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目次
書籍情報
カスハラの正体
完全版となりのクレーマー
関根眞一
西武百貨店の各店舗で、お客様相談室を担当した。難解な苦情・こじれた苦情・クレーマー対応を得意とする。2005年にメデュケーション(株)を立ち上げ、クレーム処理の現役として活躍している。
中央公論新社
- はじめに
- 第一章 お客様相談室の事件簿
- 第一話 婚約指輪
- 異様な光景
- 再び事件勃発
- 苛立ちの原因
- 褒めることの効用
- 第二話 六〇日の攻防・・・・・・そして
- 水コンロ事件
- 「それは詐欺だろう」
- 手作りの部屋
- 七四万円?
- 半値買いを正価で引き取らせていた!
- 「会社の誠意を見せろ」
- 修羅場/怪しげな人物の登場
- 第三話 ヤクザとの対決
- 宝飾売り場の怒声
- 傷だらけの顔
- 勝負の分かれ目
- 露骨なカネ目当て
- 係長の機転
- 異常な反応の理由
- 第四話 書籍売り場のカスハラ退治
- カスハラの王様
- 悪質な手口
- いよいよ直接対決
- 証拠はあるのか
- 第五話 軟禁事件
- 「未定」騒動
- ひとまずの終息
- クレーマーの再登場
- 「ふざけんな!」
- 自宅での対決、第一幕
- 静行話法
- 別のネタがあった! 攻防戦は演技戦
- 「懐に飛び込む」方法
- ふところ
- 第六話 クレーム解決の場「天将」 二題 酒飲みと美女
- 地元ならではの解決法
- 対応方法が分からない
- 意外なアイディア
- 沈んだ顔の美女
- 美味しいお店をご存じですか
- 第七話 賞味期限
- クレーマーにあらず?
- 購入したのは別の客だった
- 保健所登場
- 改善指導
- ゆすり特有の会話
- 最後の攻防
- 第八話 靴下問答
- 営業マンふう
- 愉快犯タイプ
- 大きな声をこちらも出す
- 「かたり」を逃がすな
- 第九話 鳶職の婿
- 突然の呼び出し
- 二台目の携帯電話
- がんばれ、婿殿
- 第一〇話 被害額は二円?
- 返金不足事件
- 怒鳴り声にスタッフが逃げ出した
- 暖簾に腕押し
- 二円にも命がある
- 第一一話 名人クレーマーとの三本勝負
- 突然の電話
- 俺の前で教育をしろ
- 往復の料金を支払え
- 二戦目、 試供品
- 三戦目、紳士服
- 第一話 婚約指輪
- 第二章 苦情・クレーム対応アドバイザーがゆく
- 第一話 令和のカスハラ二題(食品店、飲食店)
- 常連客と持ち帰り袋
- 新紙幣で払えるか?
- 第二話 メール対応から火がついた(開業歯科)
- 字は口ほどにものを言う?
- お粗末な返信
- 対面での決着
- メールこそ、細心の注意を払って
- 補足:違法か?
- 第三話 遺体は、痛いか? (葬儀社)
- 最悪のハプニング
- 火葬代はいくらか
- 四十九日の冷却期間
- 第四話 最高級の苦情 (ホテル)
- 意外な講演依頼
- お詫びの気持ちを示せ
- 苦情はどこにでもある
- 第五話 キャリーケース破損の真実 (鞄販売店)
- 不思議な破損
- エスカレーターで挟まれた?
- 証拠を揃えて交渉へ「法的手段」という言葉を待っていた
- 第一話 令和のカスハラ二題(食品店、飲食店)
- 第三章 クレーム対応の技法
- 【基本的対応】
- 1.非があれば、真摯な態度で謝罪をする。
- 2.お客様の申し出は、感情を抑え素直に聞く。
- 3.会話は正確にメモを取る、録音する。
- 4.説明は、慌てず冷静に考えてする。
- 5.現場、現物を見ることができるなら、見てから対応する。
- 6.対応は迅速に行うことがベストだが、遅らせた方がよいものもある。
- 7.一般の苦情客を、クレーマーに仕立てない。
- 8.理由なきカスハラと確信したら、「毅然さ」を持ち抗戦もやむなし。
- 9.文書による知らせは文書で返す。ただし、記録が残るので、慎重に。
- 10.疑わしい苦情も増えている、警戒心をもって臨め。
- 11.苦情対応は平等に。
- 「誠意ある対応」とはどういう態度か
- 謝れなかった失敗例
- 謝り方にもコツがある
- 「苦情震度」を記録する
- 心理的変化の察知
- 苦情でない苦情
- 「負の勲章」のありがたさ
- 【基本的対応】
- カスハラの正体
- あとがき
書籍紹介
現代社会で注目されるカスタマーハラスメント(カスハラ)に焦点を当てた一冊です。著者の関根さんは、百貨店で34年間勤務し、お客様相談室で1,300件以上の苦情やクレームに対応してきたプロフェッショナルです。現在は苦情・クレーム対応アドバイザーとして活躍しており、その豊富な経験をもとに、カスハラの実態と対処法をわかりやすく解説しています。
この本は、シリーズ累計30万部を突破したベストセラー『となりのクレーマー』の完全版として、令和の時代に急増するカスハラ問題に新たな視点で切り込んでいます。関根さんが実際に遭遇した事例を基に、理不尽な要求や無理難題を突きつける顧客との攻防が、まるで手に汗握る人間ドラマのように描かれています。たとえば、婚約指輪をめぐるトラブルや、ヤクザとの対決、書籍売り場でのセクハラまがいのクレームなど、具体的なエピソードを通じて、カスハラの背景にある心理や動機が浮き彫りにされます。これらの話は、時にユーモラスで、時に深刻ですが、どれも読み手を引き込む魅力があります。
本書の大きな特徴は、単なる問題の指摘にとどまらず、どのように対応すればカスハラを解決に導けるのか、具体的な技法を伝授している点です。関根さんは、相手の心理を読み解き、冷静かつ戦略的に対応することの重要性を強調します。たとえば、真摯な謝罪の姿勢や、会話の正確な記録、感情を抑えて傾聴する態度など、実践的なアドバイスが豊富に盛り込まれています。これらは、接客業やカスタマーサポートに従事する人だけでなく、日常で難しい人間関係に直面するすべての人にとって役立つ知恵と言えるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
割引クレーマー

矢継ぎ早に要求が出てくるホテル客のクレーマーに対して、スタッフは支配人と相談し、支配人が直接謝罪に出向くと、よくしていただいたというような言葉を残して収まるというケースがあります。
そのゲストの宿泊履歴を調べてみると、客室の掃除婦量を理由に宿泊料金の1割引きを受け入れるなどの記録がありました。スタッフには些細な要求を次々出して、支配人には小さな要求をすることを控えるタイプであり、謝罪に対して金品を要求するタイプのクレーマーであることが判明していれば、対応方法が他にあったと、悔しい思いをすることがあります。
お客に「カスハラ」の準備があったとしても、「現場での社員教育の欠如」という偏見に変わります。ホテルのイメージも落ちてしまうでしょう。