哲学本「ハンス・ヨナスの哲学」

※ニートが興味をもった部分を紹介します。

はじめに

 ヨナスは海外で極めて有名な哲学者です。

 日本におけるヨナスの知名度はそれほど高くなく、日本語で読める入門書や解説書は限られています。

 ヨナスの目を借りながら、科学技術文明、未来の責任の可能性を開いてみましょう。

書籍情報

タイトル

ハンス・ヨナスの哲学

著者

戸谷洋志

関西外国語大学准教授。哲学専攻。

 現在は、特にハンス・ヨナスの歴史的思想に関心を抱いている哲学者です。神話主義のなかの信念が、どのような役割をしているかを研究しています。

出版

角川文庫

ヨナスの人生

 ヨナスは子どもの頃、周囲と上手く馴染めませんでした。そのため、読書を嗜み、英雄譚に心を躍らせていたのです。親戚たちの影響で、歴史書や聖書注釈書、哲学書にも手を伸ばしていきます。

 フライブルク大学で哲学を学び、ベルリンにあるユダヤ学高等学院にも通っていました。マールブルク大学に移籍し、神学者のルドルフ・カール・ブルトマンに師事することになります。そしてブルトマンの講習で出会ったのは、親友のハンナ・アーレントです。同じサークルに所属し、よく議論を交わしていたようです。

 ヨナスの博士論文は、ハイデガーが「存在と時間」の中で提示した実存的分析論を展開し解明するというものでした。
 後に、博士論文は「グノーシスと古代末期の精神」として公刊されました。今日においても最重要の基礎文献として参照されています。

 ヨナスが博士号を取得したころ、当時のナチスはすでに反ユダヤ主義を掲げていました。

 1939年、第二次世界大戦が勃発すると、ヨナスは自ら軍人として戦争に参加します。そして解放軍としてドイツに駐屯したヨナスは、アウシュヴィッツ強制収容所で母親が殺害された報せを聞ききます。

 戦後、紆余曲折を経て、1955年からNEWSクール大学の教授に着任し、12年間にわたって教鞭をとっています。

ポイント
ヨナスは、幼少期の頃から哲学に触れていた
ヨナスはユダヤ人である
ヨナスの博士論文は今でも重要文献になっている。
博士号を取得したとき、ナチスは反ユダヤ主義を掲げていた
ヨナスの母は、戦時中に収容所で処刑されている
戦後、苦労をするものの哲学について教鞭をふるっている

テクノロジーを解く

 未来世代への責任を問うヨナスにとって、テクノロジーの本性を明らかにすることは避けて通る事の出来ない問いです。

 テクノロジーは絶えず性能の向上が求められます。携帯電話は外出先で通話することが目的でしたが、そこにメール機能、カメラ機能、録音機能、インターネット、ありとあらゆる機能が搭載されているのです。

 無限に進歩しなければならない、ということは、採取的な目的が何もないことを意味します。ヨナスは「目的がそれ自体で液状化してしまっている」と述べているのです。

 ヨナスによればテクノロジーは、テクノロジーの価値が役に立つかどうかで判断され、役に立つけれども悪であるという評価を下すことができないとのことです。

 科学技術文明では、倫理的な問題を失われる可能性があることも示唆しています。その実例が遺伝子工学です。生まれていない未来の世代に被害を及ぼすのではないでしょうか。というのがヨナスの考えです。

 ヨナスの解決策は、未来のの責任を未来の人に同意を得ることなく正当化することを否定しています。未来の人の存在を根拠にして、責任を基礎づけましょう。ということです。

 ヨナスが特に着目するのは、生命です。

ポイント
未来世代を考えるうえで、テクノロジーの進歩は考慮しなければならない
技術の進歩は、永続的に進化を求められる
技術の進歩に伴う倫理観が、未来の人ベースで考えられていない
ヨナスが特に着目する未来の項目は、生命である

哲学的人間学

 「人間の根本的本質」は、人間像を描く「自由」に他なりません。人間像は歴史のなかで多様な形で形成されます。
 多様ということは、1つの人間像が絶対なのではなく、別の人間像もありえるということです。

 絶対に心理であるような、たった1つだけの人間像など存在しません。

責任について

 日本だと、自己責任や連帯責任のようなネガティブな印象を抱くかもしれません。

 英語やドイツ語だと応答という意味が含まれ、何らかの問いかけに対する自答を「責任」は指しています。そこには、灯篭を要求する誰かが存在するということです。そして、責任を引き受ける誰かも存在しなければならないということでもあります。

 未来への責任として、未来世代が責任の主体として存在できるようにすること、責任能力に求められる自由を失わせないことを、ヨナスは未来の責任としているのです。

 未来世代の幸福が、未来世代が責任を意識することと一致するとは限りません。現世代は未来世代があくまでも自由であれるように配慮しなければなりません。

ポイント
責任とは、何かの問いに自答すること
ヨナスは、未来世代が主体として責任を引き受けなければならないと考えた
未来世代が責任を受け継ぐかどうかについて、配慮しなければならない

感想

 ハンス・ヨナスの一生を踏まえると、生命の話や人間学、未来世代を考えた哲学に、説得力があると思いました。

 哲学というだけあって、なんとなく読んだだけで理解できる内容ではありませんでした。5%も理解できていないかもしれません。

 戦時に悲劇を味わった人の未来哲学を、ちょっとは触ることができたと思います。

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