フォーリン・アフェアーズ・リポート6月号

※サイト管理人が興味をもった記事を引用します。

ロシアとの連帯という幻想

監修

オッド・アルネ・ウェスタッド
イェール大学教授(歴史・国際関係)

ロシアを支持する理由

 プーチンと習近平は、ロシアがウクライナ戦争を始める直前の共同声明で「公正な多極化構造の国際システムの構築を促進するロシア側の努力は重要だ」と述べています。

 中国が侵攻戦争を許容している理由は、中国の国益からみると利益があるからです。

 軍事問題に遭遇している状況も長引けば、ロシアをこれまで以上に中国に依存させることができます。

 ロシアとの関係を維持し、欧米諸国を非難することで、自国に有利な結果が得られることを期待しているのです。

中ロの本質的違い

 中国は共産主義国家で、ロシアは民主主義にみせかけた独裁ともとれる国家です。

 どちらの経済も政府の介入が高いが、だからといって必ずしも相性がよいわけではありません。

 系譜が管理する経済では、あらゆるものが政治的に捉えらるために、二国間関係が複雑になることが多いのです。

 ロシアと中国の文化もかなり違います。

 中国が信じているほど、容易に利益を得ることができないと北京に納得させれば、大国間の戦争が起こる可能性を低下させることができるかもしれない。

戦争をいかに終結させるか

監修

リチャード・ハース
米外交問題評議会会長

ロシア優位シナリオ

 ロシア軍がドンバス地域の支配を拡大し、クリミアへの陸橋を築くという野望を実現するというものです。

 ただ、ウクライナ政党政府が、ロシアに有利な結果を受け入れることなどあり得ません。

 ゼレンスキーは、ロシアに領土を維持することを許せば、ウクライナが主権国家であり続けるのは難しくなると考えているのかもしれない。

 ロシアがウクライナ領土を手に入れたとしても、2014年以降のドンバスにおける紛争は続くだろう。

膠着状態のシナリオ

 双方とも決定的な軍事的進展を遂げることができなければ、膠着状態の未来が訪れます。

 プーチンがこのシナリオを受け入れることは、ほぼあり得ません。

 膠着状態が続けば、間違いなく紛争は長期化します。

 ウクライナも領土を支配されるような合意を拒否するでしょう。

ウクライナの軍事的成功

 武力による現状の変更は認めないという規範を強化できる国際秩序にとっても、これは理想的な流れです。

 しかし、ウクライナがロシア軍を締め出すことに成功しても、サイバー攻撃や政治的干渉、ミサイルや砲撃に悩まされることになるでしょう。

 おいこまれたときにプーチンがエスカレーション策を、阻むものがあるかどうかがわかりません。

 ロシアの和平協定締結を制裁緩和の条件にすることもできます。ウクライナは中立でありながらもEUとの結びつきを獲得し安全保障を享受できるかもしれません。

 このような回復の目的は紛争後、あるいはプーチン政権後に対処したほうがよいでしょう。

人口減少に苦しむ中国

監修

カール・ミンズナー
米外交問題評議会、シニアフェロー(中国研究)

出産奨励策へ

 1979年に「一人っ子政策」で強制的な産児制限策が強化されました。党エリートの出世を左右する最重要アジェンダの1つとされていたのです。

 なかには不妊手術や人工妊娠中絶を強制する役人もいましたが、一般的だったのは違反者に対する厳しい罰金の適用です。

 2000年になると、中国の研究者たちは人口が与える長期的な影響を懸念するようになりました。

 それでも政治的コンセンサスが生まれたのは、2013年になってからです。2021年には3人っ子政策が導入されています。

 地方の数十の省では、「ベビーボーナス」などの金銭的なインセンティブも提供しています。

 しかし、効果はなかったのです。

 実際の出席率は急速に高齢化が進む東アジア諸国と同じ1.1人程度だと専門家は推測しています。(北京は1.3人と伝えている)

 中国の総人口の減少に転じるのは2030年以降と想定されていたが、早ければ今年中に転機が訪れるかもしれません。

より優れたアプローチ

 中国は出生率を引き上げようと、出産を一段と政治化しかねません。

 家族か計画の政治化は若者や女性が共産党に反発を覚えさせています。

 急速な高齢化の退社、定年退職の年齢引き上げ、年金制度の改革、移民制度の見直しなどの政策は放置されたままです。

 引退した党幹部や都市エリートが激怒することを恐れて、有意義なアクションを起こせない事情があります。

 2018年に年金制度改革をしたとき、毎月の支給額の10~20%削減意起こった数万人の年金受給者がデモを行いました。このようなことを恐れて問題を先送りにしなければならないと考えているのです。

 このような対応が続けば、より痛みを伴う反応を引き起こす恐れがあるでしょう。

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