長久保赤水と伊能忠敬の二度咲き人生/著者:岡村青

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書籍情報

タイトル

長久保赤水と伊能忠敬の二度咲き人生

日本地図づくりに賭けた二人の男

発刊 2025年6月10日

ISBN 978-4-7634-1124-2

総ページ数 157p

出版社リンク 共栄書房

著者

岡村青

週刊誌、月刊誌等のフリー記者を経てノンフィクションライター。

出版

共栄書房

もくじ

  • はじめに
  • 第1章 夢は末広がりに
    • 〈赤・忠〉時代を越えて共通する二人
    • 〈赤・忠〉二人が地図作成に乗り出すまで
    • 〈赤・忠〉海に向かって腕組みする二人の男
    • 〈赤〉人生のめざめは知的好奇心から
    • 〈赤〉毅然とした継母に心打たれ
    • 〈赤〉円満家庭にめぐまれて
    • 〈忠〉彼はどこで何を・・・・・・謎めく空白
    • 〈忠〉一気に日当たりのよい場所に30
  • 第二章 身分制度の呪縛をこじ開けた二人
    • 〈赤〉制度の縛りもこころは自由
    • 〈赤〉玄淳塾の仲間たち
    • 〈赤〉 江戸時代の学問事情
    • 〈赤〉 名越南渓への入門
  • 第三章 助走から跳躍へ
    • 〈赤〉転機の準備は三〇代から
    • 〈赤〉迷い道が赤水図の原点?
    • 〈赤〉官製主流の当時の地図
    • 〈赤〉禍福はあざなえる縄の如し
    • 〈赤〉改名で学者にステージアップ
    • 〈赤〉将軍吉宗の文教政策
    • 〈赤〉国絵図に相まみえた赤水さん
    • 〈赤〉妻もたまげた赤水原図
    • 〈忠〉三〇代の忠敬さんは……?
    • 〈忠〉辣腕ビジネスマンとして不惑突入
    • 〈忠〉養父に見た義侠心、今こそ発揮
    • 〈忠〉隠居と新たな船出
  • 第四章 人生を二倍楽しんだ二人の男
    • 〈赤・忠〉たのみはやっぱり女性だったお二人
    • 〈赤・忠〉持つべきは良き悪妻
    • 〈赤〉地図も、人生も、描けば面白い
    • 〈赤〉西国の学者も唸る赤水原図
    • 〈赤〉西国は人材文物の宝庫
  • 第五章 二人の天命
    • 〈赤〉 赤木さん、地図で一段と若返る
    • 〈赤〉人生の第二ステージを学者として切り開く
    • 〈赤〉赤水図に注文殺到大好評
    • 〈赤〉使う人の立場でつくられた民間の地図
    • 〈忠〉伊能家の騒動
    • 〈忠〉再び文教重視の世の中に
    • 〈忠〉へっこむための隠居じゃない
  • 第六章 晩年に引きも切らない大仕事
    • 〈赤〉人生がぶり寄り
    • 〈赤〉異国の地図まで作ってしまう
    • 〈赤〉すっかりヒットメーカー
    • 〈赤〉人気作家も人知れぬ努力
    • 〈赤〉謹厳実直のひと
    • 〈忠〉五十男が抱く青雲の志
    • 〈忠〉執着て脳内活性化
    • 〈忠〉難航した事前交渉
    • 〈忠〉幕府直轄事業に格上げ
    • 〈忠〉二度咲き人生の集大成としての伊能図
  • 第七章 生き方まっつぐ
    • 〈赤〉長寿の秘訣は菊漬け?
    • 〈赤〉死ぬ覚悟が生き方を決める
    • 〈赤〉さらに赤水図はバーションアップ
    • 〈赤〉 みごとな人生二度咲き
    • 〈赤・忠〉忠敬さんも、吉田松陰も愛用した赤木図
  • おわりに
    • どこまでも真っつぐ
    • 知的好奇心は突破力
    • 人生二度咲きの秘訣はリタイア後にあり

書籍紹介

 この本は、日本の地図作りの歴史に情熱を注いだ二人の人物の物語を丁寧に描き出しています。この本は、単なる歴史書や伝記にとどまらず、未知の領域に挑んだ人間の執念と努力、そしてその背景にある時代や文化を生き生きと伝える作品です。岡村青さんの筆致は、緻密でありながらも温かみがあり、読者を江戸時代の日本へと引き込んでいきます。

 伊能忠敬は、50歳を過ぎてから日本全国を歩き、正確な日本地図を完成させたことで知られています。彼の人生は、決して地図作りだけに捧げられたものではありませんでした。商人としての前半生、家族との関わり、そして新たな挑戦への決意。そうした背景が、岡村さんの手によって丁寧に描かれ、彼の人間らしい一面が浮かび上がります。

 長久保赤水は、伊能よりも早く、独自の視点で日本地図を制作した地理学者です。彼の地図は、当時としては驚異的な精度を誇り、後の地図作りにも影響を与えました。しかし、その名は伊能ほど広く知られていません。本書では、長久保の功績が再評価され、彼の情熱と苦労が伊能と対比されながら描かれています。

 この二人が生きた江戸時代は、地図作り自体が壮大な冒険でした。現代のような測量機器や技術は存在せず、足で歩き、目で確かめ、手で描くことが基本でした。山や川、村や町を一つ一つ記録していく作業は、想像を絶する労力を要しました。岡村さんは、そうした過酷な状況を詳細に描写しつつ、二人がなぜその道を選んだのか、どんな思いで地図に向き合ったのかを掘り下げます。そこには、単なる地図作り以上の、祖国を知り、未来に残したいという強い意志が感じられます。

 彼らの成功も失敗も、喜びも葛藤も、読者にとって身近なものとして響くのです。また、地図作りを通じて見えてくる当時の日本の姿も興味深い点です。江戸時代の交通網や地域の特色、さらには人々の暮らしが、地図というレンズを通して鮮やかに浮かび上がります。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

赤水図

 1791年(寛政3年)、『改正日本輿地路程全図』初版から11年後、読者の要望を裏切らない仕上がりとなって増補改訂された第二版「赤水図」が出版されました。

 浅間山や阿蘇山が火山であることがわかるようなイラストに、日光には華厳の滝などが図示されています。北海道から九州まで網羅され、折り畳み式で持ち運びに便利です。 赤水図を持てば、日本列島をはしからはしまでめぐり歩くことも可能になりました。

 「赤水図」はエンタメ系。さまざまな測量機器を用いて科学的、実測的に計測した「伊能図」はアカデミック系です。忠敬さんも全国測量の必携書として赤水図を愛用していました。

 赤水図は初版発行から明治時代にいたるまで90年間ほどロングセラーとなっています。赤水図はだれもが購入できる市販本で、海外にまで渡り研究されていたようです。

 一方、精密すぎる伊能図は国家機密のマル秘文書になりました。この点でも赤水図とは違います。赤水図の値段はカラー版からお手頃版までバリエーションが豊かで、25万円~1000円と、欲しいは買える値段設定がされていました。

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