脳は何歳からでもよみがえる/著者:中冨浩文

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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

書籍情報

タイトル

脳は何歳からでもよみがえる

発刊 2024年4月6日

ISBN 978-4-86643-149-9

総ページ数 160p

著者

中冨浩文

脳神経外科医
杏林大学医学部脳神経外科教授。

医学博士、祖父、父が歯科医、母型祖父が医師の家系に生まれる。
日米通算4000例以上の執刀経験を有する脳と血管の温存・再生・再建を再現させる脳神経外科スペシャリスト。とくに、聴神経腫瘍、血管奇形、頭蓋底髄膜腫、脳動脈瘤の手術が専門。

出版

アチーブメント出版

もくじ

  • はじめに
  • 第1部 知られざる脳 もっとも守られていて、もっとも弱い臓器
    • 人生は脳に表れる
    • 脳が老けるとは?
    • 脳を鍛えるとは?
    • 脳を知る
    • 脳の老化を知る
    • 脳の老化を予防する
    • コラム 性格とは何か?
  • 第2部 脳を脅かす病を防ぐ
    • 脳卒中
    • 脳梗塞の予兆
    • 進化する脳梗塞の治療
    • 脳梗塞を予防するために
    • 脳腫瘍
  • 第3部 脳を育む 脳神経回路の活性化
    • 認知的予備力をつける
    • 脳トレになる運動
    • 聞き手とは反対の手を使う
    • 同時に2つのことをおこなう
    • 脳疲労と脳波
    • 極限状況で開発される脳
  • おわりに
  • 参考文献

紹介文

 中冨氏は、脳の可塑性に基づいた理論を展開しています。脳の可塑性とは、脳が経験に応じてその構造や機能を変える能力のことを指し、年齢に関わらず脳を「よみがえらせる」ことが可能であると説明します。本書では、具体的な科学的研究と症例研究を交えて、このプロセスがどのようにして起こるのかを解説しています。

主なテーマと洞察

  • 脳の可塑性: 年齢を超えて脳は成長し続けることができるという希望を与えるテーマです。脳を活性化させる方法として、新しいスキルを学ぶこと、健康的な食生活を心がけること、定期的な運動をすることが挙げられています。
  • 具体的な行動の提案: 日常生活で容易に取り入れられる具体的な方法を提案しており、読者に対して直接的な行動変化を促します。例えば、瞑想、パズルゲーム、言語学習などが脳の回復に有効であると述べています。

影響と適用

 本書は、特に中高年以上の読者にとって、脳の健康と維持に対する新たな視角を提供します。また、若年層にとっても、脳の健康を保つための予防策として有益な情報が満載です。教育者や心理学者、医療専門家にとっても、患者やクライアントのカウンセリングに役立つ知識として活用できるでしょう。

結論

 中冨浩文の『脳は何歳からでもよみがえる』は、科学的根拠に基づきながらも、一般読者にも理解しやすい言葉で書かれています。この本は、年齢に関係なく自身の脳を活性化させたいと考えている人々にとって、非常に価値のある読み物です。どんな年齢の人もが脳の若返りを図るための実用的なアドバイスを見つけることができるでしょう。

試し読み

脳を鍛えるとは?

 脳は厳密に守られている臓器である一方で、新陳代謝が活発に行われており、常に変化しています。その結果、脳を積極的に使うことで、特定の機能を司る脳領域の神経細胞が増える可能性があるのです。

 脳がこれまで処理してきた負荷以上のストレスがかかると、もっと神経細胞の機能を上げようとして、脳室壁から神経幹細胞が刺激を受けて、その運動野をより強固にするように神経新生が起こりえます。

 また、日々の生活習慣が脳の状態に反映されます。生活パターンは脳の発達や健康に大きな影響を与えます。私は脳神経外科医でありながら、若い頃は脳をまったく労ってきませんでした。月、水、金曜日の外来で30人を診療し、夕方からカンファレンスを終えて夜の10時を過ぎになる日々を送っていました。人間らしい情動をしない時代もあったのです。そんな人生を脳機能から見ると相当に偏っています。冷静に考えたときに、まだまだ使っていない脳のエリアがたくさんあることに気づき、危機感を覚えたのです。

