RPGのつくりから/著者:さやわか

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書籍情報

タイトル

RPGのつくりかた

橋野桂と『メタファー:リファンタジオ』

発刊 2025年2月5日

ISBN 978-4-480-81861-4

総ページ数 537p

書評サイト 好書好日BookBang読売

出版社リンク 筑摩書房

協力者

橋野桂

ゲームクリエイター。
アトラス社に入社し、『真・女神転生』シリーズや『ペルソナ』シリーズのディレクターを担当した。
「スタジオ・ゼロ」を立ち上げ、『メタファー:リファンタジオ』を製作するなど、RPGの世界を牽引しつづける。

著者

さやわか

出版

筑摩書房

もくじ

  • 第1章 世界の設定はじまり
    • 「「世界が変わるかもしれない」というイメージ、幻想をもってほしい」
  • 第2章 シナリオの作成 橋野桂とアトラス
    • 「「おもしろくなきゃ、しょうがないよね」という、クリエイティブに対する気質は、あまり変わってないかな」
  • 証言1 副島成記(キャラクターデザイン)
    • 「キャラクターを、キャラクターとして愛してほしい」
  • 第3章 スタッフの合流ディレクションの技法
    • 「これがRPGの設計図そのものですね」
  • 第4章 試作 ―物語をシステムに落とし込む
    • 「ベタな王道の物語に、自然となったんですよ」
  • 証言 田中裕一郎 (シナリオ)
    • 「もう直せないくらいまでつくりおえてこそ、本当に直すべき箇所が見えたりするものです」
  • 第5章 データの作成 なぜ、削らなければいけないのか 37
    • 「全部が一貫している気がすると、うれしくなるじゃないですか」
  • 第6章 データの量産こだわりの筋を通した、集大成
    • 「結局は筋が通るかどうか」
  • 証言3 後藤健一(バトル)
    • 「理想は、プレイヤーが「死ぬかも」と思ってて、殺されないのが一番なんですよ」
  • 第7章 ゲームをつなぐ「おもしろさ」を実装する
    • 「プレイヤーが次々にそのゲームの中でやりたいことをひらめいていって「ああ、やりたいことがたくさんある。大変だ!」みたいな気持ちになる」
  • 第8章 データの調整―通し、とんち、一貫性
    • 「「諦める」か「作業する」か。その二択の「あいだ」をどう捻り出せるか」
  • 証言4 木戸梓(日常)
    • 「『ペルソナ』シリーズで愛されてきた部分に、正面から向き合う」
  • 第9章 仕上げ ―正式タイトルは「メタファー』
    • 「いまが、一番クオリティが上がる時期ですから」
  • 証言 伊勢幸治(UI)
    • 「「気持ちよくする」という部分が、うまくできたかなという実感があります」
  • 第10章 発売に向けてJRPG3・0を目指して
    • 「時代感覚に合わせたJRPGのつくりかたを模索してみたい」
  • エピローグ

書籍紹介

 この本は、JRPGの金字塔を打ち立ててきたアトラスのゲームクリエイター、橋野桂さんが手がけた最新作『メタファー:リファンタジオ』の開発過程を、7年にわたる綿密な取材を通じて描き出したノンフィクションです。ゲーム制作の裏側に迫るだけでなく、ものづくりの本質やクリエイティブな挑戦の意義を浮き彫りにする、読み応えのある作品に仕上がっています。

 この本は、JRPGの金字塔を打ち立ててきたアトラスのゲームクリエイター、橋野桂さんが手がけた最新作『メタファー:リファンタジオ』の開発過程を、7年にわたる綿密な取材を通じて描き出したノンフィクションです。ゲーム制作の裏側に迫るだけでなく、ものづくりの本質やクリエイティブな挑戦の意義を浮き彫りにする、読み応えのある作品に仕上がっています。

 『メタファー:リファンタジオ』は、『ペルソナ』や『真・女神転生』シリーズで知られるアトラスが贈るファンタジーRPGで、2024年10月に発売され、国内外で高い評価を受けました。メタスコア94点や「The Game Awards 2024」での3部門受賞など、その完成度が話題となりました。本書はこのゲームがどのようにして生まれたのかを、橋野さんのビジョンやスタッフの証言、貴重な資料とともに明らかにします。特に、ファンタジー世界に「選挙」という現代的なテーマを織り交ぜた斬新なアイデアや、コロナ禍でのテレワーク移行といった開発の苦労が、臨場感たっぷりに描かれています。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

シナリオを作り込む

 橋野さんは、コンセプト・ワークにかなり時間を割きます。コンパクトな開発規模だと、コンセプト設計に時間をかけるのはあまり好かれませんし、珍しいことです。特に『ペルソナ5』に至っては方向性が難産だったこともあり、新規タイトル並みの時間を費やしました。

 作品全体に統一感を出すために時間をかけることは必要だと実感しており、コンセプトが弱いままはじめてしまうと内容がちぐはぐになりやすく、矛盾を回収していく作業に結局時間がかかりがちです。

 難産だった理由は、ファンタジー作品の制作数が少なく、ノウハウが不足していたからです。今までの現代劇であれば、お金の単位は円でいいし、街も実在の場所をベースにできます。作中世界を描くことにそこまで苦労はありません。しかし、ファンタジーはすべてが架空なので、お金の単位はもちろん、コインや紙幣のかたち、窓にはまっているガラスはガラスでいいのか、動物は、この世界の慣用句はと、設定しなければならないことが膨大にあります。

 個人の目分量や感覚でやるわけにはいかず、開発するうえで設定のすり合わせが必要になります。それらの要素を捌く難しさが、シナリオに関わらず散らばっていました。

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