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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
目次
書籍情報
スタジオジブリ物語
第1刷 2023年6月21日
編者 鈴木敏夫
発行者 樋口尚也
発行 (株)集英社
ブックデザイン
装幀 遠藤敬志(スタジオジブリ)
組版 MOTHER
印刷 凸版印刷(株)
製本 加藤製本(株)
ISBN 978-4-08-721268-6
総ページ数 536p
集英社新書
『となりのトトロ』と『火垂るの墓』
『となりのトトロ』の企画は、スタジオジブリの親会社である徳間書店が難色を示していました。映画ではなくビデオ企画ならばOKをだしてもよい、という提案だったようですが、鈴木はあくまで映画化にこだわったのです。
別の作品との2本立て興行であれば、徳間書店幹部を説得できるのではないかというアイデアで、同時上映策として鈴木が提案したのが、野坂昭如の小説『火垂るの墓』のアニメ化でした。
プロデューサーの説得もすんなりと終わり、『となりのトトロ』と『火垂るの墓』は、60分程度の中編による2本立て企画として、まとめ直されたのです。
徳間書店からは『墓』とは何だとのことで良好な回答を得られなかったが、『火垂るの墓』の版元である新潮社がこの企画に大きな関心を寄せたことで、徳間側が提案を前向きに受け止め始めました。
しかし、今度は配給サイドで東映が「社風に合わない」ということで、お断りを入れてきました。徳間社長が直談判し、1988年4月の公開を取り付けたといいます。
未曾有の対策『もののけ姫』
Image by K. Mishina from Pixabay
宮崎が屋久島へロケハンへ行くのは2度目、『もののけ姫』で再度訪れて自然を描くことに決めました。
『もののけ姫』の世界観の根底には、栽培植物学者の中尾佐助が提唱していた照葉樹林文化論があります。シイ、カシ、クスといった常用広葉樹帯ではよく似た文化が生まれているという学説です。それを体感するのも1つの狙いでした。
物語後半でサンとイノシシの乙事主が走り抜ける森は、屋久島の白谷雲水峡を参考に描かれています。
照葉樹林に代表される自然と文明が重要なテーマとなるめ、美術に力がそそがれることになったのです。そのため美術監督5人というこれまでにない体制がとられました。
これまでの作品収支の数字をみて、かけた宣伝費に対して、興行成績が比例しているんじゃないかと考えました。鈴木は取材、イベントの効果、パブリシティの露出量、広告効果が期待できるものに広告費を積み上げていって60億円まで到達させることを目標にしました。宣伝費=配給収入という考えのもと、未曾有の宣伝戦略を展開することになったのです。
『千と千尋の神隠し』
UnsplashのMingwei Limが撮影した写真
宮崎はカオナシを中盤以降の重要キャラとし、優しくしてくれた千尋を慕い湯屋に入り込み、やがては欲望のままに暴走する役割を担わせました。映画の内容は、千尋と湯婆婆の関係、銭婆、カオナシ、これなら2時間で納まると、ストーリーが完成しました。
この作品で、ジブリ初の試みとなったのがコンビニエンスストアとのタイアップです。ローソンの全国7500の店舗、インターネットと、iモードなどでのキャンペーンを通じて『千尋』を強く告知し、映画の宣伝を行いました。
『もののけ姫』が約1年間で積み上げた興行成績を、わずか56日で突破し、11月11日までの約4か月間で興行収入262億円、観客動員数2023万人をカウントしました。『タイタニック』を抜いて、日本映画史上最大のヒット作となったのです。そして1年以上のロングランヒットとなりました。
『借りぐらしのアリエッティ』
Image by Mirko Toller from Pixabay
この作品に出てくる小人たちは、小さいというだけで、魔法や特別な能力を持っているわけではありません。人間から隠れてひっそりと生きており、必要なものはちょっとずつ人間から”借りて”きて知恵と工夫で暮らしている人たちです。
身の丈に合った生活ぶりは大量消費に対する批判も織り込まれているように見受けられます。生きるのが困難な時代になるときこそ、そこの作品が一層受け入れられると考えて、この企画を提案したようです。
『アリエッティ』では、「どうせ作るなら、一番大きいやつを作ってやろう」ということで、10.5×1.8メートルの巨大バナーを製作しました。それだけではなく、従来の新聞広告などのアナログなものに加え、インターネットに全情報の半分をデジタルにする方針を提唱しました。単館系の映画館では、金曜日に広告を打てば土曜日の数字が上がるというデータも出ていたのです。
また、展示会の作品の宣伝に貢献しています。映画の開催に合わせて東京都現代美術館で「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」が開かれました。小人の住む世界をセットとして再現したこの展覧会には、通常の倍の予算がかかることとなり、共同主催者である日本テレビの賛同をなかなか得ることができませんでした。プレゼンを館長に対してセッティングして、展覧会の実現を獲得しました。展覧会がニュースで放映されると、展覧会と映画の相乗効果により、作品をさらに認知を拡大していったのです。
感想
サイト管理人
トトロは金曜ロードショーなどで死ぬほど観覧していますし、もののけ姫は腕に呪いのようなものをうけて、暴走すると信じられないような力を発揮するというジャンプの設定のような厨二心をくすぐりますし、千と千尋は自然保護が関係しないような印象にビックリしましたし、アリエッティは男の子の手術の結果はどうだったのかエンディングのその後が気になった、印象に残っているジブリ作品です。
なかなか棒読みなので、没入しにくい作品が多い印象もあります。食べ物がやたら旨そうという印象もあります。
そんな印象深いジブリ作品の製作話が細かく書かれているので、ファンでなくても楽しめるような1冊となっています。
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