書籍「日本人の真価」

※サイト管理人が興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 『文藝春秋』で、冒頭エッセイを3年分、同紙に掲載されたいくつかの論説を加えたものです。

書籍情報

タイトル

日本人の真価

著者

藤原正彦

お茶の水女子大学名誉教授。理学博士。

出版

文春新書

模倣という独創

 興味深いのは、欧米人により「模倣国家」と100年余りにわたり言われ続けてきたのは日本だけだということです。

 白人優位を覆しかねない国への反感から始まり、嫉妬へと変質しました。

 ヨーロッパ各国は、お互いに他を模倣して発展してきましたが、模倣国家とは決して言いません。影響を受けたと言います。

 独創は模倣から始まるのだから、悔しがらなくてもよいはずです。しかし、欧米文明が中東や中国などでものの模倣が始まったことがトラウマなのかもしれません。

内政干渉を

秀吉の刀狩りのような銃規制が必要なのではないか?

 アメリカでは今も平均して毎日100人以上が殺人、自殺、誤射など、銃により命を落としています。

 アメリカが関わった全ての戦争における戦死者より、ここ50年の自殺や他殺など銃による死者数の方が多いのです。

 合衆国憲法修正第二条「人民が武器を保持し携帯する権利を侵してはならない」という、西部劇時代のままの憲法が今もまかり通っています。

 中国は、空気を吐くように嘘を吐く人々であることが、時にコロナ禍における言動で広く知られてしまいました。もう誰も、言うことを信用していません。

 中国はウイグル、内モンゴル、チベット、香港と、極端な人権弾圧を続けて恥じていないように思えます。

 ユダヤ人は、世界中が見て見ぬふりをした結果、犠牲者が600万人にのぼりました。

 日本はアメリカの友好諸国と共同でアメリカに内政干渉し、銃規制をアメリカに強く求めるべきです。アメリカが銃規制を始めれば、中国の人権についてものを言うことができます。

 商人国家日本にいたっては、遺憾と懸念の意を繰り返すばかりです。ジェノサイドを見過ごし、中国制裁に関わらずに算盤をはじいていては、後世に恥を残すこととなるでしょう。

日本人の品格

 中国を日本の対抗馬として支援してきて、WHOに参加させ軍事的膨張を黙認してきたのは、アメリカです。

 その中国が世界第二位の経済大国になると、中国への経済制裁を考えているとアメリカは言うようになりました。

 米中資産の差し押さえなどの、非常手段にでることもありえます。かつて、アメリカが日本に対して行って戦争になりました。他にも、ファーウェイを5Gから外す、中国投資優遇措置の撤廃、中国の輸出企業への補助金の規制、WTOから優遇制度の廃止、などが効果がありそうです。

 また、経済主義の観念も価値観が変わります。コロナ禍で利潤を最大化することを念頭にやってきた社会が、切り捨ててきたものの大きさに気づいたはずです。身の回りにある幸せ、安心、安全などの価値が見直されるでしょう。

 日本はコロナの被害を最小限に抑え込んだことに、世界が驚いています。人口の割に異常に少ないのです。「衛生観念の高さと、国民の静かな決意が功を制している」との評価をされています。

 中国は、国の強権による国民監視体制を駆使しました。欧米は一時的な強権発動に踏み切りました。どちらもうまく行っていません。

 日本が、強権を用いず、自粛要請だけでコロナを抑え込んだというのは、民度の高さを証明する、世界史的意義のあることなのです。

おわりに

 ウクライナ侵攻でショックなのは、多くの市民が殺させてもなお、どの国も武器を送るだけで助けに行こうとしないことです。

 強力な経済制裁の継続が必要ですが、石油、天然ガス、小麦の価格が上がりインフレをもたらしています。国民苦しめることになるでしょう。この我慢比べに勝たねばなりません。

 ウクライナでは、なけなしの物をリュックにつめ子どもたちの手を握り歩く母親、押しをひきずる妻の手をとりながらポーランドを目指すおじいさん、途中で親とはぐれて泣きじゃくる男の子がいます。
 戦後、命からがらソ連軍から逃げ延びてきた私たち一家の姿に似ています。

 キエフからの避難民の中に帽子をかぶった少年がいました。「お父さんはキエフに残っている。僕たちの英雄、兵隊さんを助けて戦うんだ」少年はまぶたをこすりながら言ったのです。かたわらの母親の頬を涙がつたっていました。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 日本人が誇るべき民意と、国外との関わり方を考えさせてくれる書籍になっていました。

 規制せずともルールを守る、日本人の誠実さ、これほどまでの練度で自粛ができるのは誇ってよさそうです。

 国民が、お金だけの価値観から変わりつつあり、安全や今ある幸せに重きを置くようになると、面白い意見でした。

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