書籍「日本史サイエンス 弐」

※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 エンジニアなりの発想で、3つのテーマを選んで謎解きに挑戦してみました。

 邪馬台国はどこにあったのか。

 秀吉はなぜ戦争を始めたのか。

 日露戦争最大の決戦で、丁字戦法

書籍情報

タイトル

日本史サイエンス 弐

著者

播田安弘

 日本初の水陸両用バス「LEGEND零ONE号」の船舶部分を設計しました。定年後は戦艦ヤマトなどの3Dイラストレーションを制作する「Ship 3D Design 播田屋」の主宰を務めています。

出版

BLUE BACKS 講談社

卑弥呼が天照大御神だとしたら

 日本の翡翠の再発見は神話がきっかけです。糸魚川では世界最古の翡翠加工を実現していましたが、その後の衰退によって忘れ去られていました。

 日本神話では、「越の国」を収めていた「奴奈川姫」という神がいたとされています。大国主命の妻とされる神です。糸魚川周辺を支配していた族長であったと記されています。

 その首に翡翠の勾玉でできた首飾りがかけられていて、卑弥呼を彷彿とさせるものです。

 1938年、糸魚川流域の小滝川にそそぐ土倉沢の滝壺で美しい緑色の石が発見されました。

 『古事記』『日本書紀』などで、天照大御神は太陽神として存在しています。有名な神話に「天の岩戸隠れ」があり、弟スサノオの悪行に嫌気がさして岩の洞窟に引きこもるというものです。

 「天の岩戸隠れ」は皆既日食を表したものではないかとされています。卑弥呼の時代では247年3月24日と248年9月5日にあったことがわかっているのです。

 内乱が生じて、翌年に平和が回復したということを天文現象と結びつけたを考えると符合します。

 これらの日食がどこで観測されたかが判明すれば、神話では「高天原」と書かれている邪馬台国の位置を特定することができるのではないでしょうか。

 いまも、天文学者らによって当時の日食の解析がなされています。

秀吉はなぜ戦争をはじめたのか

 天下統一をなしとげた秀吉ですが、鉄砲は造れても鉛や硝石は外国から輸入する必要がありました。

 一部の大名たちは、スペインやポルトガルの宣教師を介して交易で鉛を調達していたのです。このとき、鉛と交換されていたのが奴隷でした。

 1588年、九州の島津氏を屈服させた秀吉は、宣教師たちが日本人を奴隷として売買していることを知り、イエズス会準管区長ガスパール・コエリョを呼び出し問い詰めています。

 ガスパールは自国の艦隊を見せつけ、挑発的な対応をしてきたようです。

 さらに、九州を周って領民に対してキリスト教の教養や神社仏閣の破壊といった行為を認識しました。

 秀吉はポルトガルやスペインが日本制服に乗り出してくるのではないか、と考えたのです。無許可で布教していた宣教師と信者を26名処刑し、スペインの総督に対して1592年に服属を要求する書簡を送っています。

 秀吉が行ったのは朝鮮出兵です。スペインが朝鮮に攻め込む前に明に攻め込むことで、スペインに牽制する意味合いがあったのではないかと言われています。

バルチック艦隊、対馬海峡へ

 1904年10月15日、バルチック艦隊の第二艦隊が、旅順艦隊の救援のためにリバウ港を出港しました。1905年2月15日には第三艦隊も出航しています。

 戦力で劣る日本としては、長距離を航海してきたバルチック艦隊がウラジオストックに入港し、休養や補給の時間を得る前に撃退する必要があったのです。

 当時は無線装置が発売されたばかりで、レーダーや方向探知機はありませんでした。船の上から双眼鏡で目視するしかありません。どのようなルートでバルチック艦隊がウラジオストックに行くかが重要になってきます。

 宮古島沖を小舟で漕いでいた西寧が5月23日にバルチック艦隊を発見しました。そして、石垣島も無線所まで、若い漁師5名が「サバニ」と呼ばれる小型の船で危険な航行をすることになったのです。この「サバニ」は現代の高速船に類似する形をしていたため、速度が出せました。

 5月27日6時過ぎ、敵発見の連絡を受けると連合艦隊は鎮海湾を出て出航したのです。

 13時39分、連合艦隊の主力は、左前方に2列縦隊で航行するバルチック艦隊を発見しました。

 14時8分には「三笠」が雨のように砲弾を浴びせられました。

 そこで、語り草になっている「東郷ターン」が登場します。に敵艦隊が縦列で航行する前方に、横一列で並び、一艦隊づつ集中砲火していく戦法です。「丁字戦法」と呼ばれています。

 「丁字戦法」は威力がある反面、相手の進行に合わせるのが難しい戦法です。この戦法は、学習をさせたAIでも成功させるのは難しく、まさに神がかりの成功といえるものでしょう。

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