日本史を暴く

※読んだ本の一部を紹介します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 表の歴史はきれいごとばかりで出来ています。しかし、歴史に闇は多く裏があるのです。新しい史料で、その裏が少しばかり暴けるものもあります。

 毎日、私は古文書のホコリと戦いながら、アナログな方法で1つずつ情報を集めました。読み解いていくには多くの労力を使います。

 日本史のある面を暴いていったものが、新知見として得ていただければ、これ以上にうれしいことはありません。

書籍情報

タイトル

日本史を暴く

発行者 安倍順一

発行 中央公論新社

初版 2022年11月25日

再版 2022年12月10日

著者

磯田道史

国際日本文化研究センター教授。史学博士。

出版

中公新書

光秀登場の黒幕

作者: トムセン少佐

 明智光秀は能力の高さでいえばモンスターです。歴史を変えてしまったのは、他ならぬ細川藤孝でしょう。

 藤孝は足利13代将軍義輝の側近でした。戦国争乱で領地と主君を失い、流浪の身となったのです。戦国最高の頭脳と言われるだけあり、義輝の弟である義昭の救出して失地回復をはかりました。

 織田信長に出兵して京都を奪還し、自分の領地も回復しようと作戦を考えたのです。

 そして、藤孝が見出したのが「明智光秀」ということになります。

 光秀は、家族まるごと容姿がいいのです。「ヨーロッパの貴族ようだ」と書かれるほどで、周囲に漂わせる風格もありました。そのうえ、人を信用されるのに長けており、これほど外交向きの人物は他にいません。

 友人から「人を欺きための方法を会得し、学習していた」と吹聴されるほどで、秀光には野心があったのでないでしょうか。

 後に、秀光が手柄をたてていくと、秀光と藤孝の立場は逆転しました。

 そして、秀光の娘を藤孝たち細川家の妻に迎え入れようとして縁組をして、「本能寺の変」で細川家は窮地に立たされます。

江戸期のグルメ旅行

pixel1によるPixabayからの画像

 江戸期は各地に「名物」が出来ました。特に1750年頃から江戸庶民の物見遊山の旅行が盛んになります。庶民の食欲と性欲を満たす俗っぽい旅がありました。

 大和高田の薬種商・喜右衛門の「関東一見道中記」は、旅中の性風俗「女郎買い」を正直に記した珍しい道中記です。この道中記には各地で食べた食べ物の感想も載っています。これを読めば、各地の「名物」がうまいのか、わかりそうです。

 熊野イワシを菜にして飯を喰い、イワシぬたを肴にして1盃。うまいうまい。

奈良・三重県境の高見峠の茶屋で

 富田村で焼きハマグリで1盃。うまい、うまい、ただし1つ2文(100円)。30ばかり喰い。

三重県四日市をでたあたりの富田村で

 口に合わない物もあったようで、

 名物うどん。味悪い、悪い。

愛知県津島市牛頭天王社で

 現代人はネットの星評価をみながら、うまい店を検索できます。未来の歴史家はこれを参考に食を研究できるが、うらやましく思えます。

薩長密談の茶室を救う

※イメージ KanenoriによるPixabayからの画像

 いま、京都では猛烈な勢いで、伝統家屋が失われています。外国人観光客向けのゲストハウスのビルに変わっていることもあるのです。

 京都は幕末維新の舞台になります。

 大久保利通が西郷隆盛、岩倉具視との密談に使った茶室「有待庵」が解体されると連絡がありました。この茶室は「薩長連合の密談の際に用いられたもの」と、大久保利通の三男、利武がはっきり証言しているものです。

 この茶室は文化財に指定されていません。制度的には150年前のただの茶室です。

 知らせを受け、市長室に駆け込み、「有待庵」の歴史的価値を説きました。門川市長はすぐに理解をし、異例中の異例で文化財なっていない建造物を保護することになったのです。これは、多くの研究者や歴史ファンが声をあげてくれたことで実現できました。

 私有地に移築し、将来的には一般公開する方針だといいます。

 今後も危機は続き、文化財や自然景観の保護をする制度作りに取り組まなければ、すぐに日本は殺風景な国になるでしょう。

感染楽観で繰り返した悲劇

UnsplashCDCが撮影した写真

 100年前のスペイン風邪(インフルエンザ)とき、米国のサンフランシスコや、セントルイスは集会制限解除を焦り、たちまち感染第二波が生じてしまいました。

 1920年1月、日本ではスペイン風邪の第3波の兆候があったのです。そのときの外務大臣だった内田康哉が行ったオーストラリアへの返答が今も残されています。

 流行最初は、死者数も少なく政府も楽観視していたのでしょう。「十分に警戒しましょう」というスタンスを取っていました。しかし、17日間で日本の感染状況は一変し、オーストラリアに訂正の公電を入れなければならなくなったのです。

 希望的観測にしがみつき、本当に状況がひどくなるまで抜本対策をためらいやすい傾向にあります。古今東西、万国共通です。

 感染の初期消火が遅れ悲劇が繰り返されてきた歴史を、頭にいれておくべきではないでしょうか。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 今はウイルスの遺伝子を解析して、有効なワクチンをすぐに開発できる技術があります。ワクチンを毛嫌い打たない方もおられるようですが、発病してからの閑散や重症化の確率をグッと低くできるので、せっかく無償という好待遇制度があるのだから活かしていただけないでしょうか。

 明智光秀は戦国時代だと、いわゆるイケメンだったようです。昔は今と美形の観念が違うものだなと思いました。慕われてそうにみえる人相にはとても見えないです。

 信長に関するものだったり、幕末に関するものだったり、史実を拾った考察を面白く拝見させていただきました。

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