世界はコロナとどう戦ったのか?

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※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 中国国家主席の習近平が新型コロナウイルス感染症の集団発生を正式に認めたのが、2020年1月20日です。ちょうど1年後の2021年1月20日にジョセフ・バイデンが第46代アメリカ大統領に正式に就任しました。

 新型コロナウイルス感染症は世界を震撼させ、220万人以上もの犠牲者を出し、数千万の市民が重症に陥りました。地球上のほぼすべての人々の日常生活を奪い、公的生活のほとんが停止したのです。

 学校が閉鎖され、離れて住む家族や親せきと会えなくなり、国の内外を問わず旅行は中止になりました。

書籍情報

タイトル

世界はコロナとどう闘ったのか?

パンデミック経済危機

第1刷 2022年2月3日

訳者 江口泰子

発行者 駒橋憲一

発行 東洋経済新報社

装丁 橋爪朋世

DTP アイランドコレクション

印刷 図書印刷

編集担当 九法崇

ISBN978-4-492-39665-0

総ページ数 422p

著者

アダム・トゥーズ

 コロンビア大学歴史学部教授。ケンブリッジ大学で教鞭をとったのち、イェール大学のバートン・M・ビッグス教授。2015年から現職。

出版

東洋経済新報社

中国政府によるシャットダウン

 武漢で発生した感染症の報告が遅れたことに、中国政府は慌てました。2015年のフドウサンブームの抑圧で危うく金融危機になりかけた記憶が残っていたからです。さかのぼれば、2003年のSARSの発生にも激しく動揺していたことは記憶に新しいものです。

 中国の過酷な措置はお馴染みの手段のひとつとなっています。SARS患者と濃厚接触した4000人の北京市民を隔離、300人の大学生を2週間ほど軍の駐屯地に足止めしました。今回は1100万人を擁する都市全体を、省や全土を封鎖しています。

 疫病が蔓延し、情報規制ができないほど山のような証拠が積み重なったため、「集団免疫」などと言ってはおられず、実効性や結果を出すために、容赦のない措置を取らざるを得なかったのです。

 1月22日、中国共産党指導部は全土に及ぶシャットダウンを決定し、緊急会議などが開かれました。金融センターのような経済ハブでも2月9日まで休業が決まり、学校は2月17日まで休校となったのです。2月初めには全人口の約70%を抱える14の省と都市がシャットダウンしました。

 夜通し建設された救急病院には、コロナ患者を入院する基準はデタラメから始まり、その後にカテゴリー分けなどの概念や制度が整いました。まずは隔離するところには成功していたのです。それでも武漢の感染状況は悲惨と言うしかなく、メディアも次々と出る犠牲者を隠そうとしません。

 メディアの力も受けて、大きな政治的要求に飛び火したときに情報規制が加速しました。2020年2月7日には検閲がフル回転し、批判的なメディアの投稿は即座に削除されるようになったのです。影響力をもつ過激な情報発信を行うものには自宅で厳重な軟禁状態に置かれ、外部との接触を断たれています。

各国の財政出動の規模

 世界のどの国も事実上、一斉にシャットダウンに向かい、実質的に財政出動を行いました。

 IMFによれば、平均的な先進国の場合、財政出動の規模はGDPのほぼ8.5%を占めています。中所得の新興市場国では、平均して4%をわずに下回りました。低所得国の財政出動は、たいていGDPの2%にも満たしていません。

 パンデミックの被害がイタリアとスペインでひどいのは、10年に及ぶ緊縮財政政策のせいもあります。公衆衛生システムの予算を大きく削減せざるを得なかったからです。コロナ危機の前に余剰病床の削減を提唱していたイェンス・シュパーンは、気まずい立場に陥りました。パンデミックが脅威だと議論に浮上するようになり、EUが飛躍的に前進する土壌をつくったのです。

 2020年3~4月に労働市場が崩壊すると、ほとんどのアメリカ人はパニックを抑えきれていません。トランプ政権が行き当たりばったりであり、政府の適切な対応策は期待できなかったのです。アメリカの低所得者は今後さらに厳しい時が来ると見越して2009年に制定されたCARES法で小切手を受け取り債務を返済していたのです。高所得生体には手元にカネが余り、散財しようにも外出できる機会があまりありません。恩恵を受けたのは大手オンライン小売業者や全米規模のサプライチェーンであり、地元経済ではなかったのです。6月にはアメリカの輸入も回復し、堅調に経済が戻っていきました。

再度シャットダウン

 2021年初め、ラテンアメリカ諸国に加えて、第2波、第3波に襲われたアメリカや欧州も最悪の事態に陥っていました。

 ワクチンの開発の最初のニュースが届いてから数週間もしなうちに、感染力が何倍も強い変異株が英国と南アフリカ共和国で発見されたのです。致死性が高くないことは安心でしたが、基本再生産数が高く感染係数は指数関数的な急カーブを描きました。

 ワクチンメーカーは変異株にもワクチンが効くことを楽観視していましたが、新しく臨床試験が必要になったのです。治験が終了するまでのあいだ、医療体制の崩壊をなんとしても防がなくてはなりません。

 流行の阻止が優先事項になり、カリフォルニア、フランス、英国、ドイツのどこに住んでいようと、唯一の解決策は再度のシャットダウンとなったのです。

2020年が突きつけた課題

 環境史の研究者は、人間と地球環境との関係に急激な変化をもたらす「グレート・アクセラレーション」に警鐘を鳴らしています。そういった意味では2020年を位置づけるには危機の年だったのではないでしょうか。

 生物学的な原因で起きた激震であり、既存の社会が無力だった出来事です。

 感染を抑えるためには、社会的、文化的、政治的な対応能力では限界があります。科学と技術を組み合わせた解決策に頼る必要があるのです。2020年の体験には様々なものがあります。ワクチン開発に成功したことだけでなく、解決策に使われた手段、規模、費用といったものが効果的に使わていたかどうかが含まれのです。

 未来の技術に投資したり、持続可能な抵抗力のある社会と経済を考える必要性を2020年から学びとれます。これだけ痛い目に遭っておきながら、「まだ言っているのか」「まだ証拠が足りない」とでも言うのですか。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 ロシアのウクライナ侵攻などもあり、すっかり薄れてしまっているコロナ禍での最近の事実です。

 元をたどれば中国発症というのも考え深いですし、また20年単位でSARSのような感染力があり、致死性も高いものが流行ることも想定しておくべきではないでしょうか。エネルギー保有国との連携を強めて、環境的には悪くなりそうですし、衛生環境に力を入れることも期待できないと思います。

 こんなに痛手を負っているのに、まだ日本の経済発展には中国との連携が不可欠とか言う気なのでしょうか。ロシアを利用して安くエネルギーを買う、武器の欲しい中東の国と連携を図る、戦争の準備を始めているといると言う、国内の国の権力が強力、情報統制が過剰。不穏だと思うのは私だけでしょうか。

 コロナ禍では日本ではコロナの新薬の開発が芳しくなかったですし、今のウクライナ戦争の小麦問題においても気候うんぬんいって国内生産に力を入れていません。子ども政策も大事だけれども、すでに手当があったり、地方で対策が練られているものよりも、他に優先するものがあるように思えます。

 コロナの問題をニュースで出すごとに、呆れる態度をみせる著名人もいらっしゃいます。もっともだとも思うのですが、コロナ禍で得られた課題をまだ精算していないような気もするのです。

 コロナ禍の出来事をおさらいするのに、丁度よい本書です。

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