書籍「不動産の未来」

※ニートが興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 日本社会の変わらざるを得ない未来と、社会を支えるインフラである不動産の未来をクロスさせながら、これからの不動産のみらいを語りたいと思います。

書籍情報

タイトル

不動産の未来

マイホーム大転換時代に備えよ

著者

牧野知弘

オラガ総研株式会社代表取締役。

 J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役の経歴があります。ホテルなどの不動産プロデュース業を展開し、全国に鳥生活倶楽部株式会社を設立しています。

出版

朝日新書

解決しない空き家問題

 2018年のデータで全国の空き家は848万戸となっています。そのうち、総合住宅に占める割合は13.6%です。つまり、8軒に1軒は空き家の状態なのです。

 こうした状態は、構造的な問題が含まれています。若年層の割合が縮小しているにもかかわらず、毎年多くのアパートが供給されているといった問題です。

 2020年度の新築住宅着工件数は81万2千件となりました。持ち家26万3千戸、賃家30万3千戸、分譲23万9千戸が内訳です。アパートは学生や単身者、若い夫婦やカップルが住むケースが多いとおもいます。賃家30万3千戸の需要は残念ながら無いのです。

 大都市圏外の都市農家において、息子や娘が農業を継ぐことがほとんどありません。農業をやめてしまうと、農地は宅地となり高額の固定資産税が課されるのです。放っておいて相続税が発生しても、だいたいの人が大金を納めることができません。相続放棄するしかないのです。

 元農地の税金の問題を回避しようとしてアパート建設をしようと考える人がいます。アパート建設に使う借入金は、相続財産評価額から控除できるため相続税を圧縮する有効な手段となっているのです。

 けれど、アパート建設したからには運用をしなければなりません。複数のアパート会社の営業マンが、同じ地域の地主に対して同じような勧誘を行っています。そして同様の企画のアパートが、同じエリアにいくつも建設されているのです。競合条件は極めて厳しいでしょう。

 受給のバランスが崩れれば、賃料の大幅な下落を招きます。空室がある状況はスラム化を促進しますので、住人にとっても気分がよいものではありません。

 メディアが取り上げるのはボロボロの一軒家ですが、入居者が寄り付かないアパートを造り続けていることも、空き家問題なのです。

まとめ
若い人の人口が減少しているのに、毎年多くのアパートを造り続けているのが、空き家問題につながっている
農地だった場所を、アパートに変えて節税するひとが増えている
営業マンの巧みな勧誘により、同じようなアパートが同じエリアに建てられることによって、競争が激化している

日本のリゾートはアジア富裕層の遊び場に

 1980年代後半のバブルの時に、リゾートブームが巻き起こりました。1987年に制定された総合保養地域整備法(リゾート法)の影響もあり、リゾート開発が行なわれることが多かったのです。

 代表的なリゾート開発は宮崎シーガイアです。日南海岸にリゾートを設けよう計画でした。2000億円を超える事業費を投じたが、開業時にバブルが崩壊し、毎年200億円以上の赤字を出したのです。

 まだ富裕層が十分に育っていない日本で、バブルに調子が良かった層を相手にするリゾート施設は失敗におわりました。

 その後、外資に想像を上回る安値で買いたたかれ、目新しい要素で化粧し黒字が出たときに売却されました。外資にいいように騙されて多額の儲けを献上してしまったのです。

 ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパのプロディースをしました。2015年ときに立案したときは、鼻から笑われて誰も相手をしてもらえなかったのです。

 時代は進み、2019年にIHGという世界4大ホテルグループの一角の関心を呼ぶことに成功すると、シーガイヤの数パーセントの費用で完成したホテルは、今は九州を代表するリゾートとなっています。アジアの富裕層と、日本人の富裕層がターゲットです。コロナ禍も密を避けたい富裕層の方が滞在しているのです。

まとめ
日本のバブル時のときに、リゾート開発が盛んになった
バブル崩壊後に安値で外資に買われ、黒字になると売却されてしまう
今は日本の富裕層も育ち、新規リゾート事業が成功している

確実にやってくる地震と不動産

 大地震は再び日本を襲います。確実にやってくる災害です。

 日本の先進の建築技術をもってすれば大地震が起きても大丈夫という人もいます。

 はたして、人間の知恵だけで大自然が引き起こす厄災に立ち向かうことができるのでしょうか。

 給水タンクが壊れて、トイレにも行けなくなったことを忘れていないでしょうか。

 やれることはたくさんあります。

 旧耐震建物の耐震補強・建て替え、木造密集地域での街区整備、津波危険地区での避難所の確保、海岸や河川の整備、防災訓練、これらの優先順位を上げていくことが求められています。

 住む人が見つからないアパートを建てるより、やる事があるのではないでしょうか。

まとめ
大地震は再び日本を襲う
耐震建物の整備、避難所の確保、防災訓練とやれることはたくさんある
新しい住居を建てるより、耐震に備えたほうがよい

商業施設、物流の未来

 日常品、汎用品の多くは既に楽天やアマゾンに注文して調達する形態が定着しています。今後この流れは、加速こそすれ、元に戻ることはありません。

 百貨店は業態として古臭く、廃れていくといった指摘があります。しかし、百貨店はお客様と対面で向きあいながら、買い物ができるという利点があります。

 オンラインサイトの悪いところを言えば、AIがデータをもとにアイテムを売りつけるところです。個人にあった商品を個別に対応できません。

 最近はアウトレットなどがエンターテイメント施設になりかわってきています。週末に家族で遊びに行く場所として、商業施設が存在するようになったのです。店舗の場合は、自分の知らない世界が広がっていると思わせる演出が必要になってきます。

 未来の百貨店はテナントを並べる大家業ではなく、空間全体が激情のような舞台であることが求められるのです。

 日本の物流は、人材に限界を迎えています。トラック運転手の不足に加えた問題で、ヤマト運輸ほか運送業者が仕掛けている、EVや自動運転の実装を未来に向けて描いています。

まとめ
楽天やアマゾンで注文して調達する形態が定着している
アウトレットがエンターテインメント性を高めてきていて、店舗が舞台のような演出をすることを求められている
物流が人材に限界を迎えていて、自動運転の実装は急いでいる

未来は変わる

 九州にあるある味噌醤油メーカーを尋ねたときの話です。

 このメーカーは江戸時代に創業された老舗で、九州だけでなく全国に販路を広げる優良メーカーです。

 本社を案内された方から
「ここが本社でございます。」
と言われたときに、しばらく声が出ませんでした。

 案内された本社は、古民家だったのです。

 事務所棟は、廃校となった学校の体育館でした。天井が高く、柱がないために広く空間を活用できるのです。

 工場の建設にあたって、工場社屋というハコについて協力合理的に、いかにコストの無駄なく建設するかに重きを置いたそうです。

 怪しい業界と言われ続けた不動産に、全く異なる視点からビジネスを創造することは、業界を変えるだけでなく、国の未来を活性されることだと信じています。

 未来は変わるのです。

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