 これから老化という現実が差し迫るにつれて、脳を育む重要性を実感しています。

 試験勉強をする直前に3分間のスクワットを3週間続けると試験の成績が上がるという研究結果がハーバード大学の研究で発表されています。また指は大脳的に使う部分が多いので、折り紙やお手玉は脳トレに効果が期待できます。脳を活性化して過ごす簡単なコツをつかむことは誰でもできるのです。

脳の老化を予防する

 医学の進歩により、エクソソームという微小な物質が体内を循環し、細胞間のさまざまなやり取りを仲介していることが明らかになりました。人体の細胞同士がメッセージを交換し、このネットワークが乱れると病気になりやすいとされています。

 アルツハイマー型認知症のリスクを高める生活習慣には、高血糖、喫煙、飲酒、食生活の乱れ、睡眠不足、運動不足があります。これらは脳血管性認知症のリスクにもつながるため、注意が必要です。

高血糖

 空腹時血糖値が126mg/dL以上で糖尿病と診断されることがありますが、100mg/dL以下を目指すことが望ましいです。

喫煙

 50~60歳での喫煙習慣は、20年後の認知症発症と関連があります。喫煙は脳の萎縮を5~10年早めると言われています。

飲酒

 適度な飲酒ではなく、飲酒習慣をやめることで健康効果が期待できます。

食生活の乱れ

 ポリフェノールや不飽和脂肪酸の摂取、カロリー制限が認知機能の維持に有効です。青魚やナッツは動脈硬化や認知症予防に効果的です。

睡眠不足

 睡眠時間は7時間が必要とされています。睡眠は脳の新陳代謝に不可欠で、疲労物質の除去にも関連します。

 睡眠中にアストロサイトの体積が縮小して脳脊髄を循環させる空間が広がります。その空間が広がっている間に老廃物が効率的に除去されるため、睡眠不足は脳機能的彼の原因になると言われています。

運動不足

 高齢者は、脳を若く保つために定期的な運動が推奨されています。1日30分の散歩でも効果があります。

検査

 現在の脳の状態を把握するため、65歳以上の方は一度は脳ドックを受けることを推奨します。PET検査により脳内の老廃物の蓄積や、血管のリスクが評価されます。

脳梗塞を予防するために

 長い間高血圧が続くと、血管壁に負担がかかり、弾性板の表面に亀裂が入ります。これを緊急事態と捉えた平滑筋細胞が動き出し、弾性板を補強します。その結果、血管が次第に硬くなり、弾力性を失う現象を動脈硬化といいます。

 脳の微細な損傷を防ぎ、再動脈硬化を予防することが脳出血の予防には最も重要です。そのためには、高血圧を予防することが必要です。

 高血圧かどうかを知るためには、朝と夜の決められた時間に毎日2回、血圧を計測することが推奨されています。週に2回以上計測することで傾向が把握できますので、まずは記録を始めることが重要です。

 血圧は摂取した血液依存性であり、体内のナトリウムや塩分を多く摂ると血液量が増え、血圧が上昇します。高血圧を予防するには、塩分の摂取を控えることが基本です。特にうどん、そば、ラーメンなどの麺類はスープに塩分が多く含まれているため、摂取は控えましょう。

脳波

 好きな音楽、クラシック、ヒーリング音楽、自然音が脳波を変化させることは確かです。リラックス状態ではアルファ波が現れます。イライラしているときは扁桃体、妬みは大脳帯状回というように感情を生み出す部分は特定されています。

 それぞれ脳波の状態で持ち得る感情との相関をみたところ、脳波には連続性があって、混乱や恐怖に苛まれていた人が、突然落ち着いた穏やかな気持ちになることはありません。恐怖状態でガンマ波を示す人が突然アルファ波やシータ波に移行することはありません。恐怖を鎮めてある程度不安の状態(ベータ波)にならないと、気づきの段階(アルファ波)にはいきません。脳波は必ず連続して変化します。

 ストレスでカッとなるときは、一時的に血流が集まっているときです。増えすぎた脳血流量を下げるのにいちばんよいのは、呼吸を変えることです。脳血流は脳血管内の二酸化炭素量でコントロールされているからです。

 ただし、数秒では効果がなく、少なくとも1分間呼吸リズムを整えることで直接的に血中の二酸化炭素濃度が変化します。負の感情エリアの活性化は、呼吸によって感情をある程度コントロールできることができるのです。

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