いのちの未来 人間はロボットになり、ロボットは人間になる/著者:石黒浩

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書籍情報

タイトル

いのちの未来

2075 人間はロボットになり、ロボットは人間になる

発刊 2025年5月16日

ISBN 978-4-296-12157-1

総ページ数 383p

書評サイト ダ・ヴィンチweb

出版社リンク 日経

著者

石黒浩

工学博士。
2009年より大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻教授。2017年から大阪大学栄誉教授。
ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)。
ヒトと関わるロボットやアンドロイドサイエンスを研究対象としている。

出版

日経BP

もくじ

  • プロローグ
  • 第1部 いのちの未来
    • 第1章 いのちの未来
      • 人間とは何か 全ての学問に繋がる問い
      • 再び万博を開催する意義
    • 第2章 50年後の技術
      • 50年後の未来の技術とは
      • AI・アバター 技術と人間の融合
      • 医療 人間の寿命はどこまで延びるか
      • 環境・エネルギー 自然現象の謎を解明
      • 今とは異なる未来の社会通念
      • 技術の進化により未来で起こる出来事
      • あらゆる制約からの解放
      • そして、人間は自由を手に入れる
    • 第3章 未来で色濃くなる文化
      • AIが描く未来の風景
      • 文化とは何か
      • 自然と調和する未来の日本文化
    • 第4章 過去から現在
      • 縄文時代
      • 弥生時代
      • 鎌倉時代
      • 江戸時代
      • 現代
  • 第2部 境界のない世界
    • 第5章 50年後の未来のストーリー
      • プロローグ
      • 電車
      • リビング
      • 公共空間
      • シアター
      • エピローグ
      • 未来のシーンとストーリーの作り方
    • 第6章 シグネチャーパビリオン「いのちの未来」建築物の概要
      • パビリオンの外部・内部構造
    • 第7章 バーチャルパビリオン
      • 世界中から参加できるバーチャル会場の誕生
    • 第8章 共創ミーティングとは
      • 一人ひとりが創る未来
      • 未来はどのように創るのか
      • 共創が未来を生み出す
      • 世界に何を問いかけるのか
    • 第9章 50年後の未来のプロダクト
      • HHクロスとピア
      • HHクロスポット
      • HHクロスゲート
      • バブルリンク
      • キズナロイド
      • パルモビ
      • Adjustension Home
      • 住まいAI
      • 循環共生型マンション
      • イミュエール
      • ナンデモナレール
      • コンシェルジェロボ グラングレッグ
      • Campus Go
      • Life Campus
      • Personal Tutor Campus
      • ビジョンダイアリー
      • アナザーストーリー
      • カラコロスピーク
      • ランプ
      • サルタン
      • ジーニー
  • 第3部 1000年後の人間
    • 第10章 1000年後の人間
      • AI・ロボットと融合したミレニアムヒューマン”MOMO”
  • エピローグ

書籍紹介

 この本は、2025年大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちの未来」の公式ブックとして位置づけられており、2075年の人間社会や技術の進化を鮮やかに描き出します。石黒氏が長年追究してきた「人間とは何か」という問いを軸に、科学技術の発展が私たちの生活や価値観にどのような影響を与えるかを考察しています。

 第1部では、50年後の未来社会を予測します。AIやロボット技術の進化により、人間は身体や時間、空間の制約から解放され、寿命の延長や労働の概念の変化が起こるとされています。たとえば、国境を越えたアバターによる遠隔労働や、遺伝子技術による健康管理の革新など、技術的に実現可能な未来が具体的に描かれます。これらの予測は、単なる空想ではなく、石黒氏の研究や科学技術の現状に基づいており、説得力があります。社会や文化の変化にも注目し、家族や国家の役割、生と死に対する価値観の変容についても深く掘り下げます。

 第2部では、大阪・関西万博の「いのちの未来」パビリオンの舞台裏を紹介しています。このパビリオンは、約50体のアンドロイドやロボットを展示し、来場者に50年後の生活を体感させる空間です。建築のモチーフである「水」や「渚」を取り入れたデザインや、協賛企業との共創プロセスが詳細に語られ、未来を具現化する試みの苦労と情熱が伝わります。特に、リアルとバーチャルを融合させた展示や、日本の伝統文化と先端技術を結びつけたアンドロイド「ヤマトロイド」「アスカロイド」の開発秘話は、技術者だけでなく一般の読者にも興味深い内容です。

 第3部では、さらに大胆に1000年後の人間の姿を想像します。人間と技術が完全に融合し、生物と無生物の境界が曖昧になった「まほろば」と呼ばれる世界です。この幻想的なビジョンは、読者に人間の進化の可能性と責任を考えさせます。石黒氏は、技術の進歩が単なる便利さや豊かさを超え、私たち自身が未来を設計する力を持つと強調します。

 ロボットやAIが身近になる未来で、「人間らしさ」とは何か、どのように生きるべきかを考えるきっかけを与えてくれます。また、万博という国際的な舞台を通じて、日本の技術力や文化を発信する石黒氏の情熱も感じられます。ビジネスパーソンや技術に興味のある方はもちろん、未来の社会や自分自身の生き方について考えるすべての人におすすめの一冊です。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

AI・アバター 技術と人間の融合

 AIは、2012年の深層学習のアルゴリズムの発見から新たな研究開発ブームを迎え、今では、大規模言語モデルや生成系AIが、生活や産業を大きく変革しようとしています。

 大規模言語モデルは、インターネット上の膨大なテキスト情報を学習して、言語によって与えられた質問に答えるという、大規模なニューラルネットワークです。膨大な行列計算を可能とする大規模なGPUを使って、その学習を実現しています。

 この大規模言語モデルによって、従来のAIのボトルネックを解消することができました。人間との対話の機能が実現したのです。従来のデータベースの大きさでは、限られたパターンの会話でしか対応ができませんでした。

 対話の問題が解消した今、ロボットやCGエージェントは急速に人間らしくなり、人間らしさを探求する研究が本格的に始まりました。

 自ら要求を持ってAIやロボットが実現できれば、人間はそのAIやロボットとの関わりにおいて、AIやロボットから意識を感じるはずです。

 覚醒意識、現実的意識、アクセス意識の三階層が人間の意識だと言われています。感情や自我といった人間の意識のレベルが再現できれば、人間社会に必要不可欠な存在となる可能性は高いでしょう。

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