サイコパスから見た世界/著者:デイヴィッド・ギレスピー

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書籍情報

タイトル

サイコパスから見た世界

「共感能力が欠落した人」がこうして職場を地獄にする

発刊 2025年8月19日

ISBN 978-4-492-22430-4

総ページ数 309p

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出版社リンク 東洋経済

著者

デイヴィッド・ギレスピー

企業の顧問弁護士の経験があり、ソフトウェア会社の共同創業者として成功を収め、投資家や作家としても知られる。

出版

東洋経済新報社

もくじ

  • はじめに
  • 第1章 私たちのなかに紛れ込んでいるカメレオン 歴史上のサイコパスたち
    • もみ消された真珠湾攻撃の情報
    • 仮面がはがれ落ちたスター選手
    • サイコパスに欠けているもの
    • サイコパスの頭のなか
  • 第2章 共感力の進化 協力、信頼、「コモンズの悲劇」
    • 無名の選手から成る最強のチーム
    • スター選手がひしめく最低のチーム
    • チームの成功を阻む「コモンズの悲劇」
    • お互いへの信頼がないチームは機能しない
    • 「囚人のジレンマ」と信頼
    • 「繰り返し囚人のジレンマ」における「しっぺ返し戦略」
    • 人間らしさの中心にある「ミラーリング」
    • ミラーニューロンの発見とその驚くべき力
    • 「フォン・エコノモ・ニューロン」と共感力
  • 第3章 サイコパシー 共感力が欠如しているとなにが起きるのか
    • 認知症により身勝手になってしまった男
    • 「サイコパス」の定義の変遷
    • サイコパスかどうかを見きわめるためのチェックリスト
    • fMRIがあきらかにしたサイコパスの脳
    • サイコパスにとっての報酬と罰
    • サイコパシーを抑制する試み
    • 情動的共感が欠落したドナルド・トランプ
    • 共感力を高めるホルモン
    • アセトアミノフェンが共感力を低下させる?
    • サイコパスにとってこの世界は「食うか食われるか」
  • 第4章 サイコパシーのおもな特徴 同じヒトという種のなかに潜んでいる捕食者
    • 誰もが真実しか言わない世界
    • サイコパスは(表面的には)とても魅力的になれる
    • サイコパスの経営者が招いた「生き地獄」
    • サイコパスはマイクロマネジメントを好む
    • ドナルド・トランプの利己的で危険な思考決定
    • サイコパスは「自分に利害があるかどうか」だけで意思決定する
    • サイコパスが社会のルールを守ろうとしない理由
    • スティーブ・ジョブズの攻撃性
  • 第5章 ケーススタディ1 ステファニー
    • 一致団結して働く最強のチーム
    • 面接で飛びぬけて好印象だった新人
    • チームに生じた異変
    • 衝撃的な事件
  • 第6章 ケーススタディ2 アリス
    • 新卒の後輩に対して覚えた違和感
    • 彼女はどこかおかしい…
    • エスカレートする攻撃
    • でっちあげられた背任行為の証拠
  • 第7章 ケーススタディ3 スコット
    • サイコパスから被害を受けた経験をもつ父親
    • 父親からの助言
    • 引き裂かれたチーム内の信頼関係
    • 記録に残すという防衛策
    • ペットのように服従し、けっして批判してはならない
  • 第8章 ケーススタディ4 ジャスミン
    • 自分にはなにかが欠けている
    • 友だちが亡くなっても悲しくない
    • 息をするようにウソをつける
    • 他人は利用するだけの存在
    • 同僚と上司を蹴落とすための策略
  • 第9章 サイコパスへの対処法
    • 本書が伝える4つの教訓
    • サイコパスと関わる場合の5つのルール
    • サイコパスをどう見分けるか、なぜ見定めるのが重要なのか
    • サイコパスを寄せつけないのは、誠実で透明性を重視する経営者
    • 性格に4つの強みをもつ経営者は企業の業績を向上させる
    • サイコパスへの対処法のカギは「つねに誠実に行動せよ」
  • おわりに

書籍紹介

 サイコパスがどのようにして職場を「生き地獄」に変えるかです。ギレスピーは、人口の約20人に1人がサイコパス的傾向を持つと指摘し、彼らが持つ共感の欠如や表面的な魅力が、周囲にどれほどの混乱と破壊をもたらすかを具体的に解説します。

 彼らは一見魅力的で人当たりの良い態度で信頼を勝ち取りながら、裏ではマイクロマネジメントや成果の横取り、秘密主義といった行為で組織をむしばむとされます。これらの行動は、職場にストレスや不信感を生み出し、時には深刻な人間関係の破綻を招くこともあると警告しています。

 サイコパスという存在を遠い世界の話ではなく、身近な現実として捉え直すことで、自分を守る術を学べる一冊です。人間関係や職場のダイナミクスに悩む方、または単純に人間の心理に興味がある方にとって、強くおすすめしたい本です。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

サイコパスは(表面的に)魅力的になれる

 ドナルド・トランプの姪のメアリーは臨床心理士で、2020年に出版された『世界で最も危険な男「トランプ家の暗部」を姪が告発』の著者です。そのなかで、サイコパスの特徴を物語っているエピソードを紹介しています。

 2017年、メアリーはホワイトハウスで開催された親戚の集まりに招待されました。そこでトランプは「君にはぜひ来てもらうようにと、特別に言っておいたんだ」と言い、両腕を広げメアリーをハグしたようです。これは彼がよくやる人心掌握の手であり、その場その場に合わせて本気らしく言うコツを心得ています。

 SNSではコロナ対策をしていた製薬会社を非難し、医薬品株が暴落するなど損失をこうむっていました。そこで製薬会社の役員や株主たちがホワイトハウスに出向くと、トランプが愛想よくホスト役を務め、彼らに耳を傾けて、新薬承認の手続きを簡素化したいがための方便だと語ったのです。製薬会社のトップたちは、大統領がわかってくれたという印象をもって、ホワイトハウスを後にしました。

 珍しい話ではなく、好印象を残して有利な状況をつくるためには、誕生日を祝いことも、レディーに椅子を引くことも、トランプは忘れなかったようです。SNSでは横暴な書き込みをするにも関わらず、実際に会ってみると違う人物がいました。

 サイコパスにとって、世界は信用できない人間であふれています。被害妄想が極端に強いので、他人が自分を信用しているとは思えず、少しでも隙を見せれば裏切られると思っています。

 サイコパスに騙された人は、初めて会ったときから魅了されたとよく語ります。サイコパスがあなたを褒めるのは、あなたに信用されたいからです。サイコパスは聞き上手であり、あなたに信用されるような行動をとります。信用できない相手をコントロールしようと考えるのです。彼らは、あなたにアメとムチを使いわけて忠誠を強要しようとします。

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