未来のソフィーたちへ/著者:ヨースタイン・ゴルデル

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書籍情報

タイトル

未来のソフィーたちへ

「生きること」の哲学

発刊 2024年7月10日

ISBN 978-4-14-081968-5

総ページ数 205p

著者

ヨースタイン・ゴルデル

ベルゲンの高等学校で哲学と思想史を教えながら作品を発表。『ソフィーの世界』で世界的ベストセラーとなる。

出版

NHK出版

もくじ

  • はじめに レオ、オーロラ、ノア、アルバ、ユリア、マーニ、愛する孫たちへ
  • 第1章 魔法の国
  • 第2章 テントウムシ
  • 第3章 心を読む男
  • 第4章 わたしの祖母
  • 第5章 超心理学
  • 第6章 超常現象
  • 第7章 地球という惑製
  • 第8章 クロノメーター
  • 第9章 時間と空間
  • 第10章 地質時代
  • 第11章 電波信号
  • 第12章 地球の持続可能性
  • 第13章 光学的化石
  • 第14章 ラタトスク
  • 第15章 整形外科医と宇宙飛行士
  • 第16章 九つの脳
  • 第17章 いま問うべきこと
  • 第18章 黄昏
  • 訳者あとがき

書籍紹介

ヨースタイン・ゴルデルの最新作

 ヨースタイン・ゴルデルの『未来のソフィーたちへ 「生きること」の哲学』は、彼の代表作『ソフィーの世界』の後を受けて、新たに生まれた哲学的な問いを探求する一冊です。この作品は、ゴルデルの哲学に対する深い理解と、人間の生きる意味を探る試みを再び展開しています。

生きることと哲学

 『未来のソフィーたちへ』は、「生きること」というテーマを中心に据えています。この本は、読者に対して人生の根本的な疑問を投げかけ、日常生活の中で私たちが見過ごしてしまいがちな哲学的な視点を提供します。ゴルデルは、古典的な哲学者たちの思想を引用しながらも、現代社会における生き方や価値観について新たな洞察を与えてくれます。彼の言葉はシンプルでありながら深遠で、読者に考えさせられること間違いありません。

 この本の中でゴルデルは、哲学が特定の人々だけのものではなく、すべての人々に開かれているものであると強調します。彼は、人生の意味を探求することが、個人の幸福や自己実現に繋がると考えており、この考え方を優しく、しかし力強く読者に伝えています。

 また、『未来のソフィーたちへ』は、哲学がどのように私たちの未来に影響を与えるのかについても考察しています。特に、未来の世代が直面するであろう倫理的な問題や、環境問題、技術の進歩に伴う課題に対して、ゴルデルは哲学的な視点を提供します。これにより、読者は自分自身の生き方や、未来に対する責任について深く考えるきっかけを得るでしょう。

哲学が苦手な人でも

 この本は、哲学に詳しくない人でも楽しめる内容となっており、ゴルデルの優れた語り口によって、難解な哲学的テーマも平易に理解できるように工夫されています。哲学に興味がある方はもちろん、人生の意味について考えるきっかけを探している方にとっても、必読の一冊です。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

心を読む能力

 夢の中で、私の心を読む男性に出会った。最初に感じたほど驚くことではなかった。実際に彼が心を読んだわけではなく、夢の中で「心を読む男」という設定の登場人物が現れただけだったからだ。

 このようなテレパシーは、自然法則に反することなく、実際に起こりうる現象だったのかもしれない。コウモリが超音波の反響で環境を把握したり、渡り鳥が体内の磁場を利用して目的地に迷わず到達するのと同じように。

 マジシャンやジョーク好きの間では、今も「心を読む」パフォーマンスが盛んに行われているだろう。しかし、テレパシーの存在を立証する証拠は見つかっていない。

 軍の諜報機関でさえ、この能力について研究を行ってきたが、その結果は期待外れに終わった。しかし、証明できないからといって、テレパシーが存在しないと結論づけることはできないだろう。

自分にピッタリという空想

 空想の次元は、私の本によく登場するテーマだ。私はいつも、人間の空想の力に魅了されてきた。どんな空想も、結局は誰かの心の中に生まれたものにすぎない。

 空想というのは、おそらく香水に似ている。人からほんのりと漂う香りが、他人に感銘を与えるようなものだ。女性が「自分にぴったりの香水」を見つけ、それを「自分の香り」と呼ぶのは、その香りが自分の個性と結びついているからだろう。

 香水業界では、顧客の手首に香りをつけてテストを行う。直接ボトルから漂う強い香りでは、気分が悪くなるかもしれないからだ。

わたしたち世代が楽しむ

 気候変動も生物多様性の危機も、どちらも人間の欲深さに関係している。しかし、欲深い本人はたいてい、そういったことに関心を持たない。

 私たちの世代の欲深さは、歴史がよく物語っている。倫理にもとらない力の行使によって、数々の富と贅沢がもたらされてきた。奴隷制度がその典型だろう。

 石油や石炭は、多くの人々を貧困から救い出した。これらの天然資源は、経済成長を支えつつ、浪費と過剰生産を生み出してきた。石油159リットル分のエネルギーは、肉体労働に換算すると1万時間分に相当する。そのような強力な燃料が、現在では驚くほど安価で取引されている。

 化石燃料を使用する代償は、確実に次世代が支払うことになるだろう。黄金律に従うなら、次世代が化石燃料なしでも生活できる状態を確保して初めて、私たちは化石燃料を使うことが許されるはずだ。

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