動物たちの江戸時代/編者:井奥成彦

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書籍情報

タイトル

動物たちの江戸時代

発刊 2025年4月15日

ISBN 978-4-7664-3028-8

総ページ数 262p

出版社リンク 慶応義塾大学出版

編者

井奥成彦

慶應義塾大学名誉教授。史学博士。

執筆者

髙橋美由紀 立正大学経済学部教授
藤井典子 慶應義塾大学文学部古文書室研究員
小沢詠美子 成城大学民俗学研究所研究員
重田麻紀 慶應義塾大学文学部古文書室研究員
上野大輔 慶應義塾大学文学部准教授
佐藤孝雄 慶應義塾大学文学部教授
石神裕之 京都芸術大学芸術学部教授
岩淵令治 学習院女子大学国際文化交流学部教授
神田由築 お茶の水女子大学基幹研究院人文科学系教授

出版

慶応義塾大学出版

もくじ

  • 序 井奧成彦
  • 第一章 犬の江戸時代 井奥成彦
    • 「生類憐みの令」の時代
    • かわいがられる犬たち~「生類憐 みの令」以降~
  • 第二章 牛と馬が支える江戸時代の暮らし 髙橋美由紀
    • 運搬と牛馬
    • 街道と馬
    • 村の暮らし――人・世帯・馬と牛
    • Interlude 1 出土馬骨の研究 佐藤孝雄
  • 第三章 狩られる鹿・猪たち徳川将軍の「鹿・猪」狩り 藤井典子
    • 川越・板橋・駒場野・小金原~将軍たちが動物たちを狩った場所~
    • 小金原御鹿狩にみる猪・鹿の生息状況の変化
    • 小金原で狩 られた猪・鹿・兎たち
    • 駒場野・小金原の幕末維新
    • Interlude 2 江戸大名屋敷の獣肉食 慶應義塾中等部構内から出土した動物骨から 石神裕之
  • 第四章 鶴と鷹の江戸時代―徳川将軍と「御鷹之鶴」 藤井典子 
    • 徳川将軍の「鶴御成」
    • 幕末の「御鷹匠」が捕獲した「黒鶴」
    • 鶴をさばく儀式と饗応
    • 「鷹と鶴」を支えた生き物
    • 鷹と鶴の幕末
  • 第五章 江戸のペットビジネス 小沢詠美子
    • ペットとしての動物
    • 「鳥屋」の活躍
    • 「花鳥茶屋」 の様子
    • 浅草花屋敷の「鳥茶屋」
    • Interlude 3 江戸時代の狆飼育 岩淵令治
  • 第六章 薬となった動物たち 上野大輔
    • 一角(イッカク)
    • Interlude 4 象との出会い 上野大輔
  • 第七章 鯨と江戸時代人 上野大輔
    • 仕留められた鯨
    • 供養された鯨
    • 物語化した鯨
    • Interlude 5 豊後国浜之市の曲馬芝居と見世物 神田由築
  • おわりに
  • 編者・執筆者紹介

書籍紹介

 この本は、江戸時代の日本において動物たちがどのように人々の生活や文化に溶け込み、どのような役割を果たしていたのかを生き生きと描き出しています。歴史書でありながら、動物というユニークな視点を通じて、江戸の社会を身近に感じられる点が特徴です。

 本書では、犬や猫といった身近なペットから、馬や牛などの労働を支える動物、さらには象や虎といった当時珍しかった異国の生き物まで、多様な動物が登場します。井奥さんは、江戸の人々が動物とどのように関わり、愛し、あるいは利用してきたかを、豊富な史料をもとに丁寧に紐解いています。例えば、町人たちが犬を家族のように可愛がったエピソードや、将軍家が象の来訪に沸いた様子など、ユーモアと驚きに満ちた逸話が随所に散りばめられています。これらの物語は、現代の私たちが想像する以上に、動物が江戸の日常に深く根付いていたことを教えてくれます。

 動物を通じて、江戸時代の社会構造や価値観、さらには人々の心の動きまでが浮かび上がります。商人や武士、農民といった異なる階層の人々が、動物とどう向き合ったのか。その関わり方には、当時の生活様式や文化が色濃く反映されています。井奥さんの筆致は学術的でありながらも温かみがあり、読者を江戸の街角に誘うような親しみやすさがあります。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

街道と馬

 近世代における馬の役割は何といっても速さを活かし、人や物を運ぶことに置かれていました。参勤交代・物資物流・旅の習慣化などにより、江戸期は人や物の往来が盛んだったことも影響しています。

 街道筋に設けられた宿場には馬と人足を常備するよう幕府から定められていて、参勤交代などの大量の人と物資の移動には馬や人足が集められていました。村落にとって、農繁期には重い負担となっていたことが残されています。そのため、綿絵などには馬継の様子などが頻繁に描かれています。

 八代将軍徳川吉宗が馬産に関心を持っていたことで、牧士ビジネスが特需になった時代があります。馬が暴れることで、井戸に馬が落ちたり、農作物を馬が荒らしたりと、珍事件が多発していたようです。リスクはあったものの、地方の収入源になっていました。

 また、馬が神の乗り物として奉納されるなど、馬の息災・供養などに力を入れていたことが日本の各地域にみられます。人々の暮らしに重要な関わりをする馬を、神聖の象徴するなどして大切にされていたこともわかります。

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