新書「現代ロシアの軍事戦略」

※ニートが興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 2014年のウクライナ危機により、忘れかけていた国家間のバランスに影響を与えました。

 2010年以降の世界では、経済成長を遂げた中国が軍事力を発展させ海洋進出を目出したり、北朝鮮やイランが核・ミサイル開発を大きく進展させていたのです。西太平洋における米国の軍事的覇権にロシアに限らず牽制するようになりました。

 米国は未だに世界最強の地位に留まっています。なのに、劣勢にあるはずのロシアが、軍事的な振る舞いをみせ、実際に成果を収めることができたのはなぜなのでしょうか。

書籍情報

タイトル

現代ロシアの軍事戦略

著者

小泉悠

グローバルセキュリティ・宗教分野 東京大学先端科学技術研究センター専任講師
ユーリィ・イズムィコのペンネームで知られている、日本の軍事業論家

 ロシアの軍事・安全保障政策を専門とし、過去に『軍事帝国ロシア』『プーチンの国家戦略』などの著書を書いています。

出版

ちくま新書

ロシアの動き

クリミア半島の観光スポット城

2000年以降のロシアの動き

 2001年に発生した米国同時多発テロは、安全保障という概念を大きくゆぶり、「対テロ戦争」の時代がやってきました。このとき、国家間戦争は脇に追いやられてしまったのです。
 米国がアフガニスタンから兵力を完全に撤退させることができたのは介入開始から20年を経た2021年のことです。

 軍事力のあり方も変わりました。
 欧州最強の陸軍国の1つドイツは1989年には34万人もの地上兵力を有していましたが、2010年までに9万人近くまで縮小したのです。
 冷戦後のNATOは、ロシアを封じ込めを意図したものではなく、不安定な旧社会主義国を自由民主主義体制に取り組むということが強調されています。

 NATO側は、拡大するにあたって「ロシアの懸念は過剰反応」という見方をしているのです。

 ロシアにとって避けたいことは、東欧や旧ソ連諸国に対するロシアの影響力が損なわれることです。その意味では、2004年のバルト三国へのNATO拡大は極めて面白くなかったでしょう。
 当時のプーチン政権は米国と協力して国際的な地位の回復に努めていたこともあり、最終的にはNATO拡大を受け入れました。

 2008年に持ち上がったウクライナとグルジアへのNATO拡大案には、ロシアは強く反発しました。グルジアとの戦争にまで発展したのです。
 2014年にウクライナで政変が起きるのをきっかけに、クリミア半島とドンバス地方に軍事介入を行いました。

 「大国」ロシアから見れば、欧州防衛を意図して結成されたNATOが紛争に介入し、軍事行動が安全保障外の範囲で行われてきたことは、地位をゆるがす脅威そのものなのです。

ウクライナで起きたこと

 ロシアは猛烈な圧力をウクライナに書け2013年11月にDCFTA交渉から離脱させることができました。NATO入りを期待していた民族や派閥の反感を買うことになり、首都キエフでデモ隊と治安部隊が衝突するようになったのです。2014年に入るとヤヌコーヴィッチ元大統領がロシアに亡命しています。そして、ロシアは直接介入に出るのです。

 2014年2月27日、公式の戦線布告がないままロシア軍特殊作戦部隊がウクライナ領クリミア半島内の行政施設、通信施設、空港などを占拠し始めました。
 親露派住民を扇動して、強行した住民投票により9割の賛成票でクリミア半島の独立とロシア併合を可決させたのです。

 黒海を監視できる領土と、300万人以上の人口を持つ半島が、わずか3週間ほどで失われたのです。

 3月に入ると、ロシア系住民が多いウクライナ東部で独立を求める住民運動が発生しました。小規模な行動をおこしては治安機関に排除されることを繰り返していたのです。ストレリコフと名乗るロシア人がウクライナ南東部で名乗りをあげて、ドンバスと総称される親露派武装勢力の支配領域を出現させました。

クリミア半島での軍事力行使

 クリミア半島占拠作戦で暗躍したのは精鋭特殊部隊「セネーシュ」と独立兵科の空挺部隊第45特別任務連隊の兵士たちであったといわれています。

 特殊部隊は、単独では長期間持ちこたえることができません。キエフが無政府状態に陥っているわずかな間に既成事実を作る必要があるわけです。

 ダミーとして多くの部隊をクリミア周辺に送り込み、海軍歩兵部隊をクリミアに侵入させました。ロシア海軍黒海艦隊の出入りは頻繁に行っていたいたため、通常の業務を装って海軍歩兵部隊を載せた輸送艦をセヴァストーポリ港に接岸させることができました。あとは、不意をついて港を占拠するだけです。

