの視床下部視索前野に向けて発射することで、マウスを冬眠状態にすることに成功しました。超音波を繰り返し照射することで、マウスを24時間以上冬眠状態を維持できたのです。

 博士らは、今回開発された方法で、ヒトも安全に人口冬眠できるようになるだろうと述べています。

宇宙ごみを検出する新装置

Image by Baggeb from Pixabay

ジャンル:物理学

出典 Quantum gravitational sensor for space debris.

Physical Review D,2023.5.25

 宇宙探索や天文観測のために、探索機や人工衛星などを搭載したロケットが数多く打ち上げられています。その結果、ロケットや衛星の残骸(宇宙ゴミ)が地球周辺の宇宙空間に数多く浮遊しているのです。

 オランダ、フローニンゲン大学のウー博士らは、宇宙ゴミが放つ微小な「重力波」を検出する「好感度量子センサー」を理論的に考案しました。理論上、時速数キロメートルの速さで近づく重さ1キログラムの宇宙ゴミを、1キロメートルはなれた地点から検出できるようです。

Focus Plus 国産AIをつくる

 話題のニュースを紹介するコーナーです。

ジャンル:情報学
監修:横田理央 東京工業大学学術国際情報センター教授
執筆:福田伊佐央

大規模言語モデルは各種AIの基盤になる

Image by Luis Steven from Pixabay

 大きな話題を「ChatGPT」も、大規模言語モデル(LLM)を土台に作られた対話型AIです。

 インターネット上で収集した膨大な量の文章データを学習した結果、言語の理解や生成だけでなく、計算問題なども解けるようになりました。

 言語以外にも能力を画期するとわかり、LLMの技術を使って画像や映像の処理などにも利用されるようになっています。さまざまな種類のAIの基盤技術となりうるLLMについて、現在、世界中の研究機関や企業が開発に取り組んでいるようです。

世界1位のスパコン「富岳」を使う

Image by Panumas Nikhomkhai from Pixabay

 日本語データを効率的に学習されるための方法は独自に開発し、学習させるデータの種類や学習方法のちがいが、LLMやそれを土台につくられるAIの性能の差につながってきます。

 LLMの性能に大きく影響するものとして、学習させるデータの量があげられます。高性能なLLMをつくるためには、後世の名コンピューターを長期にわたって利用できる環境が必要なのです。

 今回のプロジェクトでは、スパコン「富岳」を利用することで、この問題をクリアしようとしています。

 今回のプロジェクトで学習させるデータ量は1兆トークンになる予定です。現在使われているGPT-3の学習データの約2倍に及びます。一方でLLMの「パラメータ」の数は約500億となる予定であり、GPT-3の3分の1以下です。パラメータは複雑さに相当するものであり、このパラメータの数は少なくても近年では高性能なLLMが開発されています。

 「富岳」を地ようする期間は2023年5月24日~2024年3月末までとなっており、2024年度に今回のプロジェクトでできたLLMを公開する予定です。

自動運転レベル5

UnsplashRoberto Nicksonが撮影した写真

監修:青木俊介 Turing 株式会社 CTO
執筆者:梶原洵子

レベル運転主体概要大手自動車メーカー状況
1人→車人が運転し、車は前後か左右(速度かハンドル)のどちらかの動きをサポートする多くの企業が市販している
2人→車人が運転し、車は前後か左右(速度かハンドル)のどちらかの動きをサポートするマツダ、Teslaなど市販済み、ハンズオフの2.5はトヨタ、日産、BMWが市販済み
3車→人高速道路など一定の条件下において車が運転する。緊急時などにはドライバーが運転に復帰するホンダ、メルセデスが市販しているBMW、VWも販売を計画している
4高速道路など一定の条件下において、緊急時対応も含めて車がすべて運転全てTeslaは2022年に市販の発売を予定していた。VWは2026年を予定しています
5あらゆる条件下で車がすべて運転する大手メーカーの市販予定は発表されていない

AIの高度化でレベル5を目指すTuring

 従来の自動車運転の高度化はセンサーの高度化です。それとは違うアプローチで、レベル5自動運転をめざす企業が日本に登場したのが「Turing」です。

 将棋AI「Ponanza」の開発者である山本一誠CEO(最高経営責任者)と、アメリカ・カーネギーメロン大学で自動運転システムの研究開発にたずさわってきた青木俊介CTO(最高技術責任者)が共同で創業したスタートパップ企業となっています。2030年にレベル5の自動運転車を1万台販売するという、野心的な目標を掲げています。

 自動運転にカメラを複数台搭載して、カメラから情報を高度なAI処理をし、状況を判断して的確な運転動作を指図することで自動運転をめざしています。認知ではなく、判断のレベルを上げて実現しようとしているのです。

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