書籍「医療費のカラクリ」

※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 25年間、61万5000人の生活習慣病患者、1350万回受診の実際の電子カルテのデータをもとに、医療費の使われ方を検証してみました。

書籍情報

タイトル

ビッグデータが明かす

医療費のカラクリ

著者

油井敬道

アライドメディカル取締役。

 ボストン・コンサルティング・グループに所属し、経営の最前線で戦ってきました。84年より油井コンサルティング設立して医療で使う電子カルテの開発に乗り出し、アライドメディカルにて電子カルテのビッグデータを分析しています。

出版

日経BP

生活習慣病は同じ病気でも患者により3~5倍の治療費の差

 生活習慣病の医療費は医者の発行する処方箋の日数によって大きく変化します。

 数年前の処方日数は高血圧症で14日分の処方箋を発行していましたが、今では30日くらいが主流になっているのです。1日当たりの治療費が正しく計算できないため、2020年のデータに絞って次のデータを記します。

 極端に高い患者5%を除いて、医療費は次のようになっています。

  • 高血圧症:70円~330円
  • 糖尿病:130円~690円
  • 脂質異常症:60円~340円

医療費の差は5倍~6倍の違いがあるのです。

無条件に請求される各種手数料

 570円の「薬剤服用歴管理指導料」、420円「調剤基本料」、「内服薬調剤料」は手数料として含まれるのが普通です。

 それに加えて感染症対策実施加算という40円の項目があります。

 その薬局の手数料は薬の種類数と処方日数によると法律で決められています(正確にはの飲み方のタイミングの違いを種類と考えます)。

 処方は、すべて医師が発行した処方に従わなければなりません。法律で決まっています。

 処方が明らかに間違っていたとしても、薬剤師は必ず処方箋を出した医師に連絡をとり、指示を受けなければならないのです。

 基本料は固定費なので、なるべく長い日数の処方を書いてもらうと、1日あたりの手数料が安くなります。医療費が安くなるかどうかは、医者にもよるのです。

まとめ
無条件に支払いが発生する基本の手数料がある
処方箋も、その処方期間も、医者が決めると法律で決まっている
長い日数の処方箋を書いてもらえるかどうかは、医者による

高い薬でも安い薬でも診療結果は同じ

 高血圧症のARBとCCBの薬の効き目をエンドポイントで分析すると、有意な違いはありませんでした。脂質異常症のストロングスタチン(高価)とレジュラースタチン(安価)の間にも違いがみられません。

 統計結果でみれば、高い薬と安い薬との間に差がないと認識できます。多くの患者をおしなべてみたときの判断材料です。

 個人の患者を診察するときに無条件に適用されるべきものではありません。患者の体質、生活態度なども考慮されているのです。

 しかし、糖尿病の患者を集めたときに、高い方の薬を多くの人が飲んでいるというのはオカシイと思います。

まとめ
生活習慣病の高い薬と安い薬で、統計的にみれば効果に差がない
個人でみた場合には、患者にあった薬が選択されるべきである
高い方の薬を飲んでいる比率が多いのはおかしい

受診頻度によって検査値も治療結果も変わらない

 高血圧症、糖尿病、脂質異常症いずれの患者も、受診頻度が高ければ医療費も高くなります。

 受診頻度が高いグループと低いグループで別に統計をとってみると、平均年齢、血圧値、HbA1c、LDLコレステロール値に差がありません。

 毎月診察すれば病院側も儲けがでるので、診療する余力がある限りは患者に受診してもらいたいのです。

 これまでの話をまとめれば簡単です。

 安い薬を飲んでも、診療頻度を低くしても、結果的に重篤な病気になる可能性は変わりません。

 結局、高価な治療はそれほど必要ないのです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 薬剤師さんが医者に連絡して、すごい丁寧に下から話されているのに、間違いを認めない医師というのを何度か見たことがあります。私でもわかるミスなのにです。

 プライドがあるのはわかりますが、薬局兼ドラックストアの店員をやっている方が沢山いて、そのどれもが忙しくしています。「ちょっとナイな~」と思うのです。

 それに、薬に関しては薬剤師の方が詳しいはずです。薬剤師側に医師を評価するようなものでもあれば、少し違ってくるのかな?とも思います。

 色々問題が考えられる議題だと思います。

 医師にしか裁量権がないは、見直してもいいのではないでしょうか?

 生活習慣病を相談されたとして「治療しても変わりません、薬だしとくので、半年に1回きてください」なんて医者が言うわけないのです。

 グラフがわかりにくいですが、詳しい医療費のデータがみて、各自の医療費の見直しの参考になる書籍ではないでしょうか。

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