話が通じない相手と話をする方法/著者:ピーター・ボゴジアン、ジェームズ・リンゼイ

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書籍情報

タイトル

話が通じない相手と話をする方法

_哲学者が教える不可能を可能にする対話術

発刊 2024年2月5日

ISBN 978-4-7949-7409-9

総ページ数 398p

著者

ピーター・ボゴジアン

 アメリカの哲学者であり、教育者です。彼は特に批判的思考、宗教と無神論、および教育方法に関する研究で知られています。
 オレゴン大学で哲学の学士号を取得し、さらにポートランド州立大学で哲学の修士号を取得しました。その後、ポートランド州立大学の哲学科で長年にわたり教鞭をとり、批判的思考、科学哲学、および宗教哲学を教えています。
 ボゴジアンは複数の著書を持ち、その中で最も有名なのは『A Manual for Creating Atheists』です。この本では、信仰に基づく思考を批判的思考に置き換える方法について論じています。無神論者としても知られ、宗教的信念に対する批判的な態度を公に表明しています。また、彼は教育改革や社会的正義に関する議論にも積極的に参加しました。
 また、2017年から2018年にかけて、二人の同僚と共に、学術ジャーナルに意図的にでたらめな論文を提出する実験を行いました。このプロジェクトの目的は、一部の人文社会科学分野の学術的厳密性を問うことです。この行為は大きな議論を引き起こし、彼のキャリアに影響を与えています。

著者

ジェームズ・リンゼイ

 アメリカの数学者、作家、そして社会・文化批評家です。彼は特に、「グリーヴァンス・スタディーズ」アファーでの役割や、ポストモダニズム、クリティカル・レース・セオリー、社会正義イデオロギーに対する批判で知られています。
 テネシー工科大学で数学の学士号を取得し、さらに同大学院で数学の博士号を取得しました。数学者としてのキャリアをスタートさせ、いくつかの大学で教鞭をとりましたが、後に社会文化的な問題に焦点を移しています。
 複数の著書を執筆しており、その中で最も注目されているのは、ピーター・ボゴジアンと共著した『How to Have Impossible Conversations』や、ヘレン・プラッカローズと共著した『Cynical Theories』です。これらの本では、現代社会における対話の方法やポストモダニズムの影響について論じています。
 また、ピーター・ボゴジアンおよびヘレン・プラッカローズと共に、学術ジャーナルに意図的にでたらめな論文を提出する実験を行いました。このプロジェクトは、一部の学術分野の信頼性を問うことを目的としており、大きな議論を引き起こしました。
 クリティカル・レース・セオリー、フェミニズム、社会正義イデオロギーなどに対する批判的な見解を公に表明しています。彼は、これらの思想が合理性や自由な議論を脅かしていると主張しており、多くの論争を巻き起こしています。

出版

晶文社

もくじ

  • 第1章 会話が不可能に思えるとき
  • 第2章 入門:よい会話のための7つの基礎
    • 通りすがりの他人から囚人まで、誰とでも会話する方法
  • 第3章 初級:人の考えを変えるための9つの方法
    • 人の認知に介入する方法
  • 第4章 中級:介入スキルを向上させる7つの方法
    • (自分を含む)人の考えを変えるための効果的スキル
  • 第5章 上級:揉める会話のための5つのスキル
    • 会話の習慣の見直し方
  • 第6章 超上級:心を閉ざした人と対話するための6つのスキル
    • 会話のバリアを突破すること
  • 第7章 達人:イデオローグと会話するための2つの鍵
    • 動かざる人を動かす
  • 第8章 結論

紹介

 日常生活やビジネスシーンで遭遇するコミュニケーションの難しさを克服するための指南書です。心理学やコミュニケーション理論を背景に、異なる価値観や思考パターンを持つ人との対話の仕方を解説しています。

本書の内容は以下のとおりです。

  • 相手の立場を理解する
    • 相手の視点から物事を考えることで、意見の相違を埋めるための共通点を見つける方法を学びます。
  • 非言語的コミュニケーション
    • 言葉だけでなく、ジェスチャーや表情などの非言語的な要素がコミュニケーションにどのように影響するかを理解します。
  • アサーション(自己主張)
    • 自分の意見を尊重しつつ、相手の意見も尊重するバランスの取れたコミュニケーションの方法を学びます。
  • コンフリクトマネジメント
    • 意見の対立や誤解が生じたときに、建設的な方法で問題を解決するスキルを身につけます。
  • アクティブリスニング
    • 相手の話を真摯に聞き、理解を深めることで、信頼関係を築く方法を習得します。

