岡倉天心「茶の本」をよむ

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 『茶の本』は、明治時代の日本美術界の指導者として知られる岡倉天心の著作です。

 アメリカのボストン美術館で東洋部長を務めていた天心は、本書を英文で著し、1906年にニューヨークで出版しました。その後、フランスやスペイン、ドイツなどでも広く読まれ、日本文化と美意識を世界に知らしめました。

 『茶の本』は、近代国家を立ち上げた日本の精神文化を託したものです。そして一読しただけでは、天心が何を言いたかったのかが解る本ではありません。

 天心の想いは、自分自身に蓄積していく過去との文化的なつながりを基盤としています。肥大化した官僚組織が、日本を世界相手の戦争での敗北に導きました。そのことを教わった戦後世代は、国家として日本に一方的に同調を迫られることに懐疑的です。

 天心の中の日本への想いは、世界を相手にしなければならない「これからの日本人」への想いと結びついていたのではないでしょうか。現代人にエールを送ってくれているような気もするのです。

書籍情報

タイトル

岡倉天心「茶の本」をよむ

第1刷 2017年6月1日

発行者 鈴木哲

発行 (株)講談社

ISBN 978-4-062-92427-6

総ページ数 376p

著者

田中仙堂

出版

講談社学術文庫

茶道は道家思想の偽装

UnsplashMotoki Tonnが撮影した写真

 天心は、中国の歴史家はこれまでに道家思想のことを出世術と語っていると紹介しています。

 第二章・茶の流派の末尾には「茶道は道家思想の隠れた姿であった」と結ばれています。

 「美しいものと共に生きた者だけが、美しく死ぬことができる」とはどういうことなのでしょうか。第5段落からは、茶人の道家的な出世術の具体例が提示されています。そしてこの後の段落で、その極致として「利休の最後の茶」が描かれるのです。

 死を前にして弟子たちと飲食を共にするという情景から思い浮かべるのは、イエスキリストの最後の晩餐の場面です。利休が差し出した茶碗は聖杯のように想像した異国の人もいたと思いますが、その茶碗は利休自身が粉砕してこの世にないとしています。キリスト教圏の人々に印象付ける効果を狙ったのではないでしょうか。

茶室

Image by Kanenori from Pixabay

 茶室のイメージが海外で形成されていく元を造ったのが、天心の『茶の本』ではないでしょうか。1906年では茶室どころか日本建築自体が全く評価されていません。

 ヨーロッパの建築家の目からすれば、木と竹でできた建築は、建築の名に値するとはみなされず藁屋に過ぎないと表現されています。

 「巨木が支柱となっている木造建築は、日には弱いが地震に強いことが確かめられています」と、西洋の建築と比べて誇るべき特徴を持っていることを天心は指摘しています。

 草庵の茶室の特徴は、狭く小さいことですが、これに比して支配階級の建築物は巨大で壮麗です。そんな風に天心は、法隆寺の金堂、宇治の平等院鳳凰堂などを例に読者に印象付けを行っています。

茶の流派

作者: ma-sas

 天心が言うには「煮る茶」、「泡立てる茶」「浸出させる茶」の3つが茶の流派なのだそうです。

 中国の認識である「抹茶」や「煎茶」といったものは、日本のそれとは形式が異なります。天心はそうした寛容法をそのままにせずに、区分けしようとした結果が3つの茶の流派となったわけです。

 まだ一般の人たちにとっては、普通の日常生活だから歴史にとって大切という受け止め方をできない時代です。天心は、茶を芸術作品としてはじめ、時代とともに流派があるとし、どんな時代があったかを展開しています。

 茶には眠気覚ましの効果があり、薬のような役割も果たすことが知られたなど、茶の歴史とどの様に扱われていたかを説明しているのです。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 元の文章のほうが簡単に概念的に書かれていて解りやすいまであります。

 深読みすることで、どういう意味なのだろうと細かく特定していくような文章なのに、どこか哲学味がある書籍でした。

 最後の章で、人間性×お茶のようなことがあり、『茶の本』が論文的な結論前だしにたいして、この書籍では物語のように最後に結論を書いています。

 若い人にエールを送るようなことだったかは、読んでみて決めてください。

 西洋の人が和風建築のことをボロ糞に思っていたようなことがわかりました。しかし、歴史的な建造物が何十年も修理されているのに直らないのに対し、日本の立派な城は火事には弱いものの、それなりの期間で修理を終えてしまうほど頑丈です。3匹の子豚の話は、改良されてレンガが頑丈みたいになっていますが、元の話では全部の子豚が食われます。きっとそれが正しい認識なのです。弱点もあれば長所もあります。まさか、お茶からそんな話に繋がるとは思いませんでした。

 エナジードリンクについて、あれこれ分析することが日常でないように、お茶についてあれこれ考えることもありません。適当にご当地エナジードリンクを買って飲むのではなく、これを文化と捉えてアワライズを宣伝するにはとか考える人が現れれば、現代版『茶の本』が誕生するかもです。

 お茶という狭い範囲を通じて、日本の文化を広めようとした人の本の解説本、読んでみてはいかがでしょうか。

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