 無血でクリミア半島に拠点を確保したロシア軍は続々と増援を呼び、現地のウクライナ軍部隊を武装解除していきました。2月27日から開始されたとされる占拠作戦が3月の終わりにはクリミア半島全域を占領し、完全な既成事実を作りあげたのです。

ドバンスの紛争

 ロシアは、クリミアに続いてドバンスへの介入をしました。目的は、首都キエフでのウクライナ分裂です。民主化に不満を持つ人を扇動し、うまくウクライナ新政権を弱体化させようという狙いがあります。

 しかし、装備や訓練が不十分であろうと、民兵より規律に服する正規軍のが圧倒的に強いのです。軍事介入を本格化させずに、弱体化を図ったロシアの思惑は外れました。

 ロシアが様子をうかがう間に、ウクライナは予備軍の一般市民を招集し、ドバンスに送り込むのです。一度は廃止した徴兵制を2015年に復活させて将来の軍事力に備えることもしています。
 夏までは、ウクライナ軍の優勢を保つことができまたのです。

 ロシアは装備や訓練が行き届いたロシア軍の投入を決め、ドバンスでは再び形勢が逆転することになります。

 民兵の統治には無理がありました。彼らはロシア政府の意向を無視することが多々あったのです。民兵たちはそれぞれが独自の「戦う理由」を持っているので、都合よく動いてはくれないのです。

 さらに、戦時下のなかでは普通の人も犯罪者となります。金目的に親露派武装勢力の傭兵に加わり、恐喝や誘拐による身代金ビジネスが横行するようになったといわれています。刑務所で服役している犯罪者を釈放する条件としてドバンスに送り込んだとまで言われているようです。

劣勢化での戦い方

 ロシア軍の大演習において、最終的には西側との大規模戦争に収斂していくという想定が顕著です。

 現在のロシア軍が大国との大規模戦争に直面した場合、兵力やハイテクの遅れにより劣勢に立たされる可能性が高いとされています。

 NATO加盟国のエストニアからロシアの第二都市サンクトペテルブルグまでは、150kmほどしかありません。NATO加盟国の国境から1000km以内には、ロシアの4つの艦隊と主要都市全てが収まるのです。

 この状況で戦争になれば開戦と同時に、激しい空爆を受けることになります。

 ロシアはミサイル開発に積極的であり、米国政府内でロシアの条約違反に関する確信が2011年には得られていました。つまり、少なくとも2000年代半ばにはミサイル開発が行われていたとみられるとのことです。

 ロシア軍が劣勢になったときに、警戒されているのが核兵器です。ソ連末期の1991年にゴルバチョフ大統領が発出した核イニシアティブ、1992年のエリツィン大統領のPNIに基づいて戦術核兵器の多くを退役させました。しかし、ロシアが30年前の約束を守っているかは不透明です。
 想定では1000発以上の核弾頭が現在も準備されているとみられています。

 核兵器が使用される可能性は、残されていることは疑う余地がありません。

 超音速ミサイル「キンジャール」は最大速度マッハ10を出します。撃墜できる可能性はほぼありません。つまり、従来の核弾頭を追撃されにくいように改良されたものです。この兵器の手段を用いるか否かが注目されています。

 ロシアは、衛星戦争から、物理、核兵器、レーザー、最近では生物兵器まで、あらゆる手段を用いて敗北を回避しようとしているのです。これが、劣勢化で戦うロシアの戦略と言えるでしょう。

感想

 少なからず地元で交流のあった一般市民が、軍に収拾されたり治安部隊として血を流したということでしょう。親露派で旧大国にロマンを見ていたとしても、知人が倒れていく現場をみてロシア政府の意向に従うとは思えません。

 大国のように力をつけてウクライナもその一員としてやっていくことが将来の正解だとしても、NATOに加盟し安全を手に入れて早く経済発展していくのが正解だったとしても、ドバンスの紛争だけで1万3000人以上の死者を既に出しています。

 今の状況は、最終的にNATOとロシアの大規模戦争に繋がるものなのかもしれません。そんな風に言われると、旧大国の野望やら夢の海洋進出やらのプライドを、少し軟化したものにできないのだろうか?と思ってしまいます。

 世の中には、宗教といいデリケートな信仰心やプライドが多く存在しています。こっちはそこに触れるつもりもないのです。現地住民も、軍や治安に関わらない大多数が、NATOだの大陸ロマンだのは知ったことではありません。
 サッカーが好きな人は大勢いますが、国民の数パーセント、多いとしても1割弱くらいなものでしょう。残りの9割は、普段どうでもいいと思っているはずです。

 ウクライナにも、マイナーなゲームを開発するチームが存在し、4月中旬にも面白いゲームが発売される予定です。楽しみにしているゲーマーが私です。こんな状況でなければ、もっと面白いゲームを作れたかもしれないのです。とても、残念です。ロシアのプライドやNATOの仲間入りうんぬんより、楽しいゲームをしたいです。

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