デザインされたギャンブル依存症

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

はじめに

 週末にカジノで少しずつビデオ・ポーカーをしているうち、それが何時間にも延び、やがて何日も入りびたるようになっていきます。

 大勝をしたかったのかと聞くと、短い笑い声をあげて否定するのです。「賭け続けていくうちに、どの程度称讃があるかわかるようになりましたから」といいます。

 今の標準的ギャンブリング・マシンは、デジタルプラットフォーム上に1200以上の部品を複雑なデバイスです。グラフィックデザイナー、マーケター、数学者、エンジニアなど300人もの人々が関わります。

 紙幣でもIC磁気でも掛け金を賭けられ、ゲームを始めるのもレバーを引くのではなく、ボタンや画面をタッチするだけで気軽に始められます。どんどんデジタル技術が編入されていき、プレイヤー体験を変化させて人気を広げているようです。アメリカのギャンブル文化および経済におけるマシン優勢は、一貫して衰えを知りません。

 連続的に比較的自由に賭けらるのです。

書籍情報

タイトル

デザインされたギャンブル依存症

第1刷 2018年6月25日

訳者 日暮雅通

発行者 清水一人

発行 青土社

装丁 松田行正

印刷・製本 ディグ

ISBN978-4-7917-7058-8

総ページ数 585p

著者

ナターシャ・ダウ・シュール

出版

青土社

偶然をプログラムする

 ユーザーがギャンブルリング・マシンに不思議な力や音時を感じるのは、マシンが偶然を引き起こすために利用する「手段と計算」が不透明であることと関係しています。

 プレイする前に、自分が勝てないこと、勝てるタイミングを知っていたら、ゲームの娯楽性やリスクがなくなって、興奮できないのです。

 現代のビデオスロットのデザイナーは、実際よりも大きな確率を伝える「焦らす手法」を利用しています。コントロールできるような錯覚を表現し、確率とチャンスの見せ方を自由に操作しながらプレイヤーを魅了していくのです。

 長時間、複数の錯覚が同時進行を目の当たりにすると、マシン内部の仕組みに関する知識が「オフ」になるように設計されており、集中力が欠けるデザインになっています。いつしか勝つことよりもプレイし続けるほうが大事になるように洗脳させるのです。

 ギャンブル業界は収益を追求し、一方でプレイヤーはゲーム性を追いかけるようになります。

マッチングさせる

 プレイヤータイプは大きく2通りです。配当額が大きく確率が低いものを好むタイプと、恒常的にちょっとずつ配当があるゲームを好むタイプに分かれます。

 このタイプの配当グラフは、資金を少しずつ減らしていくか、いち早く資金を減らすかを表すものになっていて、どちらも行き着く先はゼロです。

 ゲームのデザインをする仕事は、いずれのタイプが市場の好みに合うようにバランスを調整することにあります。

 1980年以降、高頻度で当たりの出る数学的ゲームにお客が吸い寄せられていき、業界は初心者向けのじわじわ搾り取るほうへと誘導するようになりました。量で利益をあげるやり方で、「コストコ型ギャンブル」と呼ばれています。

 初心者だったプレイヤーが新しい数字体験に強くなり、また新たな強度のゲームを求めるように耐性を付けるので、その市場にあわせてデザインをするようにデザイナーたちは努力をしていきます。

自発的な負け

 コントロールできなかった負けから生じる受け身の苦痛を、能動的で支配可能なものに変換するために、「意思に基づいた負け」に変えて語ることがあります。

 コントロールしているのは私だと言い張るのです。

 カジノに行ってATMでお金を引き出し、ビデオ・ポーカーで失っただけ。資金移動です。もしこのコントロールを続けていくだけのお金を持っていたら、いまでもやりつづけていたでしょう。私はお金がつきてしまっただけなんです。

 彼女は、懐疑的な負けに直面してコントロールしようとする努力より、必然的に負ける続ける状況において、経験的な確立に頼ることに近いです。

 マシンギャンブルを通じて最終的に得られるのは、運をコントロールすることは不可能だということでしょう。

感想

サイト管理人

サイト管理人

 ギャンブルにハマった人は後々「稼げるとは思っていない」といいます。

 46スロ、5スロ、4パチ、1パチ、市場に合わせてレートがひかれていて、最終的には資金がゼロになるように設計されているとのことです。しかも、~リードタイムなど引き延ばすための機能がたくさんついており、利用者に思考させないメソッドが必要なので、派手だけれど変化のないことが続きます。パチンコやスロットにハマる人に合わせれば、それほど凝った演出も要らないとのことです。

 ギャンブルを恒常的にやる人と、やらない人では、恐怖や不安を感じるためのノルアドレナリンを制御するNATというサポート作用の量がかなり異なります。恐怖や不安に鈍感になってしまうのです。危機を察知する脳が壊れているということなのではないでしょうか。

 ソシャゲでガチャに資金をつぎ込む人にもNATの増加傾向は見られるようで、みんながスマホを持つ時代では少し心配な現象ではあります。

 たちの悪いことに、ギャンブルはQOLの低下を感じさせる部分の脳の機能は壊しません。自分がオカシクなっていると感じる頃には、家族が自分から離れていったりしてしまうのでしょう。

 突発的に手にした資金は、ムダ使いしやすい傾向もあります。また、重ねて賭けてしまうでしょう。

 よくできているとは思います。個人的には、大学生、主婦、高齢者がハマってしまうのが切ないし、消費電力がもったいないと思っています。ただ、立地と新規台への代替さえ考えれば儲かるでしょう。

 ギャンブルしない私からすると、眠たくなるような内容でもありました。単純に、この書籍の物量が多いすぎです。

 近くにあるギャンブルの環境と、その環境に人生を壊した人の現実が、この本で知れます。

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