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目次
書籍情報
サム・アルトマン評伝

周恒星
フロリダ大学で情報システム関連の修士号を獲得後、ビジネス誌で12年間テック企業を取材した。中国人記者として初めてイーロン・マスクをインタビューした人物。
日経BP
- プロローグ 歴史に刻まれる運命の人
- 第1部 オープンAIの誕生からChatGPTの開発まで
- 第1章 AI革命の静かなる始まり
- 第2章 オープンAIの設立
- 第3章 ゼロを1に
- 第4章 「彼は世界を救いたい」
- 第5章 時代のCEO
- 第2部 覇権ゲーム
- 第6章 シリコンバレーの「宗教戦争」
- 第7章 取締役との対立
- 第8章 転機
- 第9章 有限ゲームと無限ゲーム
- 第3部 シリコンバレーの若きカリスマ
- 第10章 少年時代:セントルイスからシリコンバレーへ
- 第11章 企業:平凡な経営手腕
- 第12章 Yコンビネーター時代:権力構造の渦へ
- 第13章 Yコンビネーターの改革:未来へ向かって
- エピローグ サムの描く「世界のブループリント」
- あとがき なぜ、オッペンハイマーなのか
書籍紹介
本書では、アルトマン氏の歩みをいくつかの段階に分けて追っています。スタンフォード大学を中退した若者が最初のスタートアップLooptを立ち上げた時期、28歳という若さでYコンビネーターの社長に就任し、多くのユニコーン企業を育てた時期、そしてオープンAIを率いてChatGPTという革新的なツールを世に送り出した時期です。それぞれのフェーズで、アルトマン氏がどのように人類の未来を考え、行動してきたかが鮮やかに浮かび上がります。イーロン・マスク氏との関係の変化や、オープンAI取締役会での出来事といった、ドラマチックなエピソードも織り交ぜながら、テクノロジーの冷たい世界の裏側にある人間的な側面を明らかにしています。
単にAIの歴史を学ぶだけでなく、一人の起業家が世界を変えようとする情熱と戦略に触れることができます。周鴻禕氏をはじめとする識者からの推薦文も、本書の価値を高めています。
試し読み
※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。
ChatGPTのブレイク

2022年11月、突然アルトマンが全体会議を開きました。チャットボットをリリースしなければならないという告知です。
最新版のGPTー4ではなく、GPTー3.5の旧モデルに搭載して、すぐにリリースできるように指示したようです。テキスト型のAIを使う技術をユーザー間で徐々に広まってほしいと、アルトマンは思っていました。
11月29日の正式発表前夜になって、準備がようやく完了しました。ChatGPTの開発陣でさえ「ツイッターで『いいね』が5000個つけばいい方だ」と予想していたほど、リリース直後の爆発力には期待を持っていなかったようです。
今日僕たちはChatGPTをリリースした。以下のリンク先でおしゃべりしてみて
http://chat.openai.com
アルトマンのXアカウントに、ひっそりと上記のコメントがポストされる形でリリースがされました。
オープンAIの一部のスタッフが予測した利用者数は、一番多い予想でも10万人程度です。公開から5日目にして100万人を突破する大ブレイクするとは誰も思っていませんでした。ただでさえ残業続きになっていたスタッフは、事態が少し落ち着いたところで画像生成AIのDALL-Eでパソコンが炎上するミームを作っています。
ループトの売却

2007年のピーク時、ループトは50人以上の従業員を抱えていました。近くの範囲にいる友達や面白そうな周囲のイベントを繋ぐといったアプリは、さほど流行らなかったようです。
アルトマンがループトの経営を主導していたころは、幹部からアルトマンの解任を2度訴えられています。理由は、社内での言動に欺瞞が多く、社内を混乱させているというものでした。主要投資会社のセコイア・キャピタルがアルトマンを支援していたため、解任されることはなかったです。
ループトの起業は成功したとはいえず、製品開発や企業運営で才能を発揮することはありませんでした。しかし、人脈を作り取引を成立させることにおいては天才です。ビジネス交渉も資金調達の交渉も、アルトマンは楽々とこなしていました。
ベンチャーキャピタリストのマイケル・モリッツと親睦を深めたことで、2012年にループトの売却先がきまりました。人脈を築く強みでループトを4300万ドルで売却できています。アルトマン個人はこの売却で、500万ドルの現金化ができました。