書籍「一汁一菜でよいと至るまで」

※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 メディアでは、お金をとるプロの料理と無償の家庭料理の違いを深く考えないで発信されてきました。

 家でごちそうを食べたいという過剰な要求から、家庭料理は壊れれます。

 家庭料理という文化を守り、原点に戻るために初期化して、簡素な「一汁一菜」に行きついたのです。

書籍情報

タイトル

一汁一菜でよいと至るまで

著者

土井善晴

料理研究家。
「おいしいもの研究所」代表。
十文字学園女子大学特別招聘教授。
東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。

出版

新潮新書

磨かれた美意識

 『料理の鉄人』というテレビ番組にフランスの料理人、アラン・パッサールが出た翌日、番組をみた人は「生のフォワグラを手に取るその手の見事さに感動した」とおっしゃった。

 どんな料理を作ったのかは覚えていませんが、彼の手が触れた食材が浄化され、美しくなる瞬間に共感したのでしょう。

 美しいものを知り、喜ぶ感性の芽を刺激してくれたのは間違いありません。

 料理は技術だけではなく、楽しさ、美しさを経験できることだと思います。

毎日の野菜スープは水で煮る

 玉ねぎ、人参、セロリを刻んでバターでしんなり炒めてから、小切のじゃがいもと一緒に水をかぶるくらい、鍋に入れて強火で煮立てます。

 野菜はその時々のものをプラスしましょう。

 強火で煮たてることで、油脂と水が乳化してトロリとなります。

 あとは塩コショウで味付けをして出来上がりです。

 日本は豊かになって、昆布や鰹節などが使えるようになりました。そしてその使用が基準になり、みそ汁を作るにも出汁が必要だと考えるようになったのです。

 味噌汁を作るのに出汁が必要だと考えるのは間違いです。

 なんでも手間をかけ、「おいしさ」を基準に考えなくてはならないわけではありません。本来は水だけでいいのです。

 事項的においしくしようと思えばいくらでもできるのですが、毎日の家庭料理にそんなものは不要です。

家庭とプロの包丁の違い

 家庭用の万能包丁は、鯖を下すこともできますし、野菜や刺身を斬るにもこれ一本で間に合います。

 出刃包丁を使うのは、鯛のように骨の硬い魚や大物の魚を下す場合に使うのです。

 ひと昔前の家庭用の菜切り包丁は、ほとんどの場合、野菜や豆腐に使われていました。

 プロが用いる和包丁は「片刃」包丁です。「両刃」に比べて食い込む力が強く、片側にのみ抵抗がかかるので反動が内側に働きます。プロの料理人は、その反動をコントロールして切るのです。

 鯛を一尾さばくにも、「水洗い」「頭割り」「おろし」「刺身」と4本の包丁を使います。日本のご馳走はほぼ魚料理ですから、魚の種類(調理)に合った包丁があるのです。

天然のおいしさ

 料理学校に戻って1年も経つ頃、長野の小布施町で料理指導をする合間に、初夏の信州の山を気持ちよく車で走っていた時のことです。山の斜面で、何かをしているおじいさんを見つけました。

 おじさんに尋ねると、鮮やかな緑に根の方が赤く、土に埋もれたところは真っ白の山ウドをみせてくれました。親切にも土を払って「食べてみろ」と促していただいたのです。

 初めて食べて衝撃をうけました。採りたての山ウドのおいしさを知らなかったことにショックを受けたほどです。ウドは料理屋でも使っていたので知っていたつもりでしたが、まったくの別物でした。

 料理やでは「はしりもの」を尊ぶ日本人に習って、競うように作っては高く売っています。昭和の家庭料理ではまだまだ旬のものを料理して食べていました。旬のものはたくさん出回るので安価です。栄養もあり、手をかけなくとも美味しい、家庭料理はそれいいと思います。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 山ウド美味しいです。山菜うまそうだなぁ。そんなようなヨダレがでてきそうな書籍です。

 子どもの頃に食べていた、イナゴの佃煮や山菜は、しばらく食べていませんね。久しぶり食べたらどれほど美味しいのでしょう。

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