都市はよみがえる/著者:山下昌彦

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書籍情報

タイトル

都市はよみがえる

発刊 2024年3月25日

ISBN 978-4-306-07367-8

総ページ数 197p

著者

山下昌彦

建築家、都市計画家、UG都市建築代表取締役社長。

出版

鹿児島出版会

もくじ

  • はじめに
  • 1章:モノとまちをめぐる断章
    • モノに対するスタンス
    • モノとの距離感
    • 秩序
    • 集中と分散
    • 下町と山手
    • 包容力
  • 2章:欧米の都市について
    • ローマ都市
    • ヨーロッパ中世都市
    • 中世都市の解体
    • 工業都市への変貌
    • オースマンのパリとパクストンのロンドン
    • アメリカとオルムステッド
    • ガーデンシティ
    • モダニズムと都市
  • 3章:日本の都市について
    • 日本の都市の歴史
    • 大阪と江戸
    • 町家
    • 武家屋敷
    • 城下町以外の都市的集落
    • 港町
    • 明治維新と日本の都市
    • 東京の都市整備
    • 東京の骨格
    • 青山同潤会アパートメント
    • 戸建て住宅
  • 4章:都市はよみがえる
    • まちを大切に思うこと
    • 都市は誰のものか
    • 都市間競争
    • 観光
    • マルチハビテーション
    • 中心街
    • 商店街
    • インキュベーション
    • まちづくりを担うのは誰か
    • 建築は誰のものか
    • どういうまちをつくるべきか
  • おわりに

書籍紹介

どんな本か

 都市再生の新しい視点とアプローチを提案する一冊です。この本では、鹿児島を含む地域都市の歴史や変遷、そして現在直面する問題点を丹念に解き明かしながら、持続可能で魅力的な都市の未来を模索しています。

内容

 単なるインフラ整備だけでなく、地域コミュニティのつながりや文化、歴史に根ざした再生の方法に焦点を当てている点です。山下さんの分析は、都市開発が一度失われたものを取り戻すための手段ではなく、新しい時代にふさわしい都市の姿を共に考えるための材料を提供しています。経済的な側面だけでなく、文化的・社会的な視点からも論じられているため、幅広い読者層に響く内容になっています。

どんな人にオススメか

 本書は、都市計画や地域振興に携わる方々にとってだけでなく、現代社会で生きるすべての人にとって、都市が持つ多面的な魅力と可能性を再発見する素晴らしい機会となるでしょう。読者は山下さんの思慮深い洞察に触れることで、自身の住む街への理解が深まり、新たな発見とともに都市への関わり方を見直すきっかけを得られるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

集中と分散

 にぎやかな東京・神楽坂、または信州の静かな森の中、どちらに住むことを選びますか?

 都市部での生活はエネルギーを効率的に使用する「コンパクトシティ」として合理的ですが、自然の中でのんびりと過ごす生活も魅力的です。

 日本の通勤電車は混雑しており、西洋人にとってはめまいがするほどです。渋谷のスクランブル交差点は「奇跡のような」場所とされ、上野のアメ横はその混雑ぶりで外国人観光客を魅了します。

 先日、モダニズム建築の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエによるファンズワース邸(1951年建設)を訪れました。その地に建つ鉄骨のフレームは、周囲の森と調和して独立した美しさを放っています。

アメリカとオルムステッド

 アメリカの都市は、開放的でなければならないとされています。ほとんどのアメリカの都市はグリッドパターンを採用しており、世界中の多くの植民都市でもこのパターンが見られます。

 ニューヨークは1811年にグリッドパターンで計画されました。当時は古典主義の建築が多かったものの、現在はモダニズムのオフィスビルや高層住宅が立ち並んでいます。

 フレデリック・ロー・オルムステッド(1822-1903)は「アメリカを作った男」とも称されます。彼はアメリカの大都市に広大な緑のエリアを組み込み、郊外居住のモデルである「ガーデンサバーブ」を普及させました。

 特にニューヨークにおいては、セントラルパークを郊外に設け、341ヘクタールの広大な自然空間を提供しました。対照的に、日比谷公園の面積はわずか16ヘクタールです。

 ガーデンサバーブは初め、富裕層向けに設計されました。日本の軽井沢のような広大な敷地と公園が一体となった町全体のイメージです。この地域は、当初は馬車が主な交通手段でしたが、20世紀に入ると鉄道や自動車でのアクセスが可能になりました。

東京の骨格

 今日の東京は、皇居を中心に環状道路がそれを取り巻く形で配置され、さらに四方八方へ放射状の幹線道路が伸びています。この都市構造を作り上げたのは、元をたどれば徳川家康にさかのぼることができ、関東大震災後には後藤新平がこれを現代的に再構築しました。

 東京には一つの固定的な中心が存在しません。皇居を虚空の中心と位置づけ、その周囲には数多くの拠点があり、これらは絶えず更新され、発展を続けています。

 例えば、新宿が都市の重心となりつつある中で虎ノ門が注目を集め、次に渋谷や品川がクローズアップされ、その流れの中でまた東京駅周辺の再開発が進行しています。

建築は誰のものか

 かつての日本建築は耐久性を重視して作られており、熊本などでは今も100年を超える民家が残っています。建築が長持ちすることは、建て替えの際に近隣に迷惑をかけないため、常識とされていました。

 しかし、第二次世界大戦後の日本では、次第に短命な建築が一般的になりました。特に郊外では質の低い建物が多く見られます。

 オフィスビルは比較的ましですが、多くの業種に合わせて建てられるため、30年も経つと旧式化しやすく、最終的には解体されがちです。

 戸建て住宅に関しても問題は深刻です。多くの家主は個人の好みで建て、自分の生涯のうちに使えれば良いと考えるため、低予算での建築が普通であり、数年で建物は老朽化します。

 アメリカでは「スクラップ&ビルド」が一般的ですが、住宅は長寿命が保たれており、50年前の建物でも価値が下がらないことが多いです。

 戦後の日本では私権が強まり、企業は時代の変化に迅速に対応するために不動産の所有と利用を分離する傾向が見られます。限られた期間の使用で満足してしまうケースもありますが、新築を望む人々は、次の利用者も念頭に置いた耐久性のある建築を目指すべきです。そうすることで、結果的に資産価値も高まります。

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