ドラッカーに教わったことと教えたこと/著者:庄司進

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

書籍情報

タイトル

ドラッカーに教わったことと教えたこと

発刊 2025年5月11日

ISBN 978-4-86641-864-3

総ページ数 264p

出版社リンク 東京図書出版

著者

庄司進

国民金融公庫入庫。小企業への融資事務に従事。
公庫定年退職後、2013~2018年まで補助金の交付事務に従事。

出版

東京図書出版

リフレ出版

もくじ

  • はじめに
  • ドラッカーに教わったこと
    • ドラッカーってどんな人?
      • 傍観者であったということ
      • 偉大な知性
      • 刮目すべき処女作
      • 経済学との決別
    • ドラッカーのマネジメント論
      • 1 マネジメント総論
        • マネジメントとは何か
        • マネジメントの必要性
      • 2 マネジメント各論
        • 旧いアイデア、システムの廃棄
        • リーダーとの距離
        • リーダーの資質
        • 反対のための反対
        • 学校教育
      • 3 マネジメントの哲学
        • リーダーシップとは
        • コミュニケーション
      • 4 教養としてのマネジメント
        • リベラルアート
        • リベラルアートとユダヤ・キリスト教
    • ドラッカーの国家論、政府論
      • 1 軍事国家の失敗
        • 軍事費の意義
        • 人材の浪費
      • 2 租税国家、ばらまき国家の失敗
        • 税の所得分配機能
        • ばらまき国家と政治不信
        • 「小さな政府」、「民営化」の誤解
    • 『「経済人」の終わり』が教えていること
  • ドラッカーに教えたこと
    • 人間重視の思想
      • 人間の尊厳
      • 人間は資源
      • 従業員の強みを引き出す
    • 共同体への回帰
      • コミュニティとしての企業
      • 失われた共同体
      • 自己実現のための共同体
      • 地域社会の伝統
    • 家族意識の強み
      • 家族意識
      • 意思決定
      • 勤勉な労働者
      • マルクスを打ち負かした者
    • 公と私
      • 藩の延長としての企業
      • 公の利益と私の利益
    • リーダーの資質再論
      • 人材育成
      • 老害をふりまかないこと
    • 明治期の日本
      • 発展途上国のモデル
      • 部品交換型文明
    • 組織の永続性
      • 会社の買収
      • 歴史のある企業
    • 日本美術とドラッカー
      • 日本美術の二極性
      • 日本の特殊性
      • 位相学
      • 継続学習
      • 知覚的であるということ
      • 特質としての知覚
  • ドラッカーをどう読むか
    • 日本でのドラッカーの読まれ方
      • 『経営者の条件』
      • 思想家としてのドラッカー
      • 『傍観者の時代』
    • アメリカでのドラッカーの読まれ方
      • デイリー・ドラッカー
      • ドラッカーのタペストリー
      • リベラルアートとしてのマネジメント
    • もう一つの読み方
      • 社会生態学者としてのドラッカー
      • 日本の発見者としてのドラッカー
      • 日本を認めたドラッカー
  • おわりに

書籍紹介

 この本は、経営学の巨匠ピーター・F・ドラッカーの思想を軸に、著者自身の経験と洞察を織り交ぜながら、ビジネスや人生における学びを深く掘り下げた作品です。ドラッカーの教えをただ紹介するだけでなく、庄司さんがどのようにその知恵を自らの実践に活かし、さらには後進に伝えてきたかが丁寧に描かれています。

 ドラッカーが強調する「強みを活かす」ことや「成果を上げるための自己管理」の重要性が、実際のエピソードとともに語られており、読者は自分事として捉えやすくなっています。庄司さんがドラッカーの教えをどのように吸収し、実践してきたかの具体例は、経営者やリーダーだけでなく、日々の仕事に取り組むすべての人にとって参考になるでしょう。

 ドラッカーの思想を次世代に伝える過程で得た著者の気づきも、参考となるでしょう。教えることで自らの理解が深まるという経験は、誰しもが共感できる普遍的なテーマです。ドラッカーのマネジメント論や組織論を単なる理論としてではなく、人間関係や社会とのつながりの中でどう活かすかを丁寧に解説しています。

 ドラッカーの思想に初めて触れる人にも読みやすい構成になっています。語り口を通じてドラッカーの哲学が自然と心に響いてくるでしょう。ドラッカーの著作に親しんでいる読者にとっても、独自の解釈や実践例が新たな視点を提供してくれるはずです。ドラッカーの知恵を現代の文脈でどう活かすか、そのヒントが詰まった本書は、読んだ後に自分自身を見つめ直すきっかけを与えてくれます。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

ばらまき国家と政治不信

 ドラッカーは、悪いことに、租税国家は「ばらまき国家」になってしまったと嘆きます。アメリカや日本やドイツを例にあげて指摘しています。

 ばらまき国家は、自由社会の基盤を侵食します。
 公選された国民の代表たるべき者が、票を買うために特定の利益集団を豊かにし、国民を丸裸にします。これは、市民性の概念の否定ではないでしょうか。
 ばらまき国家が、代表制による政府等民主主義の基礎そのものを侵食しつつあることは、投票率の着実な低下が示しています。

 タバコ農場、ピーナッツ農家、砂糖きび農園などへの補助金を例にあげて、特定の選挙民の票を買うためにどれだけ使われているかについて、誰も知る由がないとドラッカーは語っています。

 ばらまきの本質は不公平、不平等です。すべての人にあまねく行き渡るばらまきはありえません。

 ほとんどの補助金は何か事業をしている個人、法人が対象で、一般のサラリーマンも対象になる補助金はほとんどありません。源泉徴収されているサラリーマンが補助金に縁がなく、何かと節税に走る事業者が補助金の恩恵を受けることに不満が表明されても不思議ではないでしょう。

 有権者は自分の利益をもたらしてもらうことに期待し投票します。政治家は選挙のために、金を集め金をばらまきます。私たち自身がばらまき国家をつくりあげてきたのです。私たちは、ドラッカーの「ばらまき国家は、自由社会の基盤を侵食する」という言葉を噛みしめてみる必要があるでしょう。

購入リンク

created by Rinker
¥1,870 (2025/08/01 06:37:53時点 楽天市場調べ-詳細)

amazon

(Visited 1 times, 1 visits today)
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です