13歳からの行動経済学/監修:太宰北斗

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書籍情報

タイトル

13歳からの行動経済学 推し活中学生のお小遣い奮闘記

発刊 2024年9月2日

ISBN 978-4-8163-7606-1

総ページ数 255p

書評サイト 読書メーター、マイナビ

出版社リンク ナツメ社

監修

太宰北斗

名古屋商科大学教授。
消費財メーカー勤務を経て、市橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了。市橋大学大学院商学研究科特任講師を経て、2023年より現職。
行動ファイナンス、コーポレートガバナンスを専門にしている。

出版

ナツメ社

もくじ

  • プロローグ マジシャン・ジョージとの出会い
    • 推し活とお小遣い事情
    • 覆面マジシャン、ジョージと出会う
  • 1章 マジシャンのもう一つの顔
    • 覆面マジシャンの正体はだれ?
    • マジックっておもしろい! 認知を揺さぶる錯覚
      • Keyword “見たものがすべて”
    • 脳のシステムは直感に頼りがち?!?
      • Keyword ヒューリスティクス
    • 古書店に宝石箱!?!?! 行動経済学の楽しい仕掛け
      • Keyword セイリアンス
    • 心の動きとお金の動きはつながっている
      • Keyword 選択のパラドックス、ナッジ
    • 1章まとめ
  • 2章 お小遣いのピンチ! 宝くじで一攫千金を狙う?
    • 「3日間限定」にファンが群がる心理
      • Keyword 損失回避、希少性バイアス
    • 利益と損失、どちらに敏感?
      • Keyword プロスペクト理論
    • 推しグッズを売るなんてできない!?
      • Keyword 保有効果
    • お金を貯めたいなら初期設定が肝心
      • Keyword 現在バイアス、選択アーキテクチャ
    • 宝くじでかなう!?夢の韓国旅行 夢の韓国旅行
      • Keyword 確率加重、可能性効果
    • 同じ1000円でも人によって価値が変わる
      • Keyword メンタル・アカウンティング、ハウスマネー効果、 フレーミング、現状維持バイアス
    • 2章まとめ
  • 3章 お小遣いアップ作戦開始!
    • お店の手伝いもラクじゃない!
    • どうしたら焼き菓子が売れるの?
      • Keyword セイリアンス、端数価格効果
    • 人はなぜか真ん中を選ぶ!?
      • Keyword 極端回避、おとり効果、不作為バイアス
    • 価格表示で〝お得感”が出る不思議
      • Keyword アンカリング
    • 3章まとめ
  • 4章 人気店にはどんな秘密がある?
    • 萌ピンチ!?ライバル店現る
    • ライバル店を偵察。人気の理由を探る
    • 人を惹きつける魅力がいっぱい
      • Keyword 同調効果、社会規範、サンクコストバイアス、ハロー効果、目標勾配効果
    • おいしさでは負けない! だけど工夫も必要
      • Keyword イケア効果、威光価格効果
    • 4章まとめ
  • 5章 セイリアンスな“仕掛け”で集客アップ
    • なにが評価や判断に影響するの?
      • Keyword 確証バイアス、投影バイアス
    • 隣の店はライバル? それとも味方?.. 協力すればwin-winの効果がある?
    • 5章まとめ
  • 6章 行動経済学ってお金の話だけじゃない?
    • “だれかのため”がうれしいのはなぜ?
      • Keyword 社会的選好、利他性、互酬性
    • 目標達成の先にあるものは?
      • Keyword リバタリアン・パターナリズム
    • 6章まとめ
    • 行動経済学 キーワードのつながり

書籍紹介

 この本は、行動経済学という、日常生活やビジネスで大いに役立つ学問を、少しドジで元気な中学生の萌という少女の視点から描いています。萌はK-POPアイドルが大好きで、その推しに会うために奮闘する姿が物語の中心です。彼女がお小遣いをどうやって貯め、どうやって使うか、その過程で行動経済学の知識をどのように使って行くかが、非常に楽しくわかりやすく書かれています。

行動させられている

 行動経済学とは、私たちがどのように選択をし、どのような行動を取るか、その裏にある心理やクセを研究する学問です。この本では、「限定品に群がる心理」や「松竹梅の竹を選ぶ心理」など、日常の消費行動のなかに潜む認知のクセを解説しています。物語の中で、萌がこれらの概念を学び、活用する様子が描かれます。

「ナッジ」をストーリーで理解する

 読者は、萌と共に行動経済学の基礎を学びながら、自分自身の選択や行動を振り返るきっかけを得ることができます。物語形式で進むため、理論が苦手な人でもすんなり理解できるでしょう。さらに、「セイリアンス」や「ナッジ」などの行動経済学のキーワードが、実際の生活シーンでどう機能するかが興味深く示されています。

楽しみながら学べる

 学生から大人まで、幅広い読者層に楽しんでもらえる内容です。特に、自分がどのように決断を下しているのか、そしてそれが最適な選択につながるのかを知りたい人にはぴったりです。行動経済学の基本的な考え方を、身近なストーリーを通じて学べるこの本は、生活や仕事における選択の質を向上させるための素晴らしいガイドとなるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

リスクを回避しようとする

損失回避

 人は「得」よりも「損」による悲しみを大きく感じます。損をすることを何としても避けようとするため、不確実な状況では、多少リスクがあってもギャンブルを好む傾向にあります。確率加重といったモデルでは、100%や0.00001%といった確実な確率や微小な確率は高く評価され、20~60%といった中間確率は低く評価されるとされています。

保有効果

 すでに所有しているものに深い愛着を持つため、手放すことに抵抗感を感じる心理状態のことです。手放すことに市場よりも高い価値をつけてしまったり、なかなか捨てられなかったりします。目の前の利益を重視して、将来の利益を軽視する現状バイアスのひとつです。

同調効果

社会規範

 他者や社会からどのように見られるかが、同調圧力として働いて選択に影響することがあります。そのため、金銭的な要因よりも、社会的・道徳的な要因が仕事をする上で大切だと思われがちです。

サンクコストバイアス

 将来に向けて判断するのであれば、回収できない費用(サンクコスト)は諦めるべきで、考慮する必要はありません。これを無視できないと、お目当てのフィギュアを当てようとガチャガチャを何回も回してしまうことがあります。ゲットできなければ、今まで使ったお金が無駄になるという考え方です。

ハロー効果

 目立った特徴や記憶に残る印象から、その他の面を評価しようとする傾向があるため、アイドルのパフォーマンスが好きだと、そのアイドルの性格も好ましいものだと思い込みやすいです。

固定概念

投影バイアス

 現在の状況が今後も続くと考える心理。将来の予測を見誤る原因となります。コンビニに立ち寄ると、お菓子や総菜を余計に買ってしまう心理がこれです。

希少性バイアス

 手に入りにくいと思ったものに魅力を感じやすく、実際の価格よりも高く感じられる心理現象です。

現状維持バイアス

 好ましくない状態でも、いつも通りであればそのまま継続してしまう心理です。月額の動画配信サービスを解約することを躊躇し、あまり利用していなくても継続してしまうような心理です。

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