※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。
目次
書籍情報
パワー・オブ・マネー 新・貨幣入門

ポール・シェアード
エコノミスト。日本経済に詳しい。
S&Pグローバル」副会長、リーマン・ブラザーズ、野村證券、S&Pレーティング・サービス等のチーフ・エコノミストを歴任。
早川書房
- はじめに
- 第1章 貨幣の想像 強力なパートナーシップ
- 第2章 国債の力
- 第3章 中央銀行の力
- 第4章 量的緩和の力
- 第5章 不平等(と富)を生み出す貨幣の力
- 第6章 大惨事をもたらす貨幣の力
- 第7章 ユーロの愚行
- 第8章 国際通貨の力
- 第9章 暗号通貨の破壊的力
- 結論
- 日本語版あとがき
書籍紹介
この本は、お金の本質やその歴史、そして現代社会における貨幣の役割を、わかりやすくかつ深く掘り下げた入門書として注目を集めています。お金というテーマは、誰もが日常的に関わるものの、その裏側にある仕組みや影響力については、意外と知られていないことが多いものです。
本書では、貨幣の起源から現代のデジタル通貨まで、時代を超えたお金の進化が描かれています。特に印象的なのは、貨幣が単なる交換手段ではなく、社会や政治、さらには人間の心理にまでどのように影響を与えてきたかを、具体的な事例とともに紐解いている点です。たとえば、古代の物々交換から紙幣の登場、そして現代の仮想通貨に至るまでの流れを通じて、貨幣が権力や文化と深く結びついてきたことがわかります。
本書は現代社会におけるお金の課題にも鋭く切り込んでいます。キャッシュレス化や中央銀行デジタル通貨(CBDC)の台頭、さらには格差拡大と貨幣の関係など、今日的なテーマが丁寧に扱われています。これらの話題は、私たちの生活に直接関わるものであり、読後に「お金とは何か」を改めて考えさせられるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
貧困層を支援する

超富裕層の富は、株式をはじめとする金融資産、住宅や高級車、芸術作品、宝飾品、プライベートジェット、ヨット、島などの実物資産に対する請求権を表します。金融債権の奥には、オフィスビル、工場、倉庫、知的財産などの実物資産に対する原請求権があります。
原請求権の富は、消費者に財やサービスを提供することからその価値を得ています。超富裕層の多くが自分のお金ですることのひとつは、与えることです。自分のことのために使う金額から溢れた富を、非営利団体に寄付ことはよくあります。
また、億万長者が富を使う時は、その過程でほぼ間違いなく社会に恩恵をもたらします。ジェフ・ベゾスが『ワシントン・ポスト』紙を買収した事例では、デジタル時代を向えて多くの新聞が破産した中で、実績ある新聞を存続させることができたのです。優秀な記者やスタッフの失業を防いでいます。
貨幣には上記のような良い面があります。しかし、経済や社会に大惨事をもたらすこともあります。その悪影響を軽減するために何ができるかを次章以降に検討していきましょう。