脳は世界をどう見ているのか/著者:ジェフ・ホーキンス

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書籍情報

タイトル

脳は世界をどう見ているのか

発刊 2025年7月10日

ISBN 978-4-15-050617-9

総ページ数 406p

書評サイト 読売毎日日経読書メーター

出版社リンク 早川書房

著者

ジェフ・ホーキンス

神経科学者、起業家。
神経科学とAIの研究を行うサイエンティスト。
インテルのエンジニアとして働いたのち、カルフォルニア大学で神経科学を学ぶ。1992年にパーム・コンピューティングを設立し、現在のスマートフォンの先駆けとなる端末を開発。2002年にはレッドウッド神経科学研究所を設立。2005年にはヌメンタを設立する起業家でもある。

出版

早川書房

もくじ

  • 序文 リチャード・ドーキンス
  • 第1部 脳について新しい理解
    • 第1章 古い脳と新しい脳
    • 第2章 ヴァーノン・マウントキャッスルのすばらしい発想
    • 第3章 頭の中の世界モデル
    • 第4章 脳がその秘密を明かす
    • 第5章 脳のなかの地図
    • 第6章 概念、言語、高度な思考
    • 第7章 知能の1000の脳理論
  • 第2部 機械の知能
    • 第8章 なぜAIに「I」はないのか
    • 第9章 機械に意識があるのはどういうときか
    • 第10章 機械知能の未来
    • 第11章 機械知能による人類存亡のリスク
  • 第3部 人間の知能
    • 第12章 誤った信念
    • 第13章 人間の知能による人類存亡のリスク
    • 第14章 脳と機械の融合
    • 第15章 人類の遺産計画
    • 第16章 遺伝子 vs. 知識
  • おわりに

書籍紹介

 著者のホーキンス氏は、パーム・コンピューティングの創業者としても知られる人物で、神経科学者として長年研究を続けてきた方です。彼のエンジニアとしてのバックグラウンドを活かし、複雑な脳の仕組みをわかりやすく説明してくれる点がこの本の魅力です。

 内容を少し振り返ってみますと、脳の中心的な部分である大脳新皮質に焦点を当てています。この新皮質は、無数の小さな単位である「皮質カラム」から成り立っており、それぞれが独立した小さな「脳」のように機能しているというのが、ホーキンス氏の提唱する「1000の脳」理論の核心です。脳は感覚器官から入ってくる情報を基に、世界のモデルを構築し、それを予測や行動に活用しているのです。例えば、私たちが物を見たり触ったりする際に、脳は過去の経験から瞬時にモデルを参照して理解を深めます。この理論は、知能の謎を解く鍵として、細胞レベルから全体の働きまでを丁寧に紐解いています。

 最初に理論の基礎を説明した後、知能とは何かを哲学的に掘り下げ、最後にAIの未来や人間の意識についてまで議論を広げています。古い脳が本能的な行動を司り、新しい脳が柔軟な学習を可能にしているという対比も興味深く、読むごとに目から鱗が落ちるような発見があります。

 脳科学に詳しくない方でも、知的好奇心を刺激されながら楽しめます。特に、AIの進化に興味がある人や、脳の働きを知りたい人にはおすすめです。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

古い脳を機械では構築できない?

 新皮質は筋肉を直接制御しません。新皮質が何かをするときは、脳の古い部位によって実行される動作です。二本足でバランスを取る、歩く、走るというのは、脳の古い部位で実行されます。この基本的な動作は新皮質に頼りません。

 新皮質に相当するものが直接動きを制御する知的機械を構築できないのでしょうか。私はできないと考えます。

 センサーを整え、すでに動作パターンをもつ何かに、新皮質は接続されていなくてはなりません。新皮質は新しい動作を作り出すわけではなく、既存の動作に役立つように、つなぎ合わせる方法を学習します。これは、古い脳がつかさどる原始的動作は学習によって修正される場合があるため、新皮質も適応しなければならないからです。これが機械の場合、身体性に結びついている動作は、組み込まれなくていなくてはなりません。

 ドローンに知能をもたせれば、物資を届けるためにルートや緊急性を評価して、他のドローンと協力し配達をすることもできるでしょう。それでもドローンの新皮質は、全ての局面を制御することはできないし、そうさせる必要もありません。ドローンには飛行、着地、障害物の回避などのために、動作が組み込まれています。二本足でバランスを取る必要がないように、飛行制御について考える必要はありません。

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