 日常の対人関係を改善し、ビジネスやプライベートでのコミュニケーションをスムーズにするための実践的なガイドです。コミュニケーションに悩んでいる人や、人間関係をより良くしたいと考えている人にとって、有用な一冊となるでしょう。

口をつむぐこと

 人は一方的にメッセージを伝えようとしてしまっており、それを聞いているほうはまさにその伝達されていること自体を拒絶します。

 誰もお説教などされたくないのです。

 効果的な会話についての研究文献をみれば、メッセージを伝えようとしてもうまくいかないことははっきりしています。メッセージは一方通行で運ばれる情報なので、聞く側は自分に耳を傾けた上で最終的にはこちらの議論を受け入れるものだと勘違いしてしまっているのです。

 聞く側は、歓迎されない情報をもってきた人自身に怒りをぶつけたくなります。こうした反応を避ける方法は、そもそも歓迎されないようなメッセージは伝えない、というものです。

 1つ言えることは、わざわざ会話のチャンスを探る必要はありません。普通に過ごしていくなかで、やりとりすればいいのです。あらゆる会話は、効果的なコミュニケーションを取れる人間になる練習の機会でもあります。よりよい聞き手、パートナーになることは、悪いことではありません。

すべきでないこと

避けるべき振る舞い
●無作法で節度のない振る舞いをする
●怒りをあらわにする
●声を荒げたり、人の発言に被せて発言する
●わざと無礼な態度をとる
●人を馬鹿にしたり責めたりする
●人のことを笑う
●立場を理解する前に攻撃する
●会話のパートナーの議論を理解する気がないそぶりをみせる
●相手の言葉を、最も悪いようにとる
●人が質問をしたり分からないと言ったときに頭が悪いと責める
●ミスしたり助けや情報、フィードバックを求めた人に罰を与える
●推測に悪態をつく
●考えではなくその考えを持つ人自身を攻撃する
●人を「無知、無能、ネガティブ、厄介」なものとみなす
●自分自身の考えについて不誠実である
●本当は知らないのに知っているふりをする

 避けるべき会話の動作について紹介したが、これを理解するのは補助スキルだと捉えてもらいたいです。会話のテクニックがうまくいかないときには、学びモードに切り替えるとよいでしょう。

 会話の技術は積み重ねでできていくことに注意してほしいのです。

事実や証拠で傷つけない

 事実や証拠を突き付けないほうがよい理由は、会話のパートナーが守りに入る理由を与えないようにするためです。

 事実をつきつけて、相手が馬鹿か間抜けに見えてしまうことはないでしょうか。

 会話のパートナーが抱いている考えをやめさせようとして説得してしまうと、相手はかえってその考えに執着してしまいます。自分の立場を強めてくれるような事実を都合よく選んで議論するようになるでしょう。

 事実を突きつけて良い場面は、道徳的にアイデンティティを無視するという非常に稀な状況に限ります。

 会話のパートナーがはっきりと要求したり、確認してきた場合に「間違っているかもしれませんが」、「私の知る限りでは」と謙虚に事実を言うことで、問題にならずに済むこともあります。

対抗介入の戦略

 相手があなたの認知プロセスや考えに介入し、疑いを植えつけようとしていることに気づいたら、あなたが取れる選択肢は3つです。

  1. 相手につきあう
  2. 相手にしない
  3. カウンター介入を行う

 このうち、「相手につきあう」ことを強く勧めます。

 相手が介入してきた場合に、されるがままにしておくこともできますが、相手に付き合うことで何かを学ぶことができるのはほぼ確実です。

 自分で思っているよりも根拠を欠いたものであるということがわかり、以前ほど固執しなくなるようになるのが理想です。

 また、自分のレパートリーに取り入れたほうが良いテクニックを持っているという場合も、介入してくる可能性があります。

 それに、相手がどんなミスを犯しているか、どうしたらミスを避けられるかを学べるかもしれません。

 結果がどうであれ、介入に付き合うことで、何かしらを学ぶ機会になることは多いのです。

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