プーチン

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 プーチン外交の「主体」は、プーチン本人ただ1人です。最高政治権力者が外交を一手に引き受け担当します。

 コルバチョフ期にはシュワルナゼ外相、エリツィン期にはプリマコフ外相にかなりの自由裁量権が与えられていました。

 ラブロフ外相に自由裁量の余地は全く残されていません。代えがたい道具として見ているのです。

 軍隊も、ロシア外交の有力な「装置」の1つといえます。軍隊が、内政や外交に関わることは厳に禁じられていますが、都合の良い方法が他にないのであれば、軍隊を政治目的達成のために利用して差し支えません。これが、プーチノクラシーの考え方です。

書籍情報

タイトル

プーチン 外交的考察

第1刷 2018年3月10日

発行者 藤原良雄

発行 (株)藤原書店

印刷・製本 中央製版印刷

ISBN978-4-86578-163-2

総ページ数 693p

著者

木村汎

北海道大学名誉教授、コクサイニホンブンカケンキュウセンター名誉教授。専攻はソ連/ロシア研究。

出版

藤原書店

兵器を輸出する動機

UnsplashBexar Armsが撮影した写真

 人間を殺傷するものであれば、なんでも武器になりえます。ネクタイ、包丁、ナイフ、花瓶、ドローン、ロケットは、軍事と民生両方に使用できる技術です。

 武器と違って兵器は、特定の人間を殺戮する目的でつくられたカラシニコフ銃は、兵器以外の何物でもありません。政治、外交、安保、軍事の事情で商品化する場合と、経済的な利潤を得るために商品になる場合があります。

 旧ソ連は、他国とのあいだで兵器移転をおこなっていました。民族解放運動が「社会主義」志向の萌芽を秘めるとみなされる国々にたいする兵器輸出もです。イデオロギーを異にする諸国にたいして、米国は軍事技術の移転を厳格に規制していました。冷戦中の規制は好例です。兵器の移転が安保政策の貴重な手段になります。

 兵器移転には、なんといっても経済的利潤が求めらることを忘れてはなりません。れっきとした商品です。

 西側諸国における軍事産業はほとんど民間企業の手でおこなわれており、これらの企業はふつう熾烈な価格競争に直面しています。研究に費やした膨大な資金を取り戻そうと躍起になるのです。彼らは経済的にペイされれば何しても構わないとの利潤第一主義に傾いています。

 ロシアの軍事産業は、国営企業です。プーチン指導下で実施しています。兵器輸出は、国家がらみで奨励され、推進されているのです。

プーチン流ソフトパワー

UnsplashLachlan Donaldが撮影した写真

 ソフト・パワーとは、武器を用いることなく、情報・その他の影響力を駆使して外交政策の目的を達成するための道具や方法の複合体を指します。

 プーチンはソフト・パワーを自己流のやり方で理解している疑いが濃厚です。

 プーチンが大統領選に再選された後の2013年2月18日に発表した「ロシア外交政策概念」で記されている。

 ソフト・パワーは、現代の国際社会において不可欠の構成要素になりつつある。それは、対外政策の課題を解決するための複合的な手段、すなわち、古典的な外交に代る情報・コミュニケーション上の人文的、その他の手法やテクノロジーを指す

 おそらく、他国の人々が自発的に引き付けられ模倣したくなるような無形の魅力を手段として、道具として用いるということではないでしょうか。

 クレムリンに晴れて復帰したあと、プーチンは外務省幹部を集めて、「ソフト・パワーのメカニズムを十二分に利用しつくすことに、優先意義があたえられる」という訓辞を行っています。

天然ガス交渉

Image by Sergey Gorbachev from Pixabay

 ロシアからのガス供給を何とか確保すること、これは好む好まざるとに関わらずウクライナにとって重要なオプションでした。そのためには、これまでの滞納したロシアへのガス代を支払わなければ、実現できないことです。

 2014年にウクライナとロシアで滞納額55億ドルのうち、とりあえず31億ドルを支払いEUのIMFがウクライナに経済支援を約束する形で合意したかのようにみえました。

 ウクライナの省エネ努力には限界があり、ロシアは天然ガスを政治・外交手段に用いることを諦めていませんでした。2015年秋からガス供給の交渉が始まり、冬季が近くなると援助資金をG7諸国の財務省に訴えてきたのです。

 従来の交渉、もしくは紛争パターンを繰り返し行っていることと変わりありません。

ガス・パイプライン交渉

Image by David Mark from Pixabay

 ロシアに話を転じると、ロシアは世界第一位といっていいほどの資源大国です。原油、天然ガス、金、ダイアモンド、鉄鉱石などの埋蔵量は1、2位です。

 ロシア側は、中国がロシア産資源を他のどの国にもまして欲しているとみなして、売却価格を吊り上げようとします。中国側は天然ガスの価格を「国際的なレベル」以下にする便宜にあずかって当然という態度をしまします。ガスの価格をネックに10年間もガスのパイプライン交渉が滞っていました。

 それが2014年になると、超大型ガス・プロジェクトが両国間でバタバタと妥結します。東シベリアさんの天然ガスを中国へ向けて輸送するためのパイプラインを敷設しようとするものです。2019年には工事をほぼ完了して、30年間にわたって供給する予定でした。3250億ドルの巨大プロジェクトです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 2018年には物凄いタイトルの書物で、ウクライナとロシアで緊張が走っていることや、中国とロシアで供給関係で仲良くなっていること、プーチンの声明に強国主義のために「道具」を利用するといった事柄がみられるなど、警告のような読み物が発行されていました。

 何かキッカケのようなものがあれば、今のような状況になると予想していたかのようです。

 エネルギーの供給をしてもらおうと、うまくG7にもロシアにもいい顔をして、なんとか厳しい冬をやり過ごそうとしていましたが、ロシアには通じななかったようです。

 強国主義ではないけれど、大陸統一と海洋進出という中国のビジョンも似たようなものです。中国と他の国にいい顔をしている国は、中国の言いなりを実現できなかったときに同様にギスギスしそうな気がします。

 戦争までのプーチンの外交を考察するのに、気合いの入った本書はいかがでしょうか。

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