深海の闇の奥へ/著者:エディス・ウィダー

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書籍情報

タイトル

深海の闇の奥へ

生物発光に魅せられた海洋学者の冒険

発刊 2025年8月5日

ISBN 978-4-314-01215-7

総ページ数 461p

出版社リンク 紀伊国屋書店

著者

エディス・ウィダー

海洋生物学者。
米国の海洋調査保護協会(ORCA)の共同設立者、CEO、シニアサイエンティスト。
深海に生息する発酵生物の研究を専門とし、海洋環境保護のための技術開発に情熱を注ぐ。

出版

紀伊國屋書店

もくじ

  • プロローグ 異質な光
    • 闇の縁
    • 深海という未踏の地
  • 第1部 深く見る
    • 第1章 見る
      • 光とは何か?
      • 手術と臨死体験
      • 視覚の動き
      • 回復、自然の驚異
    • 第2章 ファーアト・ルクス
      • 生物発光とは
      • 海洋生物学者を志す
      • ケース先生との出会い
    • 第3章 最初の発光
      • 渦鞭毛藻
      • 細胞の発行を測定する
      • 警告か、警報か
    • 第4章 眼下にまたたく星
      • 初めての海洋調査遠征
      • 中層へのアクセス
      • WASPでの初潜水
      • 連続的に変化する世界
      • 人魚の涙
    • 第5章 不思議な光
      • ライトフィールド
      • どのように隠れるか?
      • パニックに対処する
      • 二度目の潜水
      • 光る生物のラッシュアワー
    • 第6章 生物発光の地雷原
      • 潜水艇ディープローバー
      • 光の地雷原のど真ん中
      • 光を撮る
      • 浸水の恐怖
      • 成果と実現
    • 第7章 水中の炎
      • テ・ラパ
      • 軍事と海洋生物研究
      • HIDEX-BP開発
      • パッチネス
  • 第2部 闇を知る
    • 第8章 とびきりの謎解き
      • 潜水艇JSL
      • 発光という適応
      • 進化の現場を目撃する
    • 第9章 闇の物語
      • キューバ遠征
      • お飾りの科学
      • 自然ドキュメンタリーの難しさ
      • 最悪の瞬間
      • エル・コマンダンテとの対話
    • 第10章 プランB
      • 海の惑星に生きる
      • EITS開発の道のり
      • 「深海を見ている!」
    • 第11章 光の言語
      • 「見られずに見る」
      • ブラインプール
      • プロジェクト・ディープスコープ
  • 第3部 ここに怪物アリ
    • 第12章 地図の端
      • 奇妙な目
      • 深海底の生物発光
      • マリンスノー
      • 光る糞
    • 第13章 クラーケン現る
      • 謎めいた巨大生物
      • 常に何かが起こっている
      • ダイオウイカ撮影プロジェクト
      • 三人の科学者
      • 小笠原の海へ
      • 勝利の瞬間
      • 暗闇への旅
    • 第14章 捕食者との会話
      • イカと話す人
      • 海の砂漠を抜けて
      • 捕食者フンボルトイカ
      • 崩壊する漁場
      • 生命という資源
  • エピローグ 楽観論擁護

書籍紹介

 深海という人類にとって未だ謎に満ちた世界を、科学者の視点から鮮やかに描き出した一冊です。著者のエディス・ウィダーは、海洋生物学者として長年深海の研究に携わってきた人物で、彼女自身の経験と情熱がこの本のページから溢れ出ています。深海は、地球上で最も過酷で神秘的な環境の一つであり、その闇の中で生きる生物たちの驚くべき生態や、科学技術の進歩によって初めて明らかになった光景が、生き生きとした筆致で綴られています。

 ウィダーは、深海探査の現場での苦労や発見の喜びを、まるで冒険小説のような臨場感で描きます。深海潜水艇に乗り込み、暗闇の中で光を放つ生物たちと出会う瞬間や、予想もしなかった生態系の複雑さに驚く様子は、読者をまるでその場にいるかのように引き込みます。特に、生物発光という現象に焦点を当てた章は、深海生物がなぜ光を発するのか、その進化の背景や生態学的な意味を丁寧に解き明かしており、科学に詳しくない読者でも楽しめる内容となっています。

 深海の美しさやその脆弱さ、そして人間活動が及ぼす影響についても触れられており、環境保護への意識をさりげなく喚起します。深海という遠い世界が、私たちの生活や地球全体とどのように繋がっているのかを考えさせられる一冊です。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

海中庭園

 JSLを使って、底生動物を採取し、刺激で光る発酵生物がいないか確認することにしました。

 海底の4分の1は生物に溢れていて、地球とは思えない異質な生物が集まっています。その群れを目にしたとき、わたし言葉を失いました。SPLATスクリーン上のあちこちで点滅する生物発光に夢中になり、進み過ぎて海底にぶつかってしまったこともあります。

 水深600メートルから先の暗闇で固いものに衝突するというのは恐怖です。そんな中、照明灯をつけると、目の前にはこの世のものとは思えない光景が広がっていて、アドレナリンが前進を駆け巡りました。

 巨大な扇形のバブルガムサンゴに囲まれ、レース付きの魔女の帽子を逆さにしたような巨大な黄色いカイメンが立っています。海底を覆っているのは、ピクサー映画に出てきそうな正体不明の巨大なキノコの畑です。傘の上に羽根が生えています。キノコの下にはオレンジ色のカエルのようなメバルがこちらを覗いていました。

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