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目次
書籍情報
ヴィジュアル版
現代の地上戦大全
中東、ウクライナの前線から戦術、将来戦まで

リー・ネヴィル
著述家。軍の部隊や特殊作戦部隊、それらの武器や車両について書籍を多数執筆。
原書房
- 序章 現在と将来の地上戦
- 第1章 主力戦車
- 第2章 装甲戦闘車輌
- 第3章 地上防空と近接空港支援
- 第4章 関節射撃
- 第5章 無人プラットフォームと電子線
- 第6章 歩兵
- 第7章 特殊作戦部隊
- 第8章 将来の戦争
書籍紹介
この書籍の最大の特徴は、21世紀の地上戦を豊富な図版とともに詳細に解説している点です。アフガニスタンやイラク戦争、そしてウクライナ戦争といった近年の主要な紛争を振り返り、それぞれの戦場で用いられた戦術や兵器の進化を丁寧に分析しています。例えば、中東の砂漠地帯での戦闘と、ウクライナの都市部や平原での戦闘では、戦略や装備がどのように異なるのか、具体的な事例を通じて明らかにされます。これらの解説は、単なる事実の羅列ではなく、戦場ごとの環境や政治的背景を踏まえた深い洞察に裏打ちされています。
最新の軍事技術、例えばドローンや人工知能、サイバー戦の活用が、将来の地上戦をどのように変えるのか、具体的なシナリオを交えて考察されています。この部分は、テクノロジーの進化が戦争の形をどう変えるのかに興味がある読者にとって、特に刺激的な内容です。図版も豊富で、戦車や兵器、戦場の地図などが視覚的に分かりやすく提示されており、文字情報だけではイメージしにくい戦闘の様子をより身近に感じられます。
軍事マニアはもちろん、歴史や国際情勢に興味がある人、さらにはテクノロジーと社会の関わりを考える人にとっても、興味深い視点を提供してくれます。原題「Boots on the Ground」からも分かるように、兵士たちの視点や地上戦のリアリティに焦点を当てた叙述は、戦争の厳しさと複雑さをリアルに伝わるでしょう。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
将来の戦争 電子戦

電子戦はすでに諸兵科連合混成部隊の中核的部分です。ドローンを電波妨害したり墜落させたりできたり、敵の地上部隊にGPS航法を利用できなくできたりします。
SIGINTの情報収集に関する規律も重要性も増すでしょう。ロシア軍の拠点を特定するのに役立ちます。場所さえわかれば、無人機で確認して、火砲や長距離ミサイルで交戦すればいいのです。
実際に携帯電話は電源を切っていても傍受されています。アイフォンにロックオンする攻撃型ドローンなども実装できるでしょう。追尾できる電波信号を発するあらゆる私物電子機器を全面禁止するしかないです。また、プロパガンダあるいはもっと危険なものが兵士の電子機器に直接送信されてくることも予想されます。
しかし、ミリー大将が残したように、戦争の性格は変われども、本質は変わりません。インターネットを検索すれば、ロシア軍の塹壕を掃討するウクライナ軍歩兵の生々しい映像がでてきます。第一次世界大戦のソンムの戦いの鏡像といってもおかしくありません。1916年に対戦車ライフルと地雷で始まった兵器開発競争に似ています。本質は何も変わっていないのです。
SIGINTとは
Signals Intelligenceの略で、通信や電波、その他の信号を傍受・分析する諜報活動のことです。