なぜ看板のない店に人が集まるのか/著者:田中森士

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書籍情報

タイトル

なぜ看板のない店に人が集まるのか

スモールビジネスという生存戦略

発刊 2025年4月10日

ISBN 978-4-396-11712-2

総ページ数 218p

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出版社リンク 祥伝社

著者

株式会社クマベイス代表取締役
アジアスモールビジネス連盟 日本 代表
コンテンツマーケティングコンサルタント
産経新聞の記者と経て、2015年にクマベイスを創業。海外カンファレンスへの参加や、セミナーやワークショップ、執筆活動を通し伝えている。

出版

祥伝社

もくじ

  • はじめに
  • 第1章 スモールビジネスとは
    • スモールビジネスとの出合い
    • スモールビジネスの定義はさまざま
    • 狭義のスモールビジネス=小商い?
    • 本書におけるスモールビジネスの定義
    • スモールビジネスの特徴
    • スモールビジネスの魅力(経営の視点〉
    • スモールビジネスの魅力 〈顧客の視点〉
  • 第2章 なぜ今、スモールビジネスなのか?
    • スモールビジネスを取り巻く環境
    • 「消滅可能性自治体」を救うスモールビジネス
    • 誰もが起業家になれる時代
    • 日本では貴重な「サードプレイス」
    • AIに代替されない仕事とは?
    • スモールビジネスは分断を超える
    • アート思考とスモールビジネス
    • Z世代が求める「リアルなコミュニケーション」
  • 第3章 成功に導く10の基本戦略
    • お店はいつから 「老舗」か?
    • スモールビジネスを持続させる10のポイント
    • ①ライフスタイルに溶け込む
      • カフェは生活の一部
      • ポルトガルの老舗に学ぶ
    • ②小さく始め、拡大を追わない
      • むやみな拡大路線の末路
      • 経営者のエゴは手放そう
    • ③店主のキャラクターを前面に押し出す
      • 強い個性が人を惹きつける
      • 自分が「看板」になる覚悟
    • ④良質なコミュニケーション
      • 絶妙な距離感とタイミングをつかむ
      • 地域や文化の特性を見極める
    • ⑤バーパスを常に感じる
      • 人間は「合理的」ではない
      • きっかけは忘れても、存在意義は忘れるな
    • ⑥こだわり抜いた商品・サービス
      • 唯一無二を創り出す―― チェンマイのノンアルコールバー
      • 過剰なこだわりはスモールビジネスの特権
    • ⑦確固たるコンセプト
      • ユニークなコンセプトは武器になる
      • コンセプトを守りながら柔軟に変化する 24
    • ⑧リーダーシップの発揮
      • ソートリーダーシップ戦略とは
      • アイデアは伝えなくては意味がない
    • ⑨戦略的な立地選定
      • 「目的地」になることができるか
      • 街のアイデンティティーを形成する
    • ⑩ビッグテック経済圏に依存しない
      • ネットに載っていない店
  • 第4章 究極の差別化戦略
    • なぜ今、「間口を狭める店」が成功するのか?
    • 人は大切にされたい
    • 看板を出さない
    • オンラインに頼らない
    • 場所を公表しない
    • 完全会員制
    • スケーター経済圏とは
    • スケーター経済圏の立地条件
    • 間口を狭める戦略のリスク
  • 第5章 スモールビジネスの未来
    • 「意味の消費」の受け皿へ
    • スモールビジネスの未来は明るい
    • 自動化・無人化の反動とラグジュアリー化
    • キーワードは「贈与」
    • 贈与のハブとしてのスモールビジネス
    • ローカル×グローバル
    • スモールビジネスの「茶会化」 一発勝負が持つ力
    • ヘリテージ活用
  • おわりに

書籍紹介

 この本では、看板や派手な宣伝がなくても顧客を引き寄せる小さなお店の事例を通じて、現代のビジネスにおける「本物の価値」の重要性を伝えています。

 実際の事例を交えながら具体的に語られています。たとえば、路地裏の小さなカフェや、地元で愛される雑貨店など、一見目立たない場所で繁盛しているお店が登場します。これらのお店に共通するのは、独自のコンセプトや顧客との深い繋がりを大切にしている姿勢です。田中さんは、そうしたお店が持つ「唯一無二の物語」が、顧客の心を掴む鍵だと説きます。看板がなくても、SNSや口コミを通じてその物語が広がり、人が集まる仕組みを丁寧に解説しています。

 あるお店では、店員が常連客の好みを覚えていたり、さりげない手書きのメッセージを添えたりすることで、顧客に特別感を与えています。こうした小さな工夫が、信頼関係を築き、リピーターを生む原動力になっているのです。田中さんは、これを「カルトブランディング」の一種と呼び、大企業だけでなく小さなビジネスでも実践可能な戦略として紹介しています。

 本書はスモールビジネスを営む人だけでなく、マーケティングやブランディングに興味がある人にもおすすめです。田中さんの経験に基づく実践的なアドバイスは、たとえば個人でオンラインショップを運営する人や、フリーランスとして活動する人にとっても参考になるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

スモールビジネスの魅力<顧客視点>

  • 専門的なアドバイスが得られる
  • 商品の選別を代行してもらえる
  • 本来の自分に戻れる機会、リフレッシュの機会

 スモールビジネスが顧客にとってどの点が魅力になるのか、もっとも参考になるのがイモージェン・ルペール著の『An Opinionated Guide to Independent London』です。

 文中で取り上げる独立系ショップがユニークかつ洗練されていて、実際に足を運べる店ばかりであることを強調した上で、オーナーの情熱が具体化された場所であると書かれています。

 時間に追われる現代では、すべての購入について調査し、自分の価値感に合うかどうかを判断する余裕がないと指摘します。この点、信頼できる独立系ショップであれば、店主が商品の選別を代行してくることが、独立系ショップの魅力だと説明しているのです。時間とコストを抑えてくれるものだと語っています。

 カフェやバーの場合、サードプレイスとしての役割が大きいでしょう。仕事合間の居場所や、リフレッシュする機会を得られる場所という役割があります。

看板を出さない

 現代でも、あえて看板を掲げなかったり、入り口を偽装したり、入り口が極端に分かりにくかったりする隠れ家的なお店があります。

 全員に伝わらなくてもいいけれど、分かる人にだけ理解してもらいたいというコンセプトで売っている店です。お客様にとっても、隠れた名店を知っているという特別感があり、秘密の憩いの場を持っているようで興奮を覚えます。自分だけ特別だという興奮が好きな人々のニーズに対して、サービスを提供する存在となっています。

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