ポピュリズムの仕掛け人/著者:ジュリア―ノ・ダ・エンポリ

※ 毎朝、5分以内で読める書籍の紹介記事を公開します。

書籍情報

タイトル

ポピュリズムの仕掛人

SNSで選挙はどのように操られているか

発刊 2025年2月15日

ISBN 978-4-560-09158-6

総ページ数 200p

書評サイト 好書好日

出版社リンク 白水社

著者

ジュリア―ノ・ダ・エンポリ

イタリア首相のアドバイザーとして勤めた後、パリ政治学院の教員をしている。

出版

白水社

もくじ

  • はじめに
  • 第1章 ポピュリズムのシリコンバレー
  • 第2章 政治版ネットフリックス
  • 第3章 地球を征服するウォルドー
  • 第4章 「荒らし」の親玉
  • 第5章 ブダペストの奇妙なカップル
  • 第6章 物理学者たち
  • 結論 量子政治学の時代
  • あとがき

書籍紹介

 この本は、現代の政治におけるポピュリズムの台頭と、SNSが選挙に与える影響を鋭く分析した作品として、国内外で大きな注目を集めています。特に、民主主義が直面する新たな危機と、それを操る「混沌の技師」たちの戦略を明らかにすることで、読者に衝撃を与える一冊となっています。

 本書では、ポピュリズムを牽引する「仕掛人」たちが、どのようにして社会の分断を加速させ、極端な政治思想を結びつけていくのかが描かれています。たとえば、ドナルド・トランプの選挙戦やブレグジット運動の背後で活躍したジャンロベルト・カサレッジオ、ドミニク・カミングス、スティーブ・バノンといった人物たちが登場し、彼らがSNSを駆使して「怒りの感情」をアルゴリズムで増幅させていく様子が詳細に分析されています。このプロセスは、まるで「ネットフリックスのような政治」とも形容され、派手なパフォーマンスや論争がカーニバル的な雰囲気を醸成することで、従来の中道政治を切り崩していくのです。

 社会の怒りや不満がどのように政治に利用されるのか、そのメカニズムを解き明かすことで、読者に民主主義の未来を考える手がかりを与えてくれるでしょう。

試し読み

※そのままの文章ではありませんが、試し読みする感覚でお楽しみください。

政治版ネットフリックス

 209年10月4日にミラノ劇場で新生「五つ星運動」の組織理念が発表されました。

 「五つ星運動」は「非団体」であり、ブログから誕生し、ブログを震源地とする討論と協議のためのプラットフォームとして存在しました。グリッロとカサレッジオが管理するブログに過ぎなかったのです。

 これが2012年にもなると、オンライン上のニュースを拾い上げるサイトやウェブTVなどのサイトも立ち上げ、情報配信を拡大していきます。このサイトで製作する情報は、カサレッジオ・アソシアーティ社がSNSやフェイスブックから拾い上げたものです。「経済活動は低迷し、失業率は13%、国民は重い重税に苦しんでいる」などの文句とともに、政治的スキャンダルを利用することで、共感を示す人も多くなっていったようです。

 このプラットフォームで国民が協議する内容には、展望も、計画も、前向きな提言もありません。国民が関心を持ちそうなテーマを扱い、民意という共感を得るためのアルゴリズムでしかないからです。このSNSを元にしたデータで国民の人気を得ることができます。

 カサレッジオは「五つ星運動」について、「国民の要望を効率よく届ける。政治版のネットフリックスのようなものだ」と語りました。

購入リンク

amazon

電子

amazon

(Visited 5 times, 2 visits today)
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です