Newton 2025年1月号

発売日 2024年11月26日

ページ数 144p

ISSN 0286-0651

もくじ

  • FOCUS
    • 最長記録のブラックホールジェット
    • 低血糖 にならない糖尿病治療薬
    • ヨーロッパ最古の 大規模戦闘
    • サメの腸を模したパイプ
    • 異常気象がおこしたペルム紀の大量絶滅
  • From 朝日新聞
    • 動物の細胞も光合成できる?
    • 史上最大の素 数発見, 4100万桁超
    • 中国が有人宇宙船を 打ち上げ
    • ムーアの法則まだ続く ?
  • 第1特集 Newton Special ワープ・人造人間・タイム ラベルSFは実現可能か?
    • 監修 池谷裕二/稲見昌彦/真貝寿明
    • 執筆 尾崎太一
      • ロボットや潜水艦, 携帯電話など, 今やあたり前の技術も、かつて はSFの空想世界でえがかれていたものだった。 「人工冬眠」や 球外生命体」, 「時間の逆行」 など, 想像力をふくらませながら、 想と現実世界の間を行き来してみよう。
  • 「時間心理学」 入門 子供と大人で時間の流れ方がちがうのはなぜ?
    • 監修 一川 誠 執筆 島田祥輔
      • 年を重ねるほど1年が早くすぎる と感じることはないだろうか? 時間の感じ方を自分でコントロー ルする方法について 心理学の専 門家に話を聞いた。
  • JWST 最新宇宙ギャラリー ちりのベールにかくされた 星々のいとなみ
    • 監修 田村元秀
    • 執筆中野太郎
      • ちりにかくされていた星のいとな みがジェイムズ・ウェッブ宇宙望 遠鏡によって解明されつつある。 そんな未知の宇宙の姿をとらえた 最新画像を紹介しよう。
  • 第2特集 Newton Special 摩訶不思議な物質変化の世界感動する化学
    • 監修 陰山洋
    • 執筆 森久美子 (編集部)
      • 私たちのまわりにはあっとおどろく性質をもつ物 質や物質の変化であふれている。 摩訶不思議な化 学の世界をみていこう。
  • 「超伝導」 の世紀 電気抵抗がなくなる物理現象が社会を変える日
    • 監修 宮川宣明
    • 執筆 小谷太郎
      • 低温で物質の電気抵抗がなくなる 「超伝導」は社会を変えるかもし れない。 超伝導の歴史からリニア モーターカーや核融合発電などの 期待される応用例までを紹介する。
  • Nature View 能登半島は今 600万年つづく隆起が 地形を変えつづけている
    • 監修 塚脇真二
    • 執筆中作明彦
      • 能登半島には, 美しい自然が全域 に広がる。 能登半島の自然と, そ これを生みだした歴史を紹介しよう。 2024年に能登半島を襲った地震や 豪雨の影響についてもお伝えする。
  • 連載 数式いらずの数学入門 AIを支えるベクトルと行列 驚異的な計算能力を生みだす数学の道具
    • 監修 柴田千尋
    • 執筆 山田久美
      • 社会を変えつつある人工知能(AI) の内部では、膨大な量の計算が行 われている。 ベクトルと行列を使 う計算がどのようにAIの性能を 生みだしているのかを解説しよう。
  • Nature View 光をあやつる生物たち 暗やみに放たれる謎多き光
    • 監修 大場裕一
    • 執筆 薬袋摩耶
      • ホタルや深海魚のほかに, ハエや カタツムリ、ミミズなどにも光る 種がいる。 彼らはなぜ、どのよう に光るのだろうか? 光を放つさ まざまな生物たちを紹介する。
  • オンラインシンポジウムレポート
    • 下町核融合? ~文明史の転換を支える 日本のテクノロジー

Focus

低血糖にならない糖尿病治療薬

ジャンル:医学

出典 Glucose-sensitive insulin with attenuation of hypoglycaemia
Nature,2024年10月16日

 膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンには、筋肉などの細胞に血液中の糖を取り込ませて、血糖値を下げるはたらきがあります。インスリンが分泌されにくくなると、糖尿病になるのです。

 糖尿病の患者には、インスリン注射が行われることがあります。これには多く投与すると低血糖になるおそれがあり、調節が難しかったのです。

 デンマーク、ノボ・ノルディスク社のスラビィ博士らは、糖濃度が感知することではたらきが制御される糖尿病治療薬「NNC2215」を開発しました。糖濃度が高いときに環状構造が開き、糖濃度が低い時に環状構造が閉じるはたらきをします。

 マウスやブタを使った実験では、通常のインスリンよりも低血糖を引き起こしにくいことがわかっています。

「時間心理学」入門

監修:一川誠 千葉大学大学院人文科学研究院教授
執筆者:島田洋輔

子どもと大人の時間

 今の心理学では「ウェーバー・フェヒナーの法則」で、年齢によって時間の間隔の感じ方が違うのではないかと考えられています。刺激の強さによって時間の流れ方が異なるという法則です。

 子どもより大人のほうが時間を短く感じる現象は、年単位だけではなく分単位で起きています。音と光のない暗闇の中で行われた実験では、約3300人の結果を分析され、年齢が2~4歳上がるごとにボタンを押すまでの時間が1秒長くなっていました。歳をとるほど時間があっという間にすぎるということを示す結果でしょう。

 視覚にしろ聴覚にしろ、情報量が多いほど時間の流れを遅く感じやすくなります。山頂でご飯を食べているときに時間がゆっくりと感じられるのは、空間が広いこと、明るいことが要因です。空間が広い、明るい、音が大きいという条件も時間がゆっくりと感じられることにつながります。

 大人でも時間を長くゆっくりと感じるためには、体験する出来事の数を増やせばよいのです。思い出を文章とともにSNSに投稿するのも効果的だといいます。ただドラマや映画を観るだけでは時間がすぐに流れていってしまいますが、自分の出来事と照らし合わせながら鑑賞することで、時間を長く感じられます。せわしない日々を送っていて、ゆったりとした時間を過ごしたいなら、記憶を振り返えることが重要です。

能登半島は今

監修:塚脇真二 金沢大学環日本海域環境研究センター教授

能登半島復興への祈り

 荒々しく変化に富んだ絶壁とゆるやかな曲線をえがく砂浜とが織りなす美しい海岸景観で知られる納富半島には、観光地として有名な唐と金剛、ヤセの断崖などの特徴的な地形や奇岩がいたるところにあります。

 地すべり地帯を開墾してつくられた千枚田などの農耕地からの農作物や、数多くの漁港で水揚げされる日本海の海の幸は、観光産業とともに地域社会を経済的に支えてきたのです。

 2024年の元旦に発生した地震によって、地形が大きく変化し、交通が分断され、奇岩などの地質遺産が崩壊しました。農村地の被害、道路や家屋の被害が甚大です。大規模な火災も発生し、9月の豪雨災害も能登を襲いました。

 東都の地域社会にとって、この地震と互応による被害は筆舌につくしがたいものがあります。復興のめどはいまだに立っていません。

 「能登はやさしや土までも」と古くからいわれるとおり、冬の寒さは厳しいものの、能登はおだやかで美しい自然に恵まれた土地です。時間はかかってもゆっくりと元の姿にもどっていくことを願ってやみません。

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