野菜ビジネス/著者:梅田みどり

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書籍情報

タイトル

野菜ビジネス

発刊 2024年5月21日

ISBN 978-4-295-40970-0

総ページ数 275p

著者

梅田みどり

野菜研究家・野菜ソムリエ
フードサロンやさいのひ代表

出版

クロスメディア・パブリッシング

もくじ

  • 序章 Chapter0 :野菜が持つ可能性
  • 第1章 Chapter1 : 野菜ジュースから学ぶ野菜ビジネスの世界
    • ジュースで1日分の野菜を摂ることができるのか
    • 世間の健康意識と野菜ジュースの関係性
    • 大注目の栄養素「リコピン」と「βカロチン」
    • ナス科の野菜でアレルギーを引き起こす理由
    • 体の水分バランスを整える「カリウム」
    • 予防医学で注目される「アブラナ科」の野菜
    • Column 「カゴメ」の野菜摂取不足への取り組み
  • 第2章 Chapter 2 : 伝統野菜から学ぶ野菜の品種と歴史の世界
    • 縄文時代から食べられていた野菜とは何か
    • 昭和時代は野菜の大変革期
    • 洋食化が変えた日本の野菜文化
    • 経済が安定すると、野菜の生産は安定期に入る
    • F1品種の台頭と野菜の品種改良
    • 伝統野菜復活のカギを握る和食ブーム
    • Column 人はいつから野菜を食べるようになったのか
  • 第3章 Chapter3 : 産直野菜から学ぶ農業の世界
    • 無農薬野菜と有機野菜の見分け方
    • スマート農業で食料自給率を上げる
    • 野菜農家が稼げる野菜とは
    • 「産地限定野菜」を作る農家の過ごし方
    • 産直野菜の直売所に来る人は何を求めているのか
    • 行き場のない野菜たちの救世主
    • Column 家庭菜園で栽培しやすいおすすめ野菜
  • 第4章 Chapter4 :カット野菜から学ぶ野菜加工の世界
    • コンビニやスーパーのサラダは安全なのか
    • 世界のカット野菜市場
    • 生野菜の食中毒
    • 冷凍野菜の加工技術
    • 漬物市場の成長
    • 便利なカット野菜の裏側
    • Column 過程でできる変色しないレタスさらだの加工法
  • 第5章 Chapter5 : コールドチェーンから学ぶ野菜流通の世界
    • 世界規模で行われる野菜の流通
    • 卸売市場の役割
    • 野菜の販売価格の決め方
    • 生産者の直接販売
    • 輸入野菜の役割
    • 野菜流通に欠かせないトレーサビリティ
    • Column 鮮度をキープする保存方法
  • 第6章 Chapter6 : お取り寄せに学ぶ野菜ギフトの世界
    • お取り寄せで楽しむ新鮮野菜の詰め合わせ
    • お歳暮で売れる1本1万円のねぎ
    • 松茸よりも高級なきのこが生まれる?
    • 女性に人気の干し芋ギフト
    • 雪を逆手に取った期間限定の野菜
    • 規格外野菜の新たな切り口
    • Column 新潟の枝豆リレー
  • 第7章 Chapter7 : 「ファーム・トゥー・テーブル」から学ぶ野菜トレンドの世界
    • 消費者に野菜を直接届ける「ファーム・トゥー・テーブル」
    • 料理人はなぜ野菜を栽培したくなるのか
    • ニューヨークのレストラン「オルムステッド」のこだわり
    • 「世界の野菜レストラン」ベスト100
    • ミシュラン・グリーンスター
    • 大手外食チェ―ンが手掛ける自社農場
    • Column 魯山人に学ぶ環境に優しい野菜料理
  • 第8章 Chapter8 : 料理教室から学ぶ野菜料理の世界
    • 料理教室に行くモチベーション
    • 野菜料理のバリエーションが家計と健康の助けになる
    • 切り方で変わる料理の仕上がり
    • 野菜の味を決めているもの
    • 調理が面倒で嫌われる野菜
    • 野菜嫌いは存在しない
    • Column 新顔野菜を食べてみよう
  • 第9章 Chapter9 : プラントベースフードに学ぶこれからの野菜ビジネスの世界
    • 野菜だけで健康を維持できるのか
    • プラントベースフードが注目される理由
    • プラントベースミルク市場
    • 医療業界から注目されるブロッコリー
    • どこでも新鮮な野菜を食べられる技術
    • 伝統的な日本の食生活を見直してみよう
    • Column 日本の精進料理
  • 終章 Final chapter: 100年先も野菜を食べるために
  • おわりに

書籍紹介

 農業の新しいビジネスモデルに焦点を当てた一冊です。農業の現場とビジネスの両面から長年にわたり経験を積んできた専門家であり、監修者の知識と洞察が詰まった本書は、農業に従事する人々や、新たに農業ビジネスを始めたいと考える人々にとって貴重なガイドブックとなっています。

魅力的なポイント

1. 実践的なアプローチ

 提案するビジネスモデルや戦略は、すぐにでも実行可能なものが多く、読者は自分の農場やビジネスに適用することで、具体的な成果を期待することができます。

2. 最新の技術とトレンド

 本書では、最新の農業技術やトレンドについても詳しく解説されています。スマート農業技術、そして環境に配慮した持続可能な農業など、現代の農業が直面する課題とその解決策について深掘りしています。

3.野菜のビジネスの勉強

 コンビニなどの野菜についてや、市場への野菜流通などの世界が書かれています。加えて、野菜ギフトやレストラン、料理教室といった商品の形も勉強することができます。野菜ビジネス全体の世界を学ぶことができるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

野菜ジュースで1日分の野菜が摂れるか

 かごめのトマトジュースは、野菜ジュースの始まりとされています。そして、2004年には伊藤園が「1日分の野菜」を発売しました。この飲料は、350gの野菜を摂取できるとされています。

 実際には540gの野菜を使用し、その搾りかすを除いて350gにしています。大切な食物繊維の多くは搾りかすに含まれており、ジュースには水溶性食物繊維のみが少し残っています。「難消化性デキストリン」は水溶性食物繊維の一種です。

 ジュースにする際に壊れない栄養素もありますが、ジュースで1日分の野菜が摂れるかどうかは、一概には言えません。

 人の体には個体差があり、必要な野菜の量や栄養は個人によって異なるため、効果は一概に見えません。消費者としてできることは、成分表示を確認しながら野菜摂取の補助としてジュースを活用することです。

経済が安定すると、野菜の生産は安定期に入る

 野菜生産出荷安定法の制定により、都市部の高い需要に応えるため、「指定産地制度」が始まりました。この制度は、野菜を安定的に生産し、計画的に出荷することを目的としています。

 需要の多い野菜については、品目ごとに産地を指定し、生産量の調整や品質向上を図ります。これにより、市場に出回る野菜の量と品質が安定し、生産者の経済的安定も期待できます。

 さらに、不作や災害などで収穫が減少するリスクを軽減するため、保険制度や政府の支援策も整備されています。これにより、生産者は安心して生産活動に取り組むことができます。

 しかし、指定産地制度の導入により、統一されたサイズや形の野菜の生産が求められるようになりましたが、収穫量が多く病気に強い品種への改良が進んだことで、伝統的な品種のい栽培が減少しています。

直売所に求めるももの

新鮮さと高い品質

 旬の野菜は多くの農家から集まり、大量に並んでいます。その中から、できるだけ安く、鮮度が良く、美味しそうな野菜を選ぶのは楽しいものです。

手頃な価格

 直売ができるため、仲買業者へのコストがかかりません。農家が決めた値段で販売されるので、消費者は手頃な価格で良質な野菜を手に入れることができます。

 また、少し傷があったり、かたちがいびつだったりする規格外の野菜も並ぶため、安い価格で手に入れられます。このような野菜は、形状を気にしない人にとっては人気の商品となっています。

生産者の顔が見える

 生産者の名前と顔がわかれば、親近感や信頼を感じやすくなります。

コンビニカット野菜は安全です

 キャベツやレタスは、次亜塩素酸ナトリウムを薄めた水で洗浄されてからカットされ、コンビニに並びます。

 次亜塩素酸ナトリウムは殺菌目的で使用され、水道水にも含まれています。これにより微生物や菌の数が減少し、食中毒のリスクを防ぎ、安全な食品が提供されます。

 海外旅行先で現地の水道水を飲むと食中毒になることがありますが、日本の水道水が安全なのは、次亜塩素酸ナトリウム(カルキ)が含まれているためです。

 カット野菜の製造過程で使用される次亜塩素酸ナトリウムは、食品衛生法に基づいて厳格に使用量が管理されているため、摂取しても問題ありません。

 過度に心配するのはやめましょう